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Date: Tue, 01 Nov 2005 01:42:33 +0900
From: "Hikaru.Y" <hukira@blue.ocn.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29477] [HA06N]小説『朝霧にふか』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200510311642.AA00106@hikaru-h8akl379.blue.ocn.ne.jp>
X-Mail-Count: 29477
Web: http://kataribe.com/HA/06/N/
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ふきらです。
三十分一本勝負（http://hiki.kataribe.jp/HA06/?OneGameMatchfor30Min）。
お題は
[Role] rg[gombe]HA06event: ふたを開けるとよろよろしたふかが入っていた ですわ☆
です。ごんべさんの課題の一つでした。
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小説『朝霧にふか』
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登場人物
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高瀬夕樹（たかせ・ゆうき）：http://kataribe.com/HA/06/C/0581/
高校生で歌よみ。創作部所属。
ふか：http://kataribe.com/HA/06/C/0204/
ふか。
本編
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「もうこんな季節なのか……」
朝、玄関の戸を開けると目の前が真っ白だった。
霧である。空気がいつにもまして冷たく感じる。夕樹は、はぁと息を吐いて
みたが、息は霧に紛れ、白くなったかどうかはよく分からなかった。
「とりあえずいってきます」
勢いよく進もうとして、思った以上の寒さに一気にスピードが落ちる。マフ
ラーでもしてきたほうがいいんじゃないかと思ったが、暦はまだ10月。この時
期からマフラーをしていたらとうてい冬には立ち向かえない。
「霧と霞の違いは何か」
と呟く。当然答える人は彼以外にはいない。
「秋の季語か春の季語かの違い」
正しくは視界によって違うらしいが、それじゃあ情緒がないよな、と夕樹は
一人ごちた。
進んでも進んでも相変わらず霧の中で、ひょっとしてこのままいつのまにか
違う世界に行ってしまうんじゃないだろうかと思ってみたりもする。
「およ？」
ふと、視線の先、歩道の真ん中におかきが入っているようなアルミ製の箱が
ポツンと置いてあるのが見える。こんな場所で見かけるには珍しい部類のもの
である。
何だろうと思いながら近づく。
「おかきの箱、だよなあ……」
１メートルほど近づいてみるが、箱は箱である。何かの見間違いというわけ
でもなかった。
夕樹がじぃとその箱を見つめていると、不意にコトリとその中で何かが動い
たような音がした。
「ひょっとして、中に何かいる？」
しゃがみ込んでその箱の蓋をゆっくりと開けてみる。
別にテープで固定されているわけでもなく、多少抵抗はあったものの蓋は普
通に外れた。
中を覗き込んでみると、白い毛玉みたいなものが一つ入っていた。
「なんだこれ？」
恐る恐る指でその毛玉を突いてみる。すると、
「ふかっ」
とその毛玉は声を上げて跳ねた。
「うわっ」
驚いて思わず手を引っ込める。毛玉は２、３回よろよろと跳ねると、箱の外
に出て、くるりと回転した。
「……目がある」
夕樹の視線と毛玉の視線があった。一人と一つがそのまま止まる。
やがて毛玉は振り返ると相変わらずよろよろとしたジャンプをしながら霧の
向こうへと跳んでいった。
「なんだったんだろう？ あれ」
夕樹は毛玉が消えていった方向を見て首を捻る。彼の手元には何も入ってい
ない箱が一つ。
「ま、いいか」
そう呟くと彼は箱を歩道の脇に置いて、再び学校へと歩き出した。
時系列と舞台
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2005年10月。
解説
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ふかとの遭遇。しかし今回もやっぱり相手がふかということは知る由もなし。
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