[KATARIBE 29623] [HA06P]佐上雑貨店のクリスマス

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Date: Tue, 27 Dec 2005 00:09:12 +0900
From: asakura <guilsn@boat.zero.ad.jp>
Subject: [KATARIBE 29623] [HA06P]佐上雑貨店のクリスマス
To: kataribe-ml@trpg.net
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ども、輝士都です。
書いてるキャラの感情に同期してしまうので悲しい話はつらいです。
その分書きやすいんですが。

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[HA06P]エピソード「佐上雑貨店のクリスマス」
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登場人物
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 佐上 氷我利(さかみ・ひがり):佐上雑貨店店長代理、とある魔術師の
                 後継者。意思ある道具たちの守り手。
                 彼女無し。
                 
 佐上 彩乃 (さかみ・あやの):吹利学校中等部3年、帰宅部。
                 佐上家の養女で、氷我利の魔導杖。
                 
 セレーナ     (せれーな):吹利学校高等部1年、帰宅部。
                 氷我利の親戚扱いの魔導杖。
                 つい最近まで氷我利の魔力を吸って成長
                 していた。
                 
 佐上雑貨店の道具たち     :佐上雑貨店に管理、保護されてる意思を
                 持った道具たち。
                 
佐上雑貨店倉庫内
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 魔道具、物の怪たちの現世との隔離場所でありそして仲間と暮らす楽園でも
 ある、佐上雑貨店倉庫。
 そこで、宗教観も何も無い日本らしいクリスマスパーティーが行われていた
 

 氷我利     :「……」

 氷我利は、一通り場を盛り上げた後少し離れてワインを飲んでいた。
 
 彩乃      :「氷我利……? 」
 
 どこか、泣いているようにも見える氷我利の顔を、隣に座っていた彩乃が
 見上げる。
 
 氷我利     :「何でも無いよ……大丈夫」
 
 彩乃の心配する声に、いつもよりかなり穏やかな表情で騒ぎの中心を見なが
 ら氷我利は答えた。
 
 彩乃      :「……」
 
 その一言に何が含まれて居たのか。
 彩乃はそれきり、言葉を発することなく氷我利に寄り添っていた。
 
 セレーナ    :「マスター、お酒は嫌いなのでは? 」
 
 そこに、初めから騒ぎに混ざっていなかったセレーナが彩乃の反対側に座る
 彼女の言うとおり、氷我利は普段からお酒を飲む事はせず本人も「お酒は嫌
 いだ」と、公言していた。
 なのに何故、とセレーナは問う。
 
 氷我利     :「なぁ、セレーナ……あれを見て……どう思う? 」
 セレーナ    :「え? 」
 彩乃      :「……」
 
 氷我利の思いを知らぬセレーナは戸惑い、彩乃は無言で氷我利を見る。
 
 セレーナ    :「……楽しそうです……とても……」
 
 戸惑いながらも、素直に答えるセレーナ
 
 氷我利     :「あぁ……そうだ……楽しそうだ……だけど……」
 
 あの幸せそうな光景を、後どのくらい見ていられるのだろう。
 そう……つぶやく。
 
 セレーナ    :「それは……氷我利が居る間はずっと見られ……」
 
 そこまで言ってさすがに気がついた。
 
 セレーナ    :(そういう……ことですか……)
 
 氷我利の時間と、もともと生物では無い者たちとの時間は同じでは無い。
 
 氷我利     :「人間で無ければ……ほぼ無限の時間を得る……
         :だがしかし……人間で無ければ、彼らを守る事は
         :出来ない」
 
 氷我利の視線の先にはいまだ楽しそうに騒ぐ仲間たちの姿が見える。
 そして、氷我利の隣には何も言わずよりそう彩乃の姿がある。
 何故だろうか……氷我利が望んだ光景が目の前にあると言うのに、
 どうして、こんなにも距離があるのか。
 そして……
 
 セレーナ    :(私の距離は……どこなのでしょうか……)
 
 氷我利の魔力で私は成長し、氷我利の力で魔導杖としての力と姿を得た。
 だが、氷我利のそばには彩乃が居て私の力は必要ない。
 
 セレーナ    :(私も……あの二人のようになれるでしょうか)
 
 埋められぬ、悲しみを言葉も無く分かち合い、そして常に相手を支える。
 
 セレーナ    :(そんな魔導杖に、私はなりたい)
 
 
時系列
------
2005年12月

解説
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氷我利の思い、それは我が子のようにも感じている守るべき者たちの
幸せな人生。
ただ、自分がそれを完全にかなえるには時間が足りない。
そう思っているのでした。

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