[KATARIBE 29399] [LG02P]エピソード『ありふれた日常?』

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Date: Mon, 17 Oct 2005 20:26:27 +0900
From: 葵一 <gandalf@petmail.net>
Subject: [KATARIBE 29399] [LG02P]エピソード『ありふれた日常?』
To: ML <kataribe-ml@trpg.net>
Message-Id: <20051017202503.1E98.GANDALF@petmail.net>
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 こんにちは、葵でっす。
 LG02、スカード号の日常第二段(ぉぃ
 お届けします〜

 なぎぃと、Kyrieさんと、chitaさん、台詞チェックなどよろしゅー

元ログ:http://kataribe.com/IRC/LG/2005/08/20050831.html#220000
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[LG02P]エピソード『ありふれた日常?』
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 レディシア・ブラックウィドウ(レディ):
  スカード号の船長、そのレディとも姐さんとも呼ばれる。

 キーファ・オーキッド:
  マンティス人の娘、スカード号の甲板長を務める。

 カレン・ホワイトリリー:
  スカード号のメインオペレーター兼、操艦手。
  対外交渉から会計管理までこなす金髪の娘。

 松山萌生:
  ひょんなことからスカード号に乗り込んだ少年。

 紅龍:
  スカード号のメインメカニック。腕は確かなのだが、かなりマッド。
  発明に没頭すると経費と睡眠と食事を忘れるラシイ。


何のボタン?
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 ここはスカード号のコントロールルーム。
 それは、レディ・Bこと、スカード・スパイダー号の船長、レディシア・ブ
ラックウィドウの一言から始まった。

 レディ    :「ふぅむ……操艦手が一人欲しいねぇ」
 カレン    :「操艦手……ですか? 私では御不満ですか?」

 若干、心外です、とむくれてみたり。

 レディ    :「ああ(苦笑) そういう訳じゃないよ、カレンは良くやって
        :くれてるよ、でもねぇ」

 考えてもご覧ね、と。

 レディ    :「万一、お前さんが何らかの理由で操艦不能になったらど
        :うすんだい、パスティは航海士であって操艦手じゃないか
        :らねぇ」
 カレン    :「はぁ……でも、誰か適任者がいるでしょうか」
 萌生     :「教えてくれれば(挙手)」
 レディ    :「ほう、やれるのかい」

 黙って聞いてた萌生君、いざ活躍の刻至る?。

 萌生     :「コ・パイロットになるにも数百時間の演習が義務付けら
        :れてると聞きましたけど、別にいいですよね。何事にも初
        :めてというのはあるんですし」
 カレン    :「(――そもそも我々の艦にそうした一般社会の規則が適
        :用されているかというと疑問が)」
 萌生     :「で、まずどのボタンを押すのかな(見回す)」
 カレン    :「え?(汗)」
 レディ    :「ちょっとまちな? まさか本当に初めて(汗)」
 萌生     :(カバーのかかった赤いボタンを目に留める)

 コンソールの端、押せば割ることのできるプラスチックのカバーに守られた
深紅のボタン。
 今は消灯しているが、ボタンの下には発光ダイオード製のカウントダウンタ
イマーらしき物も見える。
 ボタンには。
 『髑髏』のマークがクッキリと刻まれて。

 キーファ   :「駄目です(鎌の先でこつん)」
 萌生     :「痛だっ」
 キーファ   :「やたら滅多ボタン押さないで下さい」

 鎌の先端でやったら痛いと思う。
 で。

 レディ    :「カレン」
 カレン    :「はい」
 レディ    :「あんなところに……あんな禍々しい赤いボタン、あった
        :かぃ?」
 カレン    :「私の記憶では……少なくとも昨夜までありませんでした」
 レディ    :「……まぁた紅龍かぃ(頭痛づきづき)」
 カレン    :「……後で、ボタンの用途……調べなきゃいけませんね
        :(同じく頭痛づきづき)」

 押せば判るはずだが、押してみる勇気はやはり無い。

 キーファ   :「とりあえず、操縦はいいですから、体の検査が残ってま
        :す(鎌でがしっと捕まえて)」

 パイロットシートからひょいと下ろされる萌生君。

 萌生     :「け、検査って一体何。僕は健康だよ」
 キーファ   :「一応、念のためです。大丈夫、我が船の船医は“腕は”
        :確かです(ずりずり)」
 萌生     :「助けてー(ずりずり)」
 カレン    :「――(笑顔で見送る)」


ぷろぽーしょん維持の秘訣は?
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 萌生君が引きずられてコントロールルームを出ようとしたときに。

 紅龍     :「おっと(メモでびっしりの紙束もって、入ってきて萌生
        :君を見る)新入り?」
 キーファ   :「それはこれから決めます(ずりずり)」
 紅龍     :「ふぅン……あ、カレン、これこの間の部材の請求書……
        :(プラスチックカードをひらひらと)」
 カレン    :「――お預かりします」

 大きなフレームレスの丸眼鏡を人差し指でクィッと押し上げてからカレンに
カードを手渡す。
 キラリと光る眼鏡が異様に怪しい。
 カレンは「この間」と聞いて、随分大量の部材が補給艦から搬入されていた
のを思い出す。

