[KATARIBE 29318] Re: [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005   Never Forget Memories 』

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Date: Sat, 8 Oct 2005 01:33:33 +0900 (JST)
From: いー・あーる  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29318] Re: [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005   Never Forget Memories 』
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2005年10月08日:01時33分32秒
Sub:Re:  [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005  Never Forget Memories』:
From:いー・あーる


ども、いー・あーるです。
文化祭、では当日の午前の風景。
……ええ、こうなってます、ええ(汗)。

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エピソード『吹利学校高等部学園祭2005 Never Forget Memories』
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登場人物
--------
  関口聡(せきぐち・さとし)
   :周囲安定化能力者。現在片目は常に意思と感情を色として見ている。
  桐村駿(きりむら・しゅん)
   :野球部の主力投手。クラス一、もとい学校一のちびっこ。
  中里嘉穂(なかざと・かほ)
   :姐御肌の同人誌作成者。上二人と同じクラス 
  中村蓉子(なかむら・ようこ)
   :SS部所属。秋風秦弥の彼女。関口とは同じクラス。
  蒼雅巧(そうが・たくみ)
   :霊獣使いの家の一員。高校二年生。非常に真面目。
  桃実匠(ももざね・たくみ)
   :桃実一刀流小太刀術の伝承者。ギャップは激しい(?)。


メイド服と軍服
--------------

 そして文化祭の一日目の朝。
 恐らく生徒の殆どが、天気予報を睨んでいたのではないか……と思われる。

 駿      :「大丈夫かよ、カホちゃん」
 嘉穂     :「……あたしに訊いても、天気は良くならないって(汗)」

 台風が、どうやら着々と吹利に近づいているらしい。
 直撃するかどうかは……今のところ不明。

 嘉穂     :「預かって貰ってた料理とかは?」
 歩      :「半分くらいこちらに持ってきてるかな」
 女子生徒A  :「ポットもって来た人、速攻水入れて沸かしてっ」

 どたどたばた。
 開店(?)までの時間はそこそこあるのだが、学校内でフライング的に早く
来る面子も居ないではない。なんせ巨大学校、文化祭に見たいネタは山ほどあ
る。半分は自由時間になるとしても……致命的に時間が足りないのだ。
 このクラスも、調理係、メイド、双方共、午前と午後とで交代することにな
る。午後勤務組は、既に目当てのクラスや部活動のほうに散っているらしい。

 聡      :「……あいたっ」
 蓉子     :「ちょっと待って、関口君、髪の毛引っかかってる」
 聡      :「あ、ありが……いて」
 蓉子     :「ちゃんとホックを止めないから……はいできた」

 ばたばたばた。

 女装メイドA :「お盆ー、お水とお盆どこだっ」
 嘉穂     :「そこ、メイドが怒鳴らないっ」

 外の飾り付けを点検する者、紙皿をまとめてセットする者、テーブルに置い
てあるメニューを確認する者。
 
 女子生徒B  :「わ、嘉穂、まずいっ、卵のサンドイッチがこれじゃ足ら
        :ないよっ」
 劉斗     :「あんだけ卵茹でたのにかよ」
 嘉穂     :「違う違う、向こうに置いてあるの、とって来てないだけ
        :だよ……って、まずいな、誰か場所知ってる人!」

 ばたばたばた。
 始まってしまえば後は雪崩れのようなものだし、何が足りなくなってもそこ
はそれ、何とかなるものなのだが……。

 天候も台風も、この場合は頭からすっぽ抜ける勢いで。
 皆が走り回っていたりするのである。

             **

 文化祭開始。そして開店。

 メイドA   :「はい、御注文お決まりでしょうか」
 お客     :「あー、紅茶とね、あと……クッキー下さい」
 メイドA   :「はい、少々お待ちください」

 ぱたぱた、と、調理係のほうに注文を持ってゆく途中で。

 メイドA   :「関口君、お水があそこ出てない」
 聡      :「あ、ほんとだ」

 人数を確認。お盆に水を二つ載せて、ぱたぱた、とテーブルに向う。嘉穂の
歩き方特訓を、内心感謝しつつ。

 聡      :「お待たせしました、御注も」
 客A     :「きゃー、関口君っ」

 聞こえる範囲の面々が、一瞬固まる勢いでは、あった。

 客A     :「わ、わ、運がいいーっ」
 聡      :「……は?」
 客B     :「あーごめんごめん、えっと注文は……メイドさんは何が
        :お勧め?」
 聡      :「……えっと」

