[KATARIBE 29428] [HA06N]小説『猫とヤモリ』

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Date: Thu, 20 Oct 2005 23:22:45 +0900
From: "Hikaru.Y" <hukira@blue.ocn.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29428] [HA06N]小説『猫とヤモリ』
To: kataribe-ml@trpg.net
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ふきらです。
三十分一本勝負(http://hiki.kataribe.jp/HA06/?OneGameMatchfor30Min)。
お題は

22:47 <Role> rg[hukira]HA06event: 縮こまっていたしてきたのは冷たい子ヤモリだった ですわ☆

「してきた」は無視しています。
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小説『猫とヤモリ』
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登場人物
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 津久見神羅(つくみ・から):http://kataribe.com/HA/06/C/0077/
  何げに陰陽師な大学院生。

本編
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 本格的な秋になり、昼間でも暑くなく、吹いてくる風が冷たいと感じられる
頃になってきた。
 境内の広葉樹の葉も赤や黄色に染まっている。
「ああ、もう秋か……」
 竹箒にもたれながら神羅が呟いた。
「この季節は気を抜くとセンチになっていかんね」
 賽銭箱の前からまっすぐ伸びている境内の石畳は、鳥居から透き通ったよう
な青空へと続く滑走路のように見える。
 石畳の上を掃きながら鳥居へと向かっていく。
 その途中、丁度、賽銭箱と鳥居の中間辺りで神羅は小さな黒い物体を見つけ
た。
 近づくにつれて、その物体の細部が見えてくる。
「トカゲ……いや、ヤモリか」
 神羅が近づいても、そのヤモリはピクリとも動こうとしない。そおっと指で
突いてみると、ほんの少しだけ動いた。
 石畳が冷たいせいか、ヤモリも冷たくなっている。
「ははぁ。どうせ、猫にでも連れてこられたな」
 その声に反応したのか、丁度良いタイミングで境内の林から白い子猫が顔を
出した。
「ニャア」
 その猫は一声鳴くとヤモリに向かって駆けてくく。
「あ」
 と、神羅が言う間に猫は石畳の上のヤモリをくわえると、そのまま向こう側
の林へと消えていった。
「……まあ、しゃあないか。所詮、それだけの縁であったというだけや」
 神羅はそう言って立ち上がると、掃き掃除の続きをはじめた。
 鳥居まで行って振り返ると、先ほどヤモリがいたところにあの子猫がいた。
「おや。戻ってきた」
 しかし、その猫はもう一度「ニャア」と鳴くと林へと向かっていった。
「なんなんだか……」
 竹箒を肩に担いで石畳を戻っていくと、猫がいた場所に先ほどのヤモリがい
た。
「あいつは何がしたかったんや……?」
 子猫が消えていった方を見て、首をかしげる。そして、そのヤモリを拾い上
げると本宮の廊下にそっと置いた。
「ま、ここやったら多少はマシやろ」
 神羅がそう言うと、ヤモリは返事をするかのように微かにしっぽを動かした。

時系列と舞台
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2005年10月。帆川神社境内にて。

解説
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……本当にあの猫は何がしたかったんでしょう?

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