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Date: Tue, 04 Oct 2005 01:03:56 +0900
From: "Hikaru.Y" <hukira@blue.ocn.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29310] [HA06N]小説『金木犀の香る頃』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200510031603.AA00068@hikaru-h8akl379.blue.ocn.ne.jp>
X-Mail-Count: 29310
Web: http://kataribe.com/HA/06/N/
Log: http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/29300/29310.html
ふきら＠リハビリビリ です。
2005/10/04 #HA06-01にて
00:30 >hukira< とりあえず、ネタでも求めてみる
00:31 >hukira< .rg HA06event
00:31 <Role> rg[hukira]HA06event: 一心不乱にまつわりついてきた和服の女性に出くわした ですわ☆
00:31 >hukira< いやはや、これはこれは……
00:32 <Hisa_sake> ホラーていすと
00:33 >hukira< 和服って辺りが肝ですな
00:33 >hukira< まあ、これをネタにちょっくら書いてみよう
ということです。
うーん、ちょっと微妙ですかね。
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小説『金木犀の香る頃』
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登場人物
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津久見神羅（つくみ・から）：http://kataribe.com/HA/06/C/0077/
何げに陰陽師な大学院生。
本編
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10月に入った頃。昼間の日光も夏に比べるとすっかり弱まり、むしろどこか
寂しげな感じもする。
帆川神社の境内を囲む木々も広葉樹が葉の色を変えつつあった。
特に行事がなければ人気のない神社も秋の気配と相まって更に寂しげな雰囲
気を醸し出していた……はずだった。
「いやん、一年ぶりやわぁ」
本宮の裏側、正面の鳥居からは見えないところで少女の声がしている。
「まあ、そりゃ一年ぶりやけど……だからといって、そんなにべたべたせんで
も……」
淡い橙色の和服に身を包んだ少女が神羅に抱きついている、というか、しが
みついている。二人の後ろには大きな金木犀の木がある。ポツリポツリと、小
さな橙色の花を咲かせ、微かに甘い匂いを放っている。
「そんなつれないこと言わんといてやぁ」
言葉の内容は非常にベタだが、外見が少女だけに変なギャップがある。
「私を生んだ責任を取ってほしいわあ」
「……他人が聞いたらめっちゃ誤解されそうなことを言うなぁ」
「やって、ほんまやん」
けろっとした顔の少女。
「そりゃまあ、確かに２年前に作ったのは事実やけど」
「な？ 事実を認めたんやし、観念しいや」
神羅は渋々という感じでため息をついた。
不意に、それまでニヤニヤとした表情を浮かべていた少女が真面目な顔にな
る。
「どうせ、ほんの数週間の命やし」
神羅が眉をひそめ、二人とも口を閉ざす。一瞬、静寂が辺りを包みこんだ。
風が吹いて、木々の葉を揺らし、カサコサと音を立てる。
「……そんなことは言うなって」
「そう思うんやったら、また今年もよろしくっ」
そう言って、少女は笑う。
「ま、とりあえず挨拶にいこか。今年は住人が増えたし」
「へえ、それは楽しみやわぁ」
二人並んで、境内を歩いていく。
誰もいなくなった境内に金木犀の香が漂っていた。
時系列と舞台
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2005年10月初旬、帆川神社の境内にて
解説
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つまり、少女は金木犀の精なのでした。
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