[KATARIBE 29373] [HA06P] エピソード『派遣社員事情』

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Date: Sat, 15 Oct 2005 21:18:43 +0900 (JST)
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29373] [HA06P] エピソード『派遣社員事情』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200510151218.VAA16992@www.mahoroba.ne.jp>
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Web:	http://kataribe.com/HA/06/P/
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2005年10月15日:21時18分42秒
Sub:[HA06P]エピソード『派遣社員事情』:
From:久志


 久志です。
三十分一本勝負。二本目ですわ。

(Role) rg[Hisa_kak_]HA06talk_topic: 悩み事を ですわ☆

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= 
エピソード『派遣社員事情』
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登場キャラクター 
---------------- 
 宮本奈津(みやもと・なつ)
     :ぶっきらぼうな総務さん。一児の母。
 斉藤瑞希(さいとう・みずき)
     :能天気なシステムエンジニアさん。人妻。
 理穂ちゃん:去年の新人さんらしい

本文
----

 某システム会社、普段は議論の飛びあう(たまに寝ている)会議室も、昼休
みの時間は女子社員達の憩いの食事どころとして有効活用されている。

 理穂     :「はぁ」

 お弁当のから揚げをつまみながら、盛大なため息をついたのは去年の新人の
理穂ちゃんだった。

 瑞希     :「どしたの、理穂ちゃん」
 奈津     :「元気がないな」

 もぐもぐとご飯を頬張る先輩SE(結構妙齢)の瑞希と、お茶をずずいとす
すって話を聞いていた総務の奈津(超ベテラン)が顔をあげた。

 理穂     :「……いえ、たいしたことじゃないです」

 そう言いつつ、下を向いてまたため息。思わず瑞希と奈津が顔を見合わせる。

 瑞希     :「理穂ちゃん、なにか悩みがあるんだったら、この鉄腕総
        :務であらせられるなっちゃんにお話なさい、頼りになるよ」
 奈津     :「お前も相談にのりなさい」
 瑞希     :「えー」

 びし、とつっこみ返される。

 奈津     :「まあ、置いておいて。なに、つまらない愚痴だろうとな
        :んだろうと誰かに話すだけでも随分違う、私や瑞希でよけ
        :れば話を聞こう、言ってごらん」
 理穂     :「……はい」

 ぽつんとつぶやいて、意を決したように顔をあげる。

 理穂     :「あの、半年ほど前、私は出向社員として社外で仕事をし
        :ていたんですけど」
 瑞希     :「ああ、あの出向先さんか」
 奈津     :「工藤ちゃんの紹介のところだな」

 システムエンジニアさんというお仕事の中で、社外へ出向社員として働くの
はわりと良くあることだったりする。

 理穂     :「そこでのことなんですけど……」
 瑞希     :「セクハラとかされた?あそこのおっさんスケベたらしい
        :の多いらしいからさああ」
 理穂     :「あ、いえ、そういうのはなくて(汗)」
 奈津     :「こら、話の腰を折るな」
 瑞希     :「あう、ごめん」

 ぺこん、と小突かれる瑞希。

 理穂     :「社内での地位というか、立場というか。絶対に外注社員
        :さんは正社員さんより格下扱いなんです」
 瑞希     :「ふむ、まあ、そうだろうねえ」
 理穂     :「それはわかるんです。でも何かにつけて、外注社員は権
        :限がないからとか、外注社員は正社員と違うととか」
 奈津     :「ははあ、なるほど」

 立場の違いを勝手に勘違いする輩はいるわけで。

 理穂     :「待遇の差別というか、確かに区別は必要なんですけど。
        :あからさま、というか。何かと正社員と派遣社員とで線を
        :引きたがるんです。あなたは正社員と違うのよ、みたいな」

 曰く。
 出向社員は気安く正社員の席にちかよるな。
 お手洗いの小物入れは派遣社員はつかうな。
 出向社員は席の袖机はない。
 出向社員はメールアドレスをもらえない、でも業務連絡はメールなので正社
員に印刷してもらうこと。

 瑞希     :「正社員に印刷してもらえとか言ってて正社員の席に近寄
        :るなってのもなあ、大声で呼べとか?印刷してーって」
 理穂     :「その、なんていうか。わざわざ出してあげてるんだから
        :と、恩着せがまい事を言われたり。あからさまに人を見下
        :した態度をとるんです」
 奈津     :「ふうむ。まあ、全くない話でもないからな」
 理穂     :「飲み会とかももちろん仲間はずれで、そのくせお客さん
        :との飲みがあるときは、お客さんの隣とかに座らされて相
        :手をさせるんです」
 瑞希     :「で、社員連中は勝手にもりあがってるんだ」
 理穂     :「はい……」
 奈津     :「想像できるあたり悲しいな」

 顔を見合わせて苦笑いする瑞希と奈津、まあ、似たような経験はあるようだ。

 奈津     :「理穂ちゃん、まあ確かにそのお客さんとこの態度は少々
        :問題があると思う。立場が優位だからといって、あからさ
        :まな線引きやこきおろしなどをされるのは辛いだろう」
 理穂     :「はい」
 奈津     :「だが、そこで全ての出向社員がそういう扱いをされると
        :いうわけではないことをきっちり頭に入れておいてほしい」
 瑞希     :「むしろ出向社員のほうがツラがデカイってのもある話」
 奈津     :「それはお前だ」
 瑞希     :「がーん」
 奈津     :「世の中、大人大人言っていても、大人げない人間は割合
        :いるものだ」
 理穂     :「……はい」
 奈津     :「そこで反抗したりへこんだりして君の視野まで狭める事
        :はない。無論、度を逸した態度や行動をされたら社を通し
        :て話をもらえれば我々もちゃんとお客さんに苦情を申し立
        :てるし、こうやって愚痴を話すことで君の気分を晴らすこ
        :ともできる」
 理穂     :「はい」
 瑞希     :「昔の出向先であたしの太もも触った奴とかいたよねえ、
        :苦情言えばよかったかな」
 奈津     :「……肘うちかましてたな、たしか」
 瑞希     :「はは、ははは」
 奈津     :「ともあれ、あまり役立てたかはわからないが、少しは気
        :が楽になったかい?」
 理穂     :「い、いえっ、ありがとうございます……本当にすっきり
        :しました」
 奈津     :「なに、これからも出向社員として出ることはある、出向
        :先に行ってからでも気軽に連絡をしてくれていい、その為
        :の会社であり、そのための先輩である我々がいるのだから」
 瑞希     :「理穂ちゃん、ふぁいとっ」

 こうして、昼休みは過ぎていく。


時系列 
------ 
 十月某日。
解説 
----
 後輩の悩み事相談を受ける奈津と瑞希。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
以上。

似たような相談をうけまして。




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