 カレン    :「(また痩せちゃいそうね)」
 紅龍     :「それからなァ……せめて、お昼にレーションくらいは食
        :わせてくれよー(あたまぽりぽり)」

 いや、予算喰うのは悪いと思ってるんだけどさ、と明後日を見つつ頭をかく。

 紅龍     :「ここんとこ昼抜きばっかだから……見てくれよ、ウエス
        :ト3センチも痩せちまった、他は痩せてネェのにな」

 聞く人が聞いたら、後ろから刺されかねない台詞をサラリと。

 カレン    :「あら――羨ましい(くす) 配給係に伝えておきます。
        :――食事は一日三回の方が宜しいですものね」
 紅龍     :「スマン(拝んで) 恩に着る、経費は……なるべく使わ
        :ンよーにすっから(汗)」
 カレン    :「良いんです――才能を維持するには先立つ――ものが(ふ
        :ら)

 一瞬、眼の焦点がふっと飛び、くたりと崩れ落ちる。

 カレン    :「必要――(ぱたり)」
 紅龍     :「ってオイっ(抱きとめっ)」
 カレン    :「済みません――少々――目眩が」
 紅龍     :「ってオメェ……(はっ)まさかっ……自分のメシ……抜
        :いたな?(じっ)」
 カレン    :「一日一食は――少しこたえますね(力なく微笑む)」

 力なく横たわるカレンを抱きとめる紅龍。
 展開される二人の世界に、どうしたもんかと頭をかく一同。

 レディ    :(背後の様子をきにかけながら、ニヤニヤと笑ってる)
 紅龍     :「ばっかやろぉ! おめーみてぇな細ッこい奴がンなこと
        :したら……(そっぽ向いて)……計算間違っちまうじゃネェか」

 最後まで言い切れず、ちょっと目頭熱くなる紅龍。

 紅龍     :「と、とにかくだ……レディ!」
 カレン    :「紅龍、申し訳ありませんが――もう少し静かに――願い
        :ます――頭に響いて」
 レディ    :「わァってるって、ほら(後ろを指差して)」
 キーファ   :「僭越ながら、私の手料理です(具沢山おかゆをお盆にのせて)」
 紅龍     :「すまねェな、カレン借りるぜ(よっこらせと腕引っ張って
        :無理やりおんぶ)」
 カレン    :「あ――あの――まだ仕事が終わって」
 紅龍     :「ンなもん、無期限延長だ(きっぱり)」
 レディ    :「今のところ平穏無事、なんにもないだろうよ、なあに、
        :なんかありゃあアタイ一人でもなんとかなるさね(ニヤリ)」

 ひらひらと「ホレ、行ってこい」と手を振るレディ。

 紅龍     :「それからキーファ、すまネェが、ソレ持ってカレンの部
        :屋まで一緒に頼むゼ」
 キーファ   :「任せてください。 行きますよ、CHIGUMO」
 紅龍     :「(運びつつボソッと)……すまねぇ……ありがとよ」
 カレン    :「――こちらこそ――ご迷惑をお掛けしたようで何と言え
        :ば良いのか」

 三人が出てった後。

 萌生     :「……あからさまに不健康なのがいるじゃないか……生活
        :環境よくなさげ」
 レディ    :「そりゃ、零細輸送船だしね。 戦時でもありゃア、荒稼
        :ぎできるんだけど」

 監督不行き届きだねえ、と、天井見上げつつぼやくレディ・Bであった。


カレンのお部屋
--------------


 その頃、カレンのベッドの傍らで。

 紅龍     :「(ふーっふーっ)……ほれ」
 カレン    :「じ、自分で食べられますってば(真っ赤)」
 紅龍     :「いや、ダメだ、ちゃんと寝てろ、ホレ」

 適温に冷まされたお粥がスプーンで口元に運ばれる。

 カレン    :「……(ぱく)」

 仕方なし、少し口を開くと流し込まれるお粥。
 程よく塩も効いて、空いたお腹に染み渡る。

 紅龍     :「よし(にっこり)……なんだか顔、紅けぇな、熱あるン
        :じゃネェのか?(ひょぃと、おでことおでこをくっ付ける)」
 カレン    :「っ!?」

 暫し、熱を見て。

 紅龍     :「ふむ、熱は……ネェなぁ……」
 カレン    :「……(目元まで毛布を引き上げて顔隠してる)」

 そゆことするかな(笑)。
 お粥を食べさせてから、ふむ、と腕組んで。

 紅龍     :「よし、今日はレディの許可も出たし、ゆっくり休め」
 カレン    :「はい……かえって心配かけて、しまいましたね」

 穏やかに微笑むカレン。
 が、その微笑も、次の一言を聞くまでだった。

 紅龍     :「今日は付きっきりで居るから、何でも言ってくれヨ?」
 カレン    :「え?」


 ――その後、何があったか知らないが。
 紅龍の食料が減らされることも多々あったが、カレンもブッ倒れないように
ちゃんと食べるようになったようである。
 まる。

時系列と舞台
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 萌生君がスカード号に来てすぐ。

解説
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 スカード号の何気ない日常の一コマ、第二段(w。

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葵 一<gandalf@petmail.net>


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