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Date: Fri, 04 Nov 2005 00:01:48 +0900
From: "Hikaru.Y" <hukira@blue.ocn.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29493] [HA06N]小説『行列』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200511031501.AA00108@hikaru-h8akl379.blue.ocn.ne.jp>
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Web: http://kataribe.com/HA/06/N/
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ふきらです。
三十分一本勝負（http://hiki.kataribe.jp/HA06/?OneGameMatchfor30Min）。
お題は
23:21 <Role> rg[hukira]HA06event: パート帰りのおばさんが笑いかけてくる ですわ☆
でした。小説『ケーキの恨み』の続き。
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小説『行列』
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登場人物
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火川猛芳（ひかわ・たけよし）：http://kataribe.com/HA/06/C/0580/
帆川神社の宮司。
本編
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猛芳は気むずかしい顔をして行列に並んでいた。
彼の前後には女子高生やら女子大生やら、とにかく女性ばかりいる。行列の
先には一軒のケーキ屋。10月31日限定で発売されるパンプキン・プティングを
求める人たちの列である。
「むぅ……」
本日、何度目かの呻きとも聞こえる呟きを猛芳は漏らした。
この行列の中で猛芳は明らかに浮いている。そもそも、パンプキン・プティ
ングとやらが何かすら、彼は知らない。しかし、一白の機嫌を損ねてしまい、
その代償として求められているのだから、手に入れないわけにはいかない。
「あのとき、神羅がニヤニヤしとったのはこういうわけか……」
幸い、行列は順調に前に進んでいる。このまま知り合いに見つかることなく
終わればいい、そう思ったときだった。
「あらぁ、火川さん」
行列のざわめきに負けないほどの大きな声が後ろから聞こえてきた。
猛芳は恐る恐る振り返る。そこには神社の近くに住んでいるおばさんが、買
い物袋を提げてこっちに笑いかけてきた。
「や、これはこれは……」
引きつった笑みを浮かべて、彼は会釈を返す。
「この行列はなんです？」
「いや、まあ……」
おばさんは行列の先に目をやって、ふぅんと頷いた。
「ケーキですかあ……でも、火川さんって甘いものお好きでしたっけ？」
「いや……わしじゃなくて」
行列の何人かは猛芳の方を見ている。彼は心の中で「早く帰ってくれ」と願
う。勿論、それはおくびにも出さない。しかし、しゃべり方はいつもとは違っ
ているが。
「お孫さんの分ですか」
「ええ……まあ」
いつもの調子ではないことに気がついたのか、彼女はん？ と首をかしげた。
「どっか調子でも悪いんですか？」
「いや、そんなことはないですよっ」
大声に周囲の視線が一層猛芳に集まる。
おばさんはふと自分の腕時計を見た。
「あら、もうこんな時間だわ。それじゃあ、火川さん」
「ええ、また」
そう言って、おばさんは向こうに行った。
猛芳は溜め息を吐き、辺りをふと見回した。何人かがクスクスと笑っているの
が見える。
「むぅ……」
猛芳は難しい顔をして腕を組んだ。行列は進んでいるが、途中で曲がっていて
先頭が見えない。
彼の順番はまだ先のようである。
時系列と舞台
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2005年10月31日。あるケーキ屋の行列にて。
解説
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いつもの調子が出ない爺さん。
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