[KATARIBE 29219] Re: [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005   Never Forget Memories 』

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Date: Thu, 22 Sep 2005 00:55:12 +0900 (JST)
From: いー・あーる  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29219] Re: [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005   Never Forget Memories 』
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2005年09月22日:00時55分12秒
Sub:Re:  [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005  Never Forget Memories』:
From:いー・あーる


ども、いー・あーるです。
ちょとだけ話書いてみました。
本筋の台風については、関係無い連中ですが。
礼門氏、等、皆様お借りしました。
言葉等、問題ありましたら、どうぞ宜しくです。

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エピソード『吹利学校高等部学園祭2005 Never Forget Memories』
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登場人物
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  関口聡(せきぐち・さとし)
   :周囲安定化能力者。現在片目は常に意思と感情を色として見ている。
  桐村駿(きりむら・しゅん)
   :野球部の主力投手。クラス一、もとい学校一のちびっこ。
  乃藤礼門(ないとう・れいもん)
   :地下探検部部長にして、小規模部活動連絡会会長。
  空観木葉(そらみ・このは)
   :地下探検部部員。変異持ちの盲目少女
  蒼雅巧(そうが・たくみ)
   :地下探検部部員。霊獣使いの一族。非常に真面目。
  津山三十郎(つやま・さんじゅうろう)
   :地下探検部部員。猫耳着用のかなり変人。

English Tea Time??
--------------------

 無論一般の生徒達にとっては、文化祭前の忙しい日であるだけのことである。

           **

 聡      :「すいません、先輩」
 巧      :「いえ、有難いです」

 大皿に盛ったサンドイッチをつまむ……前に、聡が鞄から配った使い捨てお
絞りで手を拭いて。

 聡      :「皆さんも、味見お願いします」
 礼門     :「へー、サンドイッチ」
 聡      :「ちょっと……クラスで揉めまくってて」

 辟易したような顔になって、聡がこぼす。
 
 木葉     :「いただきます……揉める?」
 聡      :「こっちとそっちと、どっちが紅茶に合うか」

 成程、大皿の一部にはアルミホイルで仕切りが作ってある。

 木葉     :「こっちと(片方指差して)そっち?」
 聡      :「そう、なんです。どっちがこのお茶に合うかって」

 言いながらペットボトルに詰めた紅茶を取り出し、やはり持ってきていた紙
コップに紅茶を注ぐ。既成のものとは思えないはっきりとした芳香が漂った。

 三十郎    :「おお、気が利くな一年生」
 木葉     :「まず手を拭いて!」

 巨大迷路を作成している最中の面々が、手を休めてわらわらと集まってくる。

 礼門     :「ってことは、こっちとそっちを、食べ比べてみろと」
 聡      :「お願いできますか」
 巧      :「……む」

 どちらも胡瓜のサンドイッチである。
 但し、片方にはマヨネーズが塗ってある。
 片方はバターのみ、ただし胡瓜自体にしっかりと酢で味がついている。

 木葉     :「あ、こっちのほうがあっさりしてる」
 聡      :「っていうと」
 木葉     :「こっちです、マヨネーズじゃないほう」
 聡      :「……ありがとうございます」

 やっぱり鞄からノートを出して、メモする。

 巧      :「紅茶にはこちらのほうが合うようです」
 聡      :「巧先輩も一票……と」
 巧      :「しかし聡殿、揉めているというのは?」
 聡      :「それが……」

 メモから目をあげて、やっぱり少しうんざりした顔になる。

 聡      :「うちの総責任者がやったら凝る人で、どうせメイド喫茶
        :なら英国のお茶受けを作ってみようって言い出して。調べ
        :たら胡瓜のサンドイッチってのがあったらしいんです」
 礼門     :「それが……こっち?」
 聡      :「はい」

 マヨネーズの入ってないほうを掲げて見せた礼門に、こっくりと頷いて。

 聡      :「一応そっちに決まりかけたんですが、男子の一部がこれ
        :じゃちょっと物足りないだろう、身体を動かしてる人だと
        :やっぱりマヨネーズ味だ、って言い張って」
 三十郎    :「マヨネーズだろうが酢だろうが大差無い」
 
 その割に二つ目に手を伸ばしながらの発言である。

 木葉     :「みんなの分なんですから、遠慮というものを……っ」
 三十郎    :「いやさ一年生、身体を動かしている人ならばやはり動物
        :蛋白だと思うが?」
 聡      :「あ、一応、こっちが卵サンドで、こっちはハムサンドな
        :んですが」
 三十郎    :「やはりサンドイッチといえば焼きソバサンドやコロッケ
        :サンドを期待するものだっ」
 木葉     :「差し入れて貰っといて、何ですかその言い草はっ」
 聡      :「……それ動物蛋白メインじゃないと思いますけど」
 礼門     :「あ、確かに」

