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Date: Sun, 16 Oct 2005 03:30:08 +0900 (JST)
From: 葵一 <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29376] [LG02P] エピソード『新型機はスキヤキの匂いに乗って』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200510151830.DAA32683@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 29376
Web: http://kataribe.com/LG/
Log: http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/29300/29376.html
2005年10月16日:03時30分08秒
Sub:[LG02P]エピソード『新型機はスキヤキの匂いに乗って』:
From:葵一
こんにちは葵です、スカード号の何気ない(のか?)日常を切り出して
みました。
久姐さん、ハリにゃ、台詞習性などよろしゅー
元ログ:http://kataribe.com/IRC/LG/2005/10/20051001.html#220000
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[LG02P]エピソード『新型機はスキヤキの匂いに乗って』
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新しい機体(玩具)がやってきた!
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ここはスカード号の格納庫。
周囲に居並ぶコグモ・ゼロや他の機体をさしおいて、格納庫中央に仁王立ち
して異彩を放つ人型機動戦闘機。
ぬめるように輝く鮮紅のボディと、漂う油の香りからまだ一度も火の入って
いない新品だと解る。
アディ :(ぽかーんと見上げてる)
機体の足下に立って、眼をまん丸にしてるアディ。
紅龍 :「なーにポカンと突っ立てンだい」
後ろからアディの頭にポンと手を乗せる紅龍。
機体と同じくらい紅い髪を無理矢理押し込んだ帽子は良いんですが、派手に
自己主張する胸部を覆うだけの、おへそが見えるチビTとホットパンツは趣味
の悪さを通り越して挑発してるとしか見えないんですが。
それはさておき。
アディ :「あっあのっ、コレ……」
紅龍 :「コレかい?(機体をパンと叩いて)さっきの輸送船で届
:いたのさ、いいだろう? アディ、あンたの専用機だよ」
アディ :「ええっ!? ほ、ほんとですかぁ」
紅龍 :「ったく、姐さんはずいぶんお前さんが可愛いらしいネェ、
:こいつは正真正銘サラっぴん、それも新型機だよ」
高かったンだよ? とつい言いそうになるのを辛うじて堪える。
んったく、人が発明するときゃブツブツいうのにねぇ。
と、改めて新型機を見上げる。
地球の中世、それも西欧の甲冑を思わせる曲線を主体としたデザイン。
天井のELパネルライトから降り注ぐ光を跳ね返す鮮紅のボディ。
背中の羽のようなジェネレータが無骨ながらもどこか熾天使を思わせる。
アディ :「あ、あのっ……紅龍さん」
紅龍 :「なンだい?」
アディ :「こ、コレ本当にあたしが乗っても……」
紅龍 :「クドイねぇ、こいつをお前さん仕様にチューニングしろっ
:て姐さんから指示されてンだ、お前さん以外に誰が乗るっ
:てんだい」
アディ :「ううううっ(うるうる)」
紅龍 :「ンったく、すぐ泣くンじゃないよ、この子は(苦笑しつ
:つ頭なでなで)」
この子は自分の器を下卑しすぎだねぇ、と苦笑しつつ頭をなでる。
現に。
この船でこの娘を疎ましく思ってる奴ぁ誰もいないんだからね。
アディ :「は、はいぃ(えくっ)……あ、あのっ」
紅龍 :「あン? まだなンか有るのかい?」
アディ :「あのっ……コレ、描いてもいいですか?(おずおず)」
差し出した紙に書かれていたのは。
紅龍 :「……『煮』かい」
アディ :「はいっ」
いや、天真爛漫な笑顔浮かべられましても。
紅龍 :「ま、まぁ……イイけどね(頭痛づきづき)」
リィ :「いや、それよりこの字の方がお勧めだな」
紅龍 :「うわぁっ」
アディ :「ひっ」
リィ、どっから出てきた。
紅龍 :「リィっ! お前、どっ、どっから湧いて来やがったっ」
アディ :(紅龍の後ろに隠れてる)
リィ :「人を化け物みたいに言わないで欲しいな、で、この字の
:方がお勧めだな」
紅龍 :「んで……『鏖』かい」
ひくひくと、コメカミに浮かび上がる#を押さえる紅龍。
アディ :「(後ろからそーっと顔出しつつ)……な、なんてよむん
