[KATARIBE 29266] Re: [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005   Never Forget Memories 』

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Date: Mon, 26 Sep 2005 22:51:33 +0900 (JST)
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29266] Re: [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005    Never Forget Memories  』
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2005年09月26日:22時51分33秒
Sub:Re: [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005   Never Forget Memories 』:
From:久志


 久志です。
文化祭前日の風景を追加。

趣味で伝欧寺さんを借りてます。

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エピソード『吹利学校高等部学園祭2005 Never Forget Memories』
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登場人物
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 乃藤礼門(ないとう・れいもん)
    :地下探検部部長にして、小規模部活動連絡会会長。
 蒼雅巧(そうが・たくみ)
    :地下探検部部員。霊獣使いの一族。非常に真面目。
 ウンカバル・伝欧寺(うんかばる・でんおうじ)
    :人間哲学の卵。人には言えない26の秘密があるらしい。

鷹の目
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 吹利学校高等部校舎上空。
 強風が吹きすさぶ中、時折笛が鳴るような高い音が響く。

 屋上の柵の上、身体を覆ったコートを風になびかせるままに立つ影。
 つば広の帽子を強風に飛ばされることもなく目深に被り、眼下に広がる光景
をじっと眺めている。

 伝欧寺    :「近い」

 うねる風が長いコートを巻き込むようにふわりと躍らせる。
 まるで、どこか生き物じみた何かを潜めているかのように。

 秋芳     :「ピィィッ!」
 伝欧寺    :(見上げる)

 吹き荒れる風の中、大きく広げた翼で力強く羽ばたく一羽の鷹。
 そのまま風の流れを読み取り、羽ばたいていた翼を広げて大きく円を描くよ
うにゆっくりと校庭へと舞い降りて行く。

 伝欧寺    :「面白い」

 だんだんと小さくなってゆく鷹を見送り、小さくつぶやいた。


巨大迷路
--------

 ついさっきまで、あちこちで響いていた金づちの音も、暗幕が擦れる衣擦れ
の音はすっかり止んでいた。かわりに吹き付ける風のびりびりした音と、迷路
の板が風に煽られて軋む音、暗幕をはためかせる音が止むことなく響いている。

 巧      :「…………」

 目を閉じて風の中をじっと立ち尽くす巧。
 その目には強風の吹きすさぶ風の中を飛ぶ秋芳の目を通して、校舎上空から
見た巨大迷路が映っている。

 多少のゆがみはあれど整然と仕切られた巨大迷路は、とても短期間で作られ
た急造のものとも思えない立派なものだった。

 巧      :「…………」

 視界に広がる迷路がだんだん近づいてくる。その傍らに目を閉じて立つ自分
自身の姿もわかるほどに。

 閉じた目を開く。

 巧      :「秋芳、戻れ」

 ピィと甲高い鳴き声が響き、伸ばした腕に霊鷹がゆっくりと舞い降りてくる。

 巧      :「ご苦労、秋芳」
 秋芳     :「ピィッ」

 指先で軽く喉元を撫でる。

 巧      :「見事ですね……これだけの巨大な迷路であり、かつどこ
        :か清廉な雰囲気さえ感じます」
 礼門     :「うん、全体を地下迷宮に見立てて、穢れを祓う術式で設
        :計したというからね」
 巧      :「なるほど、それで。すばらしいですね」
 礼門     :「問題なく、うん……問題ないはず」

 完成した迷路を見上げてつぶやく礼門。

 巧      :「礼門殿、まだ何か不安でも?」
 礼門     :「……ううん、いや……どうしてだろう」 

 頬に吹き付ける、どこか淀んだ何かを含んだ風。小さくかぶりを振る。

 礼門     :「大丈夫、設計したのは彼だ」
 巧      :「はい?」
 礼門     :「大丈夫……」
 巧      :「ええ、そう……願います」

 二人の背後はるか上空、風に舞うように飛ぶマントの人影が飛んだ。

 秋芳     :「ピィッ!」
 巧      :「秋芳、どうした?」

 振り向いた先には、既に何も居ない。


場所・時系列
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 九月初め。文化祭準備期間中。完成した巨大迷路を見ながら。
解説
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 完成した巨大迷路を上空から眺める巧と礼門との会話。

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以上。





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