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Date: Sun, 06 Nov 2005 11:14:25 +0900
From: Aoi Hajime <gandalf@petmail.net>
Subject: [KATARIBE 29499] [HA06P]秦弥の恋物語その3 エピソード「尊さんに怒られる」
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200511060214.AA00002@black.petmail.net>
X-Mail-Count: 29499
Web: http://kataribe.com/HA/06/P/
Log: http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/29400/29499.html
こんにちは葵でございます。
輝士都君が斬ってくれましたので、フォーマットを含めて若干追補手直し
いたしました。
元ログ:http://kataribe.com/IRC/HA06-01/2005/07/20050723.html#230000
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[HA06P]エピソード「尊さんに怒られる」
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登場人物
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秋風 秦弥(あきかぜ・しんや):吹利学校高等部の普通科2年。現在後輩
の中村蓉子さんと交際中
http://kataribe.com/HA/06/C/0496/
中村 蓉子(なかむら・ようこ):吹利学校高等部の普通科1年。秦弥の彼女
微妙なお年頃の女子高生
http://kataribe.com/HA/06/C/0509/
如月 尊 (きさらぎ・みこと):FLOWER SHOP Miko の若き(?)店長さ
ん、色々と鈍い秦弥にアドバイスをくれ
るおねーさん
http://kataribe.com/HA/06/C/0069/
本宮 和久(もとみや・かずひさ):不幸な巡査さん、最近尊さんと良い感
じらしい。
http://kataribe.com/HA/06/C/0073/
フラワーショップMikoにて
------------------------
秦弥 :「とりあえず、尊さんにはお世話になったし。一応お礼
:を言っておかないと」
SE :ピンポーン
尊 :「はーい、どなたー? (とてとて)」
秦弥 :「こんにちは。尊さん」
尊 :「あら、秦弥君。いらっしゃい、あ、塩羊羹? ちゃん
:とまだとってあるわよ? (くす)」
秦弥 :「え!? ほんとですか! ……っじゃなくて。今日はお
:礼を言いに来たんですけど」
思わず、本来の目的を忘れそうになるが、思いとどまる。
尊 :「お礼……って、もしかして……二人の事? ってまぁ、
:とにかく上がって? お茶入れるから」
秦弥 :「あ、はい。お邪魔します」
尊 :「(キッチンから)せっかくだから、お抹茶たてるわね、
:そこ座ってちょっと待ってて」
秦弥 :「はい」
好物を前におとなしく待つ秦弥。犬だったら尻尾を振っているのかもしれな
い。
尊 :「はい、ちょっとまってね(塩羊羹を出して、茶筅でお
:抹茶しゃかしゃかと)」
抹茶椀に立てた濃茶を持ってくる尊さん。
尊 :「はい、お待たせ、どうぞ(前に抹茶椀をトンと)」
秦弥 :「ありがとうございます」
尊 :「で?」
秦弥 :「えっと、一応、片方を選ぶことも出来たので、お世話
:になった尊さんにはお礼を言っておこうかなと」
かなり照れながらいう秦弥。
尊 :「……そっか……決めたんだ(ふぅ)」
秦弥 :「はい」
尊 :「で、頼りたいと、守りたい、どちらを選んだのかな」
秦弥 :「守りたい、の方です」
尊 :「そか……(くたっとソファーに沈み込んで)珠魅ちゃ
:ん……に、一度うちに遊びに来るように伝えて……くれ
:ないかな」
さすが、おねーさん。アフターフォローも万全です。
秦弥 :「えっと、僕が。ですか」
尊 :「伝えるのは秦弥君からでなくても良いんだけど……一
:度来てもらいたいかな」
秦弥 :「いい人ですね。尊さんって」
尊 :「いい人……単なる御節介焼きよ(苦笑)」
内心、女の子の涙は見たくないだけ、と呟く。
秦弥 :「一応連絡先は知ってますから。今度言っておきます」
尊 :「ん、そうしてくれるかな」
ふぅ、と一息ついて、お茶をひとすすり。
尊 :「で、蓉子ちゃんとは何時、いくの? (くす)」
秦弥 :「へ? 何のことです?」
尊 :「へ? なにって……」
きょとん、と。
何でこの流れでわからないのかと、驚くおねーさん。
秦弥 :「いえ、行くって何処にですか?」
尊 :「……でーと……だけど? 」
秦弥 :「デート………あぁ、なるほど、予定はしてないです」
さわやかにきっぱりと。
この一言が、おねーさんに火をつけた。
尊 :「よてい……『してない』……ないぃ?(ゆらぁり)」
仁王立ちの背後に沸き立つ、紅蓮のオーラ。
キリキリっと柳眉がつり上がってたり。
秦弥 :「ど、どどどど、どうかしましたか」
いきなりの豹変にあわてる秦弥。
尊 :「(腕組みして見下ろして)秦弥君、そこ正座(みょー
:に物静かに)」
秦弥 :「はっ……はいっ」
迫力に押されてあわてて正座。
尊 :「いいこと? 蓉子ちゃんの気持ち考えてあげなさい
:(腕組みしてじろっと)」
秦弥 :「え〜、えっと……」
尊 :「今、彼女は自分が好きな人からも告白されて嬉しいで
:す。 でも、副部長さんには申し訳ない」
一旦切って。
再度ジロリと。
尊 :「そんな不安な状態で……でーとにも誘ってないぃぃ?