 時間的にまだ早いので……と考えてるうちに、

 客A     :「ねーねー、写真撮っていいっ?(わくわーく)」
 聡      :「…………は??」
 客B     :「こら、メイドさん困らせないっ……えっと、紅茶って、
        :アイスティ?」
 聡      :「あ、はい、アイスでもホットでもどちらでも」
 客B     :「じゃ、アイスで、それと」

 きゃーきゃーと興奮しまくっている一名を放り出して、注文を終えてから、
恐らくは先輩である彼女は声をひそめた。

 客B     :「ここまできゃーきゃー言うのは珍しいけど、結構これか
        :ら目当てで来る面々多いと思うから」
 聡      :「はあ……」
 客B     :「忙しい時はびしっと言わないと駄目よ、何時までも付き
        :合わされるから」
 聡      :「……有難うございます」

 先輩の警告である。
 有難く受けるべき……なのだろうけれども。

 駿      :「関ちゃん、なんかあった?」
 聡      :「……あんまし考えたくない、かなあ」

 と、ぼやいた声をきっちり聴き取っていた一名がじろっと聡を見やった。

 嘉穂     :「あ、それ無理」
 聡      :「へ?」
 嘉穂     :「てか、注文が多かったら、写真撮影、廊下でしてきてい
        :いからね。それサボりじゃないし」
 聡      :「…………」

 溜息を、一つ。

 嘉穂     :「うちのクラスの売上倍増のために頑張ってね(にこりん)」
 聡      :「……それ、昼御飯一回分くらいにはなると思うけどな」
 嘉穂     :「サンドイッチ確保しとくわ」
 聡      :「……注文はアイスティとスコーン、どちらも二人分です」
 嘉穂     :「はい諒解」

 注文を、調理係へと復唱してから、嘉穂は聡のほうを見やり……
 そしてにやっと笑った。

 嘉穂     :「覚悟完了?」
 聡      :「仕方ない、からね」
 嘉穂     :「さーんきゅ」

          **

 気配が、あった。
 それは足音とも言えたろう。確かに数人以上の足音がする。
 けれどもそれ以上に……何とも強烈な。
 気配。

 聡      :(あ)

 くるっと振り返ったところに。

 聡      :(秋芳君(笑))

 普通には聞こえず見えない筈の大きな鷹は、ふわり、と、扉から入ってきた。
 まるで、先触れのように。

 匠      :「お、来たったでー」
 巧      :「失礼します」

 そして、それに続いて入ってきた二人は……見事に対照的な格好をしていた。

 聡      :「わー、先輩来て下さったんですか」
 巧      :「はい」

 要するに、以前会った時と同じ格好なのだが。
 片や略章やら何やら、結構丁寧に作られた軍服、腰にはサーベル、おまけに
深い紺のマントまでぴっしりと着付けた一名と。

 匠      :「オレも仲間にいれてやー」
 聡      :「あ、匠君も、どうぞー(にこにこ)」

 着流しの着物に妙としか言いようの無いちょんまげのカツラ、手にはお約束
のハリセンを持った一名と。
 金茶色の鷹が、ふわりと巧の肩に着地した。
 それを合図にしたように、先程から少し口ごもっていた巧が口を開いた。

 巧      :「ええと……お似合いです、気を悪くなさったら謝ります」
 聡      :「いえ、似合ってないより有難いです。先輩の目は確かだ
        :し(にこっと)」

 入ってきた客からは見えないのだが、店側からは、その後ろの戸口で鈴なり
状態の野次馬(というべきかどうか)が良く見える。その意味では……聡も相
当居直っている、と言える、のだが。
 ……が。

 匠      :「怖いくらい似合うてるで」(かいぐりかいぐり)
 聡      :「怖い、ですか?(きょとーん)」

 きゃーーーっと、声にならない嬌声が戸口のほうから上がり、流石に巧のほ
うがぎょっとしたように振り返った。

 匠      :「あーっ、もうっ、そのきょとんとした顔も可愛いいなぁっ」
        :(かいぐりかいぐりかいぐり)

 きゃーきゃー言う声が……これは聞こえてても遠慮をする性質ではないのは
元から明らかなわけだが。

 聡      :「て、うわ、あの、頭の取れちゃうんで……」
 匠      :「だいじょぶやって」(かいぐりかいぐり)
 聡      :「えっと……あの、カチューシャでかろうじて止まってる
        :んですが(汗)」

