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Date: Thu, 15 Dec 2005 00:06:56 +0900
From: "Hikaru.Y" <hukira@blue.ocn.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29596] [HA06P]エピソード『寝言は寝てから言う』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200512141506.AA00133@hikaru-h8akl379.blue.ocn.ne.jp>
X-Mail-Count: 29596
Web: http://kataribe.com/HA/06/P/
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ふきらです。
この前のチャットログをエピソード化。
関係各位は修正などよろしくお願いします。
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エピソード『寝言は寝てから言う』
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登場人物
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中内音々(なかうち・ねね):http://kataribe.com/HA/06/C/0582/
もの書きで悩む正統派創作部員。
蒼雅紫(そうが・ゆかり):http://kataribe.com/HA/06/C/0573/
相変わらずの天然娘。
一之瀬二条(いちのせ・にじょう):http://kataribe.com/HA/06/C/0578/
実は結構お惚けさん?。
高瀬夕樹(たかせ・ゆうき):http://kataribe.com/HA/06/C/0581/
今回は仕掛け人。
御厨正樹(みくりや・まさき):http://kataribe.com/HA/06/C/0534/
今回の被害者。
何を書いてるの?
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音々 :「そして、二人の少女は夜の闇の中へ……うーん、なんか
:違うなぁ」
創作部の部室で原稿用紙を前に難しい顔をしている音々。
近くに置いてあるゴミ箱には丸められた用紙がいくつも入っていた。
その様子を興味深そうに見つめているのが一人。
紫 :「……(ぢー)」
音々 :「あー、どうもいい文章が書けないわねー」
紫 :「音々さま、お悩みですか?」
背もたれにもたれかかってふんぞり返る。
音々 :「どうも文章構成がうまく作れないんですー」
一之瀬 :「どういう物語で書いておられるんですか?」
音々 :「女の子二人を主人公にしたお話なんですけど」
紫 :「武侠ものですか?」
音々 :「ぶきょー?」(きょとん)
夕樹 :「なぜそんな発想に……」
紫 :「え、いえ、好きなもので」
一之瀬 :「武侠というのは私も知らないのですが、どういったもの
:なのですか?」
音々 :「私もよくわかりません。ゆかりセンパイ、ぶきょーって
:何ですか?」
紫 :「ええと、武侠小説といいまして。中国などを舞台にした
:戦いや武道の色の濃いお話で」
紫は何とか説明しようとするが、うまく言葉が出てこない。
正樹 :「尚武と侠気のこと、それぞれ武道・軍事などを大切なも
:のと考えることと男らしい性質・気持ちを意味する」
それをアシストするように正樹が辞書で「武侠」の項目を読み上げる。
紫 :「読んでいて血が沸き立つような、そんなお話で」
楽しそうに話す紫。
一之瀬 :「面白そうですね……どんな作品が有るのですか?」
音々 :「……女の子二人の小説で、どうして戦う方向になるんで
:すか」
紫 :「え?闘わないのですか?」
紫は不思議そうな顔で音々を見る。
夕樹 :「やれないことはないと思うけどねえ」
音々 :「私はあんまり戦う話は得意じゃないんですよねー」
音々 :「そうだ、ゆかりセンパイ、好きならそういう話を自分で
:書いてみたらいいんじゃないですか?」
紫 :「私が、で、ございますか」
音々 :「何をつくったらいいかわからないって、悩んでたじゃな
:いですか」
一之瀬 :「自分で書くのは大変そうですね……」
紫 :「ええと、そうですが……」
紫 :「話を書く、というのは全く未経験で……」
音々 :「ゆかりセンパイなら、リアルなのがかけそうな気がする
:んですけどねー」
紫 :「……文章、うーん」
居眠り=いたずらの対象
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一之瀬がふと正樹の方を見ると、彼は机に突っ伏して寝息を立てていた。
正樹 :「……zzz」
一之瀬 :「……正樹さん、起きてますか?」
正樹 :「……ぁ、ここで寝ちゃ駄目だ……寝ちゃ駄目……
:すぅ……」
紫 :「……(ノートに向かって頭をひねりつつ)」
一之瀬 :「……起こすべきでしょうか……」
紫 :「……寝ながら創作されているのでしょうか」
さすがにそれはない……はず。
正樹 :「……むぅ……蒼雅さん……その持ち方はあぶなっ……」
紫 :「……」
正樹の寝言に肩を落とす紫。
正樹 :「……部長……煽らないで……くださ……」
一之瀬 :「…………起こしましょう」
夕樹 :「いや、ここはしばし観察ということで」
一之瀬 :「う、承知しました」
紫 :「……な、なぜ私がでてくるのでしょう」
寝ている正樹を起こさないように彼を取り囲む面々。
正樹 :「……副部ちょ……それは人間が着る物じゃ……」
正樹 :「……メモるなぁ……蒼雅さんとはそんなんじゃ……」
夕樹 :「(小声で)そんなんじゃ……って、どんなんだろう?」
一之瀬 :「……気になりますね」(ひそひそ)
正樹 :「……あぁ……まずい……失敗だ……ばくは……」
正樹 :「……い、いちのせが……アフロに……」
夕樹 :「(小声で)アフロになってますよ、夢の中で」
一之瀬 :「……い、いや、なんでアフロなのでしょうか」(大汗
夕樹 :「そりゃ爆発したら白い粉を吹いてアフロと決まってます
:から」
一之瀬 :「お決まりなのですか……」
一之瀬はとりあえず納得する。
正樹 :「……そう……ん……もしかしたら……きみ……す……
:かもしれ……」
正樹 :「……何でも無い……」
正樹 :「…………」
しばらく沈黙が続く。
夕樹 :「ぼちぼちネタ切れですかね?」
一之瀬 :「ネタ切れ……ですか……」
紫 :「……つまり、私がアフロで酢、ということでしょうか」
夕樹 :「アフロは一之瀬さんですね」
一之瀬 :「そうですね」
快適なお目覚め?