:ですか?」
リィ :「ミナゴロシ……だ(ニヤ)」
アディ :「ひっ(涙目)」
紅龍 :「やめろぃ、怯えちまってるじゃネェか」
ぺちんとリィの頭をはたく紅龍。
リィ :「いて、ダメか」
紅龍 :「ダメだ、まぁ、やめときな、こいつはそもそも闘う機体
:であっても「戦争」するための機体じゃナイんだ」
愛おしげに新しい機体をなでる。
それに、と付け加える。
リィ :「それに?」
紅龍 :「そもそも、画数が多すぎらぁ、ペイントがめんどくせぇ、
:却下」
リィ :「ふむ……ところで、さっきから良い匂いがしてるんだが」
アディ :「あ(鼻くんくん)ほんとです、食べ物の匂いがしますぅ」
くんくんと、鼻を鳴らすリィとアディ。
紅龍 :「あー……コレか(にやぁり)バレちゃぁしょうがないネェ」
格納庫の隅、紅龍のラボから漂う良い香り。
仕切りのシャッターを開けると。
紅龍 :「ちょうど良い、『煮』の真の意味を教えてやらァ、アディ、
:煮るってぇのはな、こういうことナンだよ」
指差す先には、なぜか作業工房の隅に設えられた掘りごたつの上でグツグツ
煮えているスキヤキ。
アディ :「…………素敵です(うるうると目を潤ませて)」
紅龍 :「コレが地球文化の真髄『スキヤキ』だ」
いや、違うと思う。
紅龍 :「まぁ、物騒な話は置いといて、せっかく煮えたんだ、
:スキヤキ喰えや(何処からか生卵と小鉢を出してくる)」
リィ :「まぁ、そうだな」
アディ :「……(ドキドキしながら見てる)」
格納庫の片隅で。
掘り炬燵をで鍋を囲む三人。
シュールである。
紅龍 :「ホレ、アディ、お前の分(肉、肉、肉、肉、白滝)」
リィ :「ほれ、箸は使えるか?」
箸を使うリィ、割と器用である。
アディ :「えと、これを……(お箸の持ち方がわからない)」
リィ :「こう、だ(かちかち)」
両手で箸を持って思案顔のアディ。
美味しいお肉を目の前に、ちょっとうるうるしています。
紅龍 :「んぁ、ああ……箸使えネェのか、ほれ、フォーク使えや
:(ぽん)」
リィ :「箸くらい使えねば行かんぞ?」
アディ :「あうぅ」
紅龍 :「リィ、使い方覚える前に鍋が冷めちまわぁな(笑)」
アディ :「……ありがとうございます……(ぢっとお肉を見る)
:……お肉(うるうる)」
リィ :「おい、白飯は無いのか、白飯は」
紅龍 :「(肉をはふはふ)ぜーたくなやっちゃナ、ちっとしか無
:いんだからな、ホレ(御飯一膳づつ、アディとリィに)」
リィ :「おう、わるいな(はくっ)」
アディ :「……お肉です、ホンモノです(涙浮かべて)」
ごくんと口の中のお肉を飲み込んでから。
紅龍 :「アディ、良いことを教えてやろう」
アディ :「……はい?(うるうる)」
紅龍 :「鍋ってぇのはな、囲んで喰ってるときは、上官も部下も
:ネェんだ、ルールはただ一つ」
不敵な笑みを浮かべて。
紅龍 :「早いもの勝ち、だ(にやり)」
アディ :「は、はいっ」
紅龍 :「わかったら喰え(はふはふ)」
リィ :「うむ(つくつく、ぱくぱく)」
紅龍 :「ああっ、てめ、リィ、肉ばっかり喰うんじゃねぇ」
暫し。
はふはふ、ぱくぱくと。
で。
紅龍 :「それにしても……スキヤキで泣くほど喜ぶたぁ……何時
:の時代の娘かネェ(溜息)」
アディの小鉢に肉を取ってやりつつ眼を細めて呟く紅龍。
アディ :「あうぅぅ、お肉…………(じーん)」
で、数日後
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カレン :「紅龍?……事情はアディから聞きました(にっこり)」
まるで天使が降臨したかのような美しい笑み。
紅龍 :「あ(汗)い、いや、あのな、アディ、にな、その、正し
:い「煮」の字の用法をな、説明しようと(汗)」
カレン :「紅龍?」
紅龍 :「はいぃぃ(滝汗)」
カレン :「……一週間、レーションだけ……ね(ぼそ)」
紅龍 :「あう(しゅん)」
その日の夜
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リィ :「んー、たまにはああいったものも良いな」
船間通信のため、若干ノイズの入る映像が中空に浮かぶ。
パネルに浮かぶリィの顔を恨めしげに見つつ。
紅龍 :「次、やる時は材料持ち寄りな(レーションかじりつつ)」
そのころ、段ボールの「あでぃはうす」の中では。
アディ :「んふふふふ(満腹で幸せそうに丸くなって寝てる)」
時系列と舞台
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アディが来てから暫く後。
解説
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スカード号の何気ない日常(か?)の一コマ。
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