 なでなでなで。

 巧      :「あの、桃実殿。程ほどになさらないと……」

 見るに見かねたのか、巧が手を伸ばして聡の両肩を掴み、匠の手の下から引っ
張り出した。
 途端に、それまで以上の声がうわーーーっと上がる。

 女装メイド  :「何時からうちはコスプレメイド喫茶になった(汗)」
 メイド    :「……多分もとから(真顔で断言)」

 などと手の空いた係の面々がこそこそ話している間に。

 聡      :「あーあ」
 巧      :「大丈夫ですか、聡殿」

 言いながら完全に歪んだヘッドドレスを頭から外し、さっさと手櫛であちこ
ちに跳ねた髪の毛を整えてやる。

 戸口の客A  :「うっそ、美味しいーっ(きゃーっ)」
 戸口の客B  :「ちょっとカメラカメラっ!!」

 で、くちゃくちゃにした張本人は、

 匠      :「そっと優しく撫で付けてやるんやー」

 …そこ、離れたところからこそこそ言わない。

 聡      :「あ、有難うございます」
 巧      :「いえ、礼には及びません」

 手に持ったヘッドドレスを手渡す。受け取った聡が頭に止めつけて、後ろで
リボンを結ぶと、最後の仕上げのようにさっさともう一度髪の毛を撫で付ける。

 匠      :「そこやーっ、そこできゅっと優しくつつむように抱くん
        :やー」

 ……と、言葉の内容はともかく、こそこそと言っている匠の横から。

 SE     :ばこっ
 匠      :「あいたっ──ほんの冗談やんかっ」
 嘉穂     :「冗談にしては品格に欠ける」

 喫茶店についての覚書をぎっしりと書き込んであるノートを丸めたもので、
どうやら一撃食らわせたらしい。

 匠      :「期待しとったんちゃうんかいな」
 嘉穂     :「期待はしていたが、そんな派手なことは望まないっ」

 それはそれはもう、えらそげに胸を張っての言葉である。

 嘉穂     :「時代はビクトリアか日露戦争直前、どちらにしろ人前で
        :べたべたするような時代じゃない。そこでどちらも品位を
        :保ったまま、それでもってのが美味しいんじゃないのっ!」

 ……いあその、小声なのは判るが、握り拳で力説しないように。

 蓉子     :|・)

 で、そこで蓉子ちゃん半分隠れて覗かない(気持ちはわかりますが)。

 聡      :「とりあえず……お二人ともこちらにどうぞ(苦笑)」
 巧      :「有難うございます」
 匠      :「ほいほい」

 出来るだけ廊下から離れた、奥のほうの席へと案内して……まあ、多少なり
と戸口から覗いている面々の影響を軽減した筈、だったのだが。

 嘉穂     :「すいませーん、廊下の皆様」
 廊下の客C  :「あ、ねえねえ、中入って写真撮っていい?」
 嘉穂     :「あ、それはちょっと……ご覧のとおり、中はそんなに広
        :くないですから、座ってちょっと写真撮るくらいならとも
        :かく、あまり本式にされますと……」
 廊下の客複数 :「えーー」
 嘉穂     :「いや、ちょっとお待ち下さい」

 にっこりと微笑んで。

 嘉穂     :「後で必ず、廊下で撮影タイムをとります……但し!」

 きゃーっと上がりかけた嬌声をさっと片手の一振りで抑えて。

 嘉穂     :「せめてアイスティの一杯でも、飲んで頂きたいなーと」
 廊下の客B  :「……撮影料ってとこ?」
 嘉穂     :「お気持ちということで(にこにこ)」
 廊下の客A  :「妥当だと思うわ」
 嘉穂     :「そう言って頂けると、ほっとします(にこにこ)」


 ある意味……仁義もへったくれも無い風景なのだが。
 何となく一同、納得するあたりが……怖いかもしれない。

 聡      :「ええっと注文は、アイスティ二つと、サンドイッチと」


 とりあえず……まだまだ一日目の、半分も過ぎてなかったりする。


時系列
------
 2005年9月。文化祭初日、午前。

解説
----
 売上のためなら、クラスメイトの一人や二人売り飛ばしても!
 ……な、まあ、勢いってのはあるもんですね。
 女装メイド喫茶、どうやら一部には異様に好評のようです。

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てなもんで。
ではでは。

 


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