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夕樹 :「さて、ここで取り出したりますは」
そう言って、夕樹がみんなの前に出したのは小さな箱。
夕樹 :「さてさて、この箱の中には何が入っていると思います
:か?」
夕樹 :「……ちなみにこれ、副部長のです」
副部長の、という言葉に一同の顔に緊張が走る。
紫 :「副部長様の作品でございますか?」
一之瀬 :「え、えーっと……わかりません(汗)」
夕樹 :「正解は(箱を開ける)」
箱の中には毛糸の玉が一つ。
じっと見つめていると、その玉がピクリと動いた。
夕樹 :「しかも、動いてるだけではございません。少々耳を近づ
:けてみると何やら音が」
一之瀬 :「一体全体なんでしょうか(大汗)」
息を潜めて箱に耳を近づける。
毛糸 :「(小声で)なんやー、もうあさかー? わしゃーまだね
:むいんじゃー」
夕樹 :「さて、こいつを」
紫 :「……しゃべる、けいと、、?」
一之瀬 :「正体何なんでしょう……」
夕樹は玉から糸をほどくと、その毛糸を正樹の耳の穴へと静かに入れていく。
紫 :(びっくぅ)
一之瀬 :(びびり)
毛糸が正樹の耳の中で囁く。
毛糸 :「あ・な・た。起きてぇん」(耳の中で)
正樹 :「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
正樹はガバリと跳ね起きる。その勢いで椅子が倒れ部室に派手な音が響いた。
夕樹 :「おはようございます」
起きあがったときに外れた毛糸を回収する夕樹。
正樹 :「何!? 何!? 今の何!?」
夕樹 :「はて。何のことです?」
正樹 :「耳元で変な声が聞こえた!」
紫 :「……あうあうあう」
夕樹 :「夢でも見てたんじゃないですか?」
正樹 :「夢なら見てたけど……あぁ……びっくりした……」
紫 :「ええと、アフロが」
正樹 :「アフロ?」
一之瀬 :「……覚えてないんですか(汗)」
正樹 :「いやぁ、びっくりして夢の内容なんかふっとんじゃった
:よ」
紫 :「……夢の中でも私は失礼なことをしてたのでしょうか」
正樹 :「え?え?どう言う事?」
何やら落ち込んでいる紫に、戸惑う正樹。
一之瀬 :「何で私はアフロだったんですか……気になりますね……」
一之瀬は一之瀬で残念そうな表情を浮かべている。
正樹 :「蒼雅さん?一之瀬?どうしたの二人とも?」
夕樹 :「まあ、どうせ夢ですからね。あまり気にしない方が良い
:ですよ(にやにや)」
紫 :「ご迷惑をかけないようにいたします」
一之瀬 :「それでも気になります。アフロってアフロって……」
かたや握り拳を作り決意を固め、かたや相変わらず悩んでいる。
それを見ながら夕樹はこっそりと毛糸を箱に戻す。
毛糸 :「(小声で)なんやーもう、ワシの出番はおわりかぁ……」
箱のふたを閉じると毛糸の声は聞こえなくなった。
紫 :「……酢?」
正樹 :「訳がわからん……」
紫はまだ正樹の寝言に首を捻り、正樹はそんな紫の様子を見て首を捻った。
時系列と舞台
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2005年12月。創作部部室にて。
解説
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いやあ、人の寝言って面白いですよね。
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