[KATARIBE 29370] [HA06P] 一つの終わりの形

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Date: Sat, 15 Oct 2005 20:05:09 +0900 (JST)
From: hiro <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29370] [HA06P] 一つの終わりの形
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200510151105.UAA12720@www.mahoroba.ne.jp>
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2005年10月15日:20時05分09秒
Sub:[HA06P]一つの終わりの形:
From:hiro


hiroです。今、かなり落ち込んでます。
そんな状況で書いてみましたが上手くできませんでした。
一応流します。
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「一つの終わりの形」 
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登場人物 
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 御剣劉斗  :武道派。対人関係は上手くいっていない

 一之瀬二条 :怪しい人。独り言が多い。
 
 波佐間御南深:今回ちょい役のルーン魔術師

夜道。少年の語り。
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 彼は歩く。彼は一人道を歩く。今の彼、自身の様に。 

 一之瀬   :「この世という物は、真に上手くいきませんね。私が探しているもの
       :があっていくら探してもみつからなかったりするわけです。しかもそ
       :の様なことが続いて、あきらめ、忘れかけたころに、もしくは心の準
       :備が全く出来てない時に限って見つかったりするものです。」

 彼は誰も居ないような真夜中の道で語りだす。それは誰にむかって言うのでもなく自
分自身に言うように、又世の中に語るように。聞いてるとも知れない、世界に。 
 
 一之瀬   :「そうですね。風もだいぶ冷たくなってきましたね。これが四季の秋
       :ですか。ふむ、なんとも言えない切なさに襲われますね。こんな時
       :でも私は自分の考えを言うわけですね。人一人があがいても、世の中
       :は変えられない。復讐なんて意味を成さない。そんな不毛なことに時
       :間を費やすようならば、変えられるはずのないであろう世界に向かっ
       :て、あがいてみることの方が有意義です。そうですね、誰も聞いてい
       :ません。しかし、私は語るのです。私は、この世界にいる以上、何
       :か成し遂げたい。この世界に向かって、私のできる限りのことを。誰
       :も聞いていなくとも。だから私は語るわけですふむ、いけません。感
       :傷的ないせいか、喋り過ぎた気がします。そろそろ帰らねばなりませ
       :ん。」

 ひとつの風。それが秋を告げるものであろう。

 彼は語る。己を。そして、自分の考える事を。其は簡単にできるものではない。ほとんどの
人は耳を傾けない彼の言葉。それでも彼は語る。自分に。世界に向かって。人に向かって。


森。再びの出会い
------------------

 ひとつの風。それが秋を告げるものであろう。

 少年が行く。森の中を。それが運命かどうかは定かではない。

 劉斗     :「ち、案外遅くなったな。」

 今日は文化祭で、そのため遅くなってしまった。よくよく考えると明日は母さんと父さんの
死んだ日だった。しかし、明日は台風が来るかもしれない。遅くなっても仕方がないが
森を抜けて田舎まで急ぐことにした。

 彼は気づかなかった。すぐそこまで彼と深い因果を持つものが居る事に。そして、それ
は彼に牙をむく。

 劉斗     :「――っ!?」

 横からの気配を感じ取った刹那、彼は衝撃を受け木に叩きつけられる。そしてそれは月
の光を受け、森に立つ。そして彼はそれを見て驚く。

 劉斗     :「……嘘だろ。お前は……!」

 それは俗に言われるワーウルフの類だった。しかし、それに自我はもう無く、ただ牙をむき、
つめを振るい、あらゆるものを傷つけ、食べるだけのもの。だがなによりその顔には目立つ傷
跡。それが意味するものは。

 劉斗     :「お前は……俺の敵…………!」

 その声に反応するかのように、それは吼える

 それは昔、彼の両親を奪ったものだった。そして、今日。それが再び彼の前に現れる。

 風。それは秋を告げるもの。この出会いが運命かどうかは定かではない。

 
仇。力の差。
------------------

 彼は前野に作ってもらったナイフを構えた。そして敵ののどに向かって投げる。しかし、
あっさりそれに弾かれる。だが同時に弾いた隙を狙って彼は切りかかる。狙うは腕。
腕にあるその切れ目に向かい彼は切りつける。だがそれは素早く後ろに下がり避ける。
と同時に蹴り上げてくる。

 劉斗     :「つっ!」

 彼も流石に簡単にはやられない。持っていたナイフ一本でそれを受ける。しかし、ナイフは
壊れ使い物にならなくなる。しかし彼はその衝撃を利用して後ろに飛ぶ。跳躍しながらの投
擲は、敵の動きを止めるためだが、同時に切れ目を狙った攻撃でもある。しかしそれは投げた
ナイフを弾き、こちらに向かって飛ばす。

 劉斗     :「嘘だろっ!」

 そんなことをぼやきつつも、彼は返って来たナイフを叩き落とす。しかし、全ては落とせない。
一本が肩をえぐり、もう一本は頬をえぐる。

 劉斗     :「……っ!」

 利き腕の肩では無かったのが幸いしたが彼はあせる。ナイフが通用しない。そんなことを考え
てた時間はほんの一秒足らず。しかしそれは爪をたて、彼に襲い掛かる。

 劉斗     :「がはっ!」

 足に傷。彼は動けなくなった。血が抜け意識も遠のくそしてそれは勝利の雄叫びを上げる。


ヒトツノオワリ
--------------

 彼は今ボーっとしていた。解るのは今自分が、死にそうになっていると言うことだけ。だが、今の
彼にはそれさえ解れば十分だった。

 劉斗    :「(まだ、しなない。死にたくは無い。)」

 彼の足は動かない。肩も片方やられて使い物になりそうではない。しかし、彼には眼があった。
今までとは違う、別の見え方をしていた。線は無い。しかし、彼には一つの「点」が見えていた。
そして彼はそこに最後の力で父の形見のナイフを投げる。

 それは、ナイフを腕で受け止めようとした。しかし、その腕を貫き、吸い込まれるようにナイフは
点に刺さる。

 神聖なる金属。その軌道は白銀。それはまるで無慈悲なる光。

 それは声も無く絶命していた。むしろ出せなかった。死体はなく、そこには一塊の粉の様なもの。
一陣の風。そこには何も無くなった。彼も又、倒れた。だが、

 風。それは始まりを告げるもの。同時に終わりを告げるもの。


 彼は生きていた。大怪我ながらも動けている。生きようとする力は何よりも強かった。自身の魔
力に支えられ、傷はふさがり、意志の力で動いていた。それでも彼は死に掛けだったが、運よく魔
術師に助けられた。魔術師は何も聞かなかったが、「もう少し、まともな生活をしてみたらどうだい?」
とだけいった。

 晴れやかな気分。自分が倒したと言う実感は沸かない。しかし、不思議と胸のつかえがとれ、俺は
今、朝を迎える。今日は文化祭二日目だ。今までの迷惑分くらいは、クラスのためにがんばってやろう
等と言う気分にもなった。暗い気分は全く無い。冷静にはなれるが、落ち込むことは無いような、そん
な晴れやかな気分だ。少し遅れてしまったが、墓参りにも今度行こう。報告と、抱負をいいに。

時系列
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文化祭一日目

解説
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取り合えず、劉斗を完結させてみました


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