[KATARIBE 29441] [HA06N]小説『御使い』

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Date: Sun, 23 Oct 2005 12:24:19 +0900
From: Aoi Hajime <gandalf@petmail.net>
Subject: [KATARIBE 29441] [HA06N]小説『御使い』
To: kataribe-ml@trpg.net
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Web:	http://kataribe.com/HA/06/N/
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 こんにちは葵でございます。
 ロールふったのは良いんですが。
 邪魔が入ってしまいまして、時間はちとノーカウントになってしまいましたが。
 とりあえず行きます。

 お題:毛玉などの中から白蛇がでてきた ですわ☆ 

 では。

参考ログ:http://kataribe.com/IRC/HA06/2005/10/20051022.html#170000
三十分一本勝負:http://hiki.kataribe.jp/HA06/?OneGameMatchfor30Min
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[HA06N]小説『御使い』
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 「こんにちは、また寄せて貰いました」
 「あら、十六夜さん、お久しぶりですねぇ、お元気そうでなにより、今日は
何が入り用?」
 「店長さんもお元気そうで何よりです、そろそろ涼しくなってきたし、ショー
ル作ろうかと思うんです」
 「そりゃぁいい、そうだねぇ……その着物に合う色だと……」

 吹利駅にほど近い小さな手芸ショップ。
 お店の規模にしては在庫品の種類も多く、近隣の手芸好きなら誰でも知って
いる。
 今年還暦だという老女の店長は矍鑠としたもので、レジ脇で読んでいた本を
脇に置くと、さっさと商品棚の間に入り込んで布地を選び始める。

 「あ、あと刺繍糸も切れちゃってるんです」
 「ン? 何番だい?」
 「ええと、25番です」

 袂から取り出したメモを再確認する。
 小さなメモには、刺繍糸、25番、濃紺と書かれている。

 「25番なら、ほら、ソコの棚にあるから選んどくれ」
 「あ、はい」

 明色から暗色へ綺麗に整理された棚から気に入った色目の糸を選び出し、手
に取る。
 ひょいと立ち上がった目に山と積まれた毛糸玉が目に入る。

 「店長さん、この毛糸……」
 「ああ、昨日入荷したてのホヤホヤだよ、今年の新色も混ざってるから見て
くといい」
 「じゃ、毛糸も少し頂いていこうかしら」

 と。

 「きゃっ!?」
 「どうしたね、悲鳴なんぞ……あ、ああ、心配しなくていいよ」

 毛糸の山から玉を一つ取ったその下から。

 「この白蛇様は大丈夫、心配無いよ」

 赤い目に白く輝く鱗の白蛇がスルリと這い出して来た。

 「そ、そうなんですか?……ああ……驚いた」
 「たまにね、こうしてお出ましなさって」

 物慣れた調子でレジの下から小さな瓶と杯を取り出してくる。
 白蛇は店主が差し出した杯の液体を見る間に飲み干すと、スゥと消えた。

 「御神酒を召しあがってくのさ」
 「お使い様……ですか」
 「多分ね、それにしても珍しい、客がいる時に出てきた事はないんだがねぇ、
十六夜さんアンタ気に入られたかもね」
 「あら、白蛇様に気に入られたんなら、商売も繁盛しますかしら」

 内心、みこちゃん一緒で無くて良かったと胸をなで下ろす。
 いくら商売繁盛するとはいえ、白蛇様に気に入られたとなったらあの娘寝込
んじゃうわよね、と。

 「うち位には繁盛するさね。 ま、アタシは白蛇様がお帰りになった後、こ
うしておこぼれに預かるのが楽しみなんだけど」

 カラカラと笑いながら開けかけの小瓶から手の杯にもう一杯満たし、口に運
ぶ。

 「どうだね、縁起物のお裾分け」
 「あら、昼間っからよろしいんですの?」
 「なに、御利益、御利益」

 とても還暦の老女とは見えないいたずらっぽい笑顔で片目をつぶってみせる。

 「じゃ、一杯だけ」

 その日、店を出た静音が下げた袋には、布地と刺繍糸、そしてさっきの毛糸
が入っていた。


時系列と舞台
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2005年10月。吹利駅近くの手芸ショップにて。


解説
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 たまには静姉も動かしてやらんとねぇ(w

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Aoi Hajime  gandalf@petmail.net

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