[KATARIBE 29406] [LG02N]小説:『真昼の襲撃』

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Date: Tue, 18 Oct 2005 18:30:12 +0900
From: 葵一 <gandalf@petmail.net>
Subject: [KATARIBE 29406] [LG02N]小説:『真昼の襲撃』
To: ML <kataribe-ml@trpg.net>
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 こんにちは葵で御座います。
 やってみました三十分一本勝負
 今回はLG02編で御座います。

 お題は
 『rg[H_Aoi]LG02event: 短針銃を持った老紳士に人違いされた ですわ☆』
 ……どーせいと(w

 とりあえず、12分オーバー(えう
 なかなか難しいモンです

IRCログ:http://kataribe.com/IRC/LG/2005/10/20051018.html#170000
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[LG02N]小説:『真昼の襲撃』
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 「よっ、お姉ちゃん、どーだいこのメモリ、地球製の新型だ、安くしとくよ?」
 「わりぃね、間に合ってるよ」

 一見するとガラクタばかりを並べるジャンク屋街の狭い路地を深紅の髪の女
が事も無げにすり抜けていく。
 行き交う人々は地球人系の人間が大多数だが、マンティス人や保護スーツを
着込んだ水性人も混じる。

 「よぉ、紅龍、久しぶりじゃねぇか?」

 あちこちから掛かる声に軽く手を上げて答えながら、路地の奥へ入って行く。

 「……紅龍、久しぶりじゃの」

 路地の一番奥、人通りも途絶えた一角の石段に座り込んだ老人が気安げに声
を書ける。

 「一年ぶりくらいか? 長老も元気そうで何より、コレ土産だ」
 「ほ、嬉しいのう、年を取るとコレが楽しみでの」

 ポケットから取り出した明るい色の液体の入ったガラス瓶を放り投げる。
 長老と呼ばれた老人は年齢を感じさせない反射速度で瓶を受け止め早速蓋
を開けているる。

 「ふーむ……こりゃ、地球産の酒じゃないのか?」
 「さてね、アタシは良くわからん、貰いもんだからね」

 長老の隣に腰掛けながら方をすくめる。

 「で、わざわざワシに酒を届けに来てくれた訳ではあるまい? この老いぼ
れに何の用じゃ?」
 「さすが、察しがいいねぇ……実はナ、都合してもらいたい部品があってね」
 「ワシに頼む……という事は」
 「ああ、ディスコンだ」
 「ふむ、お前さんも酔狂だのう……わざわざ高くて使いづらいディスコン品
なんぞ使わなくても性能の良い奴がなんぼでも……」
 「それでも」

 何か続けようとした長老の台詞をぶった斬る。

 「ん?」
 「……それでも、古くても、イイ物は良いのさ」
 「なるほどのぅ、お前さんらしい」

 フッと、軽い笑みを浮かべながら路地を吹きぬける風に乱された髪をかき上
げる。
 と。

 「で……立ち聞きたァあんまりいい趣味じゃないね、出ておいでヨ」

 紅龍が背中越しにかけた一言に、路地の影からじわりと人影が滲み出す。

 「探しましたよ、白龍さん」

 現れた人影は初老の男だった。
 グレーのスーツを一部の隙も無く着こなし、足元は革靴、白髪の混じる髪は
綺麗に七三に分けられている。
 微笑めばロマンスグレーの叔父様、と女性が蕩けそうな美形ではあった。
 ただ、その相貌が憎悪に燃えていなければ。

 「あン? ダレだいアンタ、人違いじゃねえのか?」
 「貴女からその台詞を聞くとは思いませんでしたよ、白龍さん」
 「白龍……ダレだそれは……」
 「とぼける気ですか?」
 「……長老」
 「おう」

 男の問答無用な殺気に、ソロリと立ち上がった長老を後ろに庇う。

 「もう一度聞く、白龍たぁ……ダレの事だい」
 「とぼけないで下さい、髪を紅く染めても、私の目はごまかせませんよ?」

 ゆっくり上がった男の右手が懐に入る。

 「この距離です、いかに貴女の運動能力が高くても、コレなら外しません」

 流れるような動作で抜き放ったのは。

 「短針銃、か」

 超高圧の圧搾ガスを使い、太さ数ミクロンの極細タングステン針を大量に射
出する兵器。
 至近距離で食らえば、数センチ厚の鋼板ですらボロボロになるという。

 「……悪いこたァいわねぇ、人違いだからソレ引っ込めておとなしく消えナ」
 「ほぉ、言ってくれる。 では試して見ましょう!」
 「よせっ!」

 男は、躊躇無く引き金を引いた。

 「だから……ヤめとけっていったんだ」

 男の目が驚愕に見開かれていた。
 射出したはずの数百万本の針は、間違いなく紅龍の胸をえぐり抜き、心臓を
引き裂くはずだった。
 が。
 粉砕したのは。

 「じゅ、銃が……ばかな……」
 「こんな物騒な所来るのに丸腰なワケネェだろ、ワリぃが跳ね返させてもらった」
 「こんな場所、とは失礼じゃのぉ、紅龍」
 「横からチャチャ入れんなョ、長老」

 先ほどと変わらず立っている紅龍、ただ違うのは右手のブレスレットが淡く
輝いているだけだ。

 「ま、そんな訳でナ、わりィが、アタイに飛び道具はきかネェよ、さぁ、白
龍って奴の事、聞かせてもらおうか」
 「くっ」
 「っ! 待ちやがれっ!」

 自分の不利を悟った刹那、男は身を翻し瞬く間に路地の雑踏に駆け込んでいった。

 「ちっ、逃げ足ははえぇでやんの」
 「紅龍、お前さんどっかで恨みでも買ったか?」
 「あ、ああ……そんな覚えはネェんだが……」

 男に襲われた事、それよりも。
 白龍。
 ただ、その名前だけが脳裏に焼きつき、離れなかった。


時系列
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 スカード号が某ステーションに寄航した時。
 ステーション内のジャンク屋街。

解説
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 むずかしいねぇ(汗
 バトル技能ないからえらい難しい(w

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葵 一<gandalf@petmail.net>


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