:(ゆらぁり)」
秦弥 :「(ひ、ひぃぃぃぃ)」
尊 :「……ちゃんとデートに誘ってあげなさい、コレは男の
:務めよ(どきっぱり)」
窓からの逆光を背負い、大上段にびしっっと指さされる。
指された指先は鼻先にくっつく寸前だったり。
既に、お礼を言いに来た状況ではアリマセン。
秦弥 :「は、はい」
尊 :「ちょっとまってね」
くるりと振り返り、壁際のサイドボードの引き出しをゴソゴソして。
尊 :「はい、商店街の割り当てで貰ったものだけど、あげる
:からどれでも好きなの行ってらっしゃい」
秦弥 :「へ?」
ぴらっと。
扇が広がるように片手で広げられたそれは。
水族館、遊園地、美術館、スポーツ公園の券、各二枚づつ。
それを秦弥の手を取って渡してくれるおねーさん。
秦弥 :「………。蓉子は何が好きなんだろう……(真剣に悩み
:出す)」
普通は、全部行くところだけど。好き嫌いがある秦弥にしてはいきたくもな
いところに行かせたくないなと思って悩んでいたりする。
尊 :「ま、いいわ、全部あげるから(くす)」
秦弥 :「……あ、ありがとうございます」
尊 :「ただし、条件が一つあります」
ぴっ、と人差し指を立てて。
秦弥 :「なんでしょうか」
尊 :「この券をあたしから貰った事、蓉子ちゃんには内緒に
:しといてね」
秦弥 :「はい」
尊 :「ま、蓉子ちゃんなら、誘ってくれれば何処でも嬉しい
:と思うけどね(くす)」
秦弥 :「ん〜、でもやっぱり、行きたい所って有ると思うし」
尊 :「はいはい(ぱたぱた)その辺はらぶらぶかっぷるで相
:談して決めて頂戴(くすくす)」
秦弥 :「かっ、からかわないでくださいよっ」
つい赤くなっちゃったり。
尊 :「はいはい、ま、馬に蹴られない程度にしておくわね
:(くす)ま、男らしくびしっと誘ったげなさい」
秦弥 :「はい……」
ふと、思い出した顔で顔を上げて。
秦弥 :「あ、本宮さんにもお礼を言っておかないと……」
尊 :「っ!? ……もっ……とみや……くん? (汗)」
秦弥 :「……? どうかしたんですか? 」
尊 :「な……んで(昨日の事思い出してまっかっか〜)」
詳しくは、エピソード『unbalance 3rd 〜Smoker's Nocturne〜』参照。
秦弥 :「……尊さん? 」
尊 :「あーうん、な、何でもない、わ(あはは)な、なんで
:本宮君に? (あせあせ)」
秦弥 :「……本宮さんにも相談に乗ってもらったからですけど。
:何だか似たような経験があるらしくて」
尊 :「あ、あははは(汗)そ、そう? そうなんだ……(汗)
: か、彼にもヨロシク伝えてね(滝汗)」
『色々と』思い当たる節が有るので。
不意打ちに出てきた「本宮さん」に若干声が裏返り気味のおねーさん
秦弥 :「……尊さん、顔が赤いですよ?」
尊 :「あ、あはは、今日は暑いよね〜(そっぽ向いて)」
あ、そーだお茶碗片付けなきゃと、そそくさ立ち上がるのを見て。
そこまで露骨に話題逸らそうとすれば自分以外の事には鈍くない秦弥に気づ
かれるわけで。
秦弥 :「……なるほど。そう言うことですか(一人で納得)」
尊 :「ちょ、な、なに納得してるのっ!? (あせあせ)」
秦弥 :「え? 尊さんは本宮さんに気があるんでしょ? 」
情け容赦ない直球ど真ん中なセリフに足下すくわれて、ガッシャーンと、
ずっこけて。
でも、器用に茶碗は割れ無いんです。
尊 :「あうあうあう(滝汗)」
秦弥 :「違うんですか?」
尊 :「あっ、あたしの事はいーから! さっさと蓉子ちゃんデー
:トに誘ってこーいっ! (わたわた)」
秦弥 :「……は、はひ! 」
真っ赤な尊にソファーから追い立てられる秦弥君。
でもチケットは忘れずしっかり握ってます。
尊 :「(帰る前に)まちなさいっ、最後に一つだけ」
秦弥 :「は、はいっ! 何ですか? 」
まだ何か言われるかと戦々恐々の秦弥君。
尊 :「(まっかっかのまま)……待ち合わせの時、彼女が来
:たら」
秦弥 :「来たら?」
尊 :「普段と変わってよーが変わってまいが、一言、可愛い
:ねって褒めてあげなさい(クス)」
秦弥 :「……? はい……わかりました」
おねーさんは良くわかっている。
秦弥君が蓉子さんのおめかしに気づいても気づかなくてもほめないであろう
事を。
そして、そのの一言がどれほどの威力を持つかも。
尊 :「……それだけ判ったら……さっさと行ってこーいっ!
:(まっか)」
秦弥 :「はい! 」
あわてて秦弥が出て行った後。
尊 :「……っとにもう(まだ真っ赤)……ふぅ(ソファーに
:くてり)……世話が焼けるったら……」
完全に自分の事を棚上げにしているおねーさんなのでした。
時系列
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2005年7月
解説
----
告白してから、いつまでもデートに誘わない秦弥にちょっと切れちゃった尊
さん。そして怒られる秦弥。
このあと、デートに誘われた蓉子さんがあわてて着て行く服を選びつつ、尊
さんたちに着せ替え人形にさせられる話があったりしますが。それは、また別
の話。
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