[KATARIBE 29603] [HA06N] 小説『甥っ子からの電話』

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Date: Sat, 17 Dec 2005 01:33:46 +0900 (JST)
From: いー・あーる  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29603] [HA06N] 小説『甥っ子からの電話』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2005年12月17日:01時33分46秒
Sub:[HA06N]小説『甥っ子からの電話』:
From:いー・あーる


ども、いー・あーるです。
何故か3連荘。
思いついたら書くべしってことで。
相羽のおじちゃん、何故か全く知らないところで応援されてます(笑)。

****************************************
小説『甥っ子からの電話』
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登場人物
--------
 相羽真帆(あいば・まほ) 
     :自称小市民。多少毒舌。10月に入籍。

本文
----

 マメシバン。県警有志作の、戦隊モノのビデオ。
 幼稚園児や小学生の、防犯や交通安全の意識を向上させるために作成。

 ……と、まあ、そうなってはいるのだし。
 故に、一番最初に見るだろう身内は……確かにこの子なんだけど。

 しかし。
 

「はい、もしもし?」
 午後3時。
 相羽さんからの電話は、夜に多い(帰る前にかけてくるから)。実家の親か
らは朝9時頃にかかってくることが多い(ご飯の後に色々思いつくのよね、と
は母の台詞である)。
 早い話、この時刻にかかってくる電話って、あんまりないから、また何かの
勧誘とかそういうものかなって思ったんだけど。
『もしもし』
「……あれ、のりくん?」

 ちょっとびっくりして、受話器を持ち直す。
 なんと甥っ子からの電話ではないか。

「どうしたの?」
『あんなー、ぼくなー、聞きたいことあってん。そしたらおかーさんがなー、
真帆ねえちゃんに電話しなさいって』

 はて。
 ということは……多分、後ろでお母さん(=義妹)が聞いている(監視して
いるのだと思うんだけど)。

「うん、どしたの?」
『ぼくなぼくなー、マメシバンようちえんで見てんけどなー』

 幼稚園で染まった関西弁のせいか、はたまた電話の緊張のせいか、甥っ子の
語尾は『なー』と伸びる。
 ……しかし、マメシバン?

「……ああ、信号は赤で渡っちゃ駄目とか、あれね?」
『うん、マメシバンな、かっこええねん』

 豆柴君に伝えよう。多分彼なら喜ぶだろう。

『ほんでもなー……』
 何だか甥っ子の声が、くしゅんとする。
「どしたん」
『ウルフ将軍なー、あれ、相羽のおじちゃんやろ?』
「…………あー」

 というか、まだ見てないので伝聞系なんだけど。
 確かに本宮兄弟と相羽さんと呑みにいった時に……そんな話が出てたような
気がする。

「うん、そうだと思うけど」
『……でもな、あんな、相羽のおじちゃん、いいひとやろ?』

 ……ああ、そういうことね。

『ぼくなあ、あれぼくのおじちゃんやゆーたらなー、あらたくんが「うっそ、
のりのおいちゃんワルモンや」ゆーからなー』
「……あらら」
『……だからぼく、ケンカしてん』
「あらー……」

 5歳ってのは微妙な年齢だ。
 あれが、「番組」ってのは知ってると思う。テレビの中のヒーローが変身出
来たとしても、お店で売ってるアイテム振り回したって変身しない、くらいの
知恵はちゃんとある。
 ……ただ、この場合、確かに……身内が出てて、それもテレビ番組じゃなく
て、一応ビデオで……
 なんてか、微妙といえば、微妙だしなあ。

『真帆おねーちゃん、おじちゃんいいひとやろ?』
「うん、いい人だよ。ちゃんと警察で、わるい人を捕まえてるよ」
『そやろ、そやろっ!』
「マメシバンではね、わるいひとが出てこないと駄目だから、おじちゃんが代
わりにわるいひとやってるだけだから……大丈夫」
『そやんなあ』

 しかし、喧嘩してきたのか。
 ウルフ将軍、ある意味冥利に尽きるかも。

「……そうだ。今度、マメシバンに、のり君のこと言っとくね」
『え、おねーちゃん、マメシバン知ってんの?!』
「知ってるよ。のり君が頑張ってって言ってたって、言っとくね」
『うん!』

 途端に元気になった甥っ子から……くすくす笑う義妹に、電話が代わった。

『お姉さん、すいません』
「いえこちらこそ……喧嘩させちゃって、ごめんね」
『いえ、いいんですよー。あたしもう笑っちゃって、絶対おねーちゃんに電話
しなさいって言っちゃったの』
「……確かに、笑えるわ」

 しかしそーか、あたしは見てないのに皆見てるのか。

「ってみっちゃんも見たの?」
『見ました。幼稚園で親と一緒に交通安全、ってことで』
「……ウルフ将軍、じゃ、判った?」
『わっかりましたよー』
 
 ……大笑いしてるし。

『なんかお義兄さん、ノリノリで。悪者用のマントとかばさーっと翻して去っ
てゆくのが、もうおかしくておかしくて』

 籍を入れた後、一度、相羽さんのオフの日に、義妹と子供達がうちに遊びに
来たことがある。持ってきてくれたケーキを一緒に食べて……そんでまあ、二
人とも相羽さんのことが判ったんだろうけど。
 ……しかしマントを翻してってああた。

『お姉さんは見たんですか?』
「まだ見てないの」
『是非、見てくださいよー。かっこいいですから!』

 ……と、言いながら、大笑いしているのは何故なんだ。

 とりあえず、マメシバンのグッズみたいなのがあるかどうか聞いてみるね、
のり君に宜しくね、と言った辺りで……電話は終わった。

 はてはて。

「……マメシバン、かあ」
 県警の、交通安全と防犯っていうから、どんなのかと思ったけど。
「それは……」

 是非、見てみたい。


時系列
------
 2005年12月

解説
----
 マメシバンのビデオを、一番正等な理由と共に見そうな人物……というわけで、
真帆の甥っ子です。
 幼稚園児にも人気のマメシバン。頑張れ(おい
*********************************************

 てなわけです。
 ではでは。
 


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