 つまんだサンドイッチを口に放り込み、紅茶を口に含む。

 礼門     :「これ、市販の?」
 聡      :「いえ、アールグレイを冷したもの、らしいです」
 木葉     :「凝ってますね」
 聡      :「やるならきっちりやろうじゃねーかってのが、総責任者
        :の発言でして」
 
 ここに来るのも、メイド服着用、との命令が一度は下ったのだが。

 聡      :「汚したら洗うのは大変だと言ったら、それもそうだろう
        :ねと」
 木葉     :「…………メイド服着るんですか?」
 聡      :「ええ、僕の他にも数人」
 礼門     :「あれ?」

 紙コップを空にした礼門が首を傾げた。

 礼門     :「もしかして……一人、野球部のほうに行かなかったかな」
 聡      :「あ、桐村君だ」
 巧      :「……とすると桐村殿という方は、メイド服にて……」
 聡      :「まあ、色々ありまして」

 一回ずる休み分、今回メイド服を着せ付けられたらしい。

 聡      :「あ、そしたら、どっちが美味しいか、あと、どんなの食
        :べたいか、とかあったら教えてもらえませんか」
 三十郎    :「焼きソバサンド」
 木葉     :「まだ言うかっ」

 試食した面々から色々な意見を聞いて、聡がメモを取り終わった頃に、野球
部の部室のほうから、何となくよれたメイドがへたへたと歩いてきた。

 聡      :「あ、桐村君、無事で」
 駿      :「ぶ、無事じゃねえっ!」

 手に、空になったペットボトルと大皿を持っているところを見ると、やはり
同じ目的で野球部にお使いに出されたようだが。

 駿      :「絶対行くからなーとか言いやがってーーっ(号泣)」
 聡      :「それ、中里さんが行った時から決定だと思ってたけどな」
 駿      :「なんで関口、そんなに冷静なんだよー(泣)」

 黒いワンピースに白いエプロン。少し丈は長めだし、袖も多少長いようだが、
その長い袖をフリルのついたアームバンドでたくし上げている。
 短い髪に、フリルのついたヘッドドレスがやたらに映えている。

 聡      :「そっちはどちらが好評だった?」
 駿      :「一応、酢のほうかな……でも、何かどっちもどっちで、
        :メイドさーんお茶がもう無いとかあいつらこき使いやがっ
        :て、味どこじゃないみたいで……」
 聡      :「…………何か納得するなそれ」
 駿      :「納得するかっ?!」

 食って掛かりかけたのを、まあまあと手でいなしてから。

 聡      :「じゃ、一緒に帰ろうよ。こちらも皆に答えてもらったし」
 礼門     :「でも、まだサンドイッチが残ってるけ……」
 三十郎    :「案ずることはないっ」
 木葉     :「あ、ちょっともうっ!」

 解説。 
 皿の上の残ったサンドイッチを、一瞬にして三十郎がかっさらい、やはり一
瞬で口に詰め込んだのである。

 木葉     :「なーにやってるんですかっ!」
 三十郎    :「はひっへ……(なにって……)」

 意地汚いっと、怒鳴りつけている木葉となにやらもごもご言っている三十郎
を、この場合無視して。

 聡      :「そしたら、有難うございました」
 駿      :「あ……もし良かったら、割引券どうぞ」
 礼門     :「あ、どうも」

 へいっと渡されるとへいっと受け取る。
 そこらは多少、条件反射に近いかもしれない。

 駿      :「先に中里が山ほど割引券を渡したらしくって、これ以上
        :いらないって言われたんだよな」
 聡      :「……成程」
 巧      :「それは……災難、ともうしますのでしょうか」
 駿      :「災難なんですっ」

 ただ惜しむらくは。
 そうやって号泣している駿の姿が、えらく「嵌まっている」のだが。

 聡      :「それじゃ、皆さんも頑張って下さい。文化祭当日に、僕
        :も遊びにきていいですか?」
 礼門     :「うん、是非どうぞ」
 聡      :「ありがとうございます」

 大皿と使った紙コップ、それに空のペットボトルを回収して、二人が一斉に
ぺこんとお辞儀をする。

 聡      :「ご協力ありがとうございます」
 巧      :「ご馳走になりました」


 一休みしていたらしい部員たちが、のんびりと自分の部署に戻ってゆく。
 メイド役の二名も、自分達のクラスへと戻ってゆく。

 文化祭用意中の、一休みの風景である。


時系列
------
 2005年9月

解説
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 所謂一般生徒にとっては、これも普通の文化祭だと思うのです。
 普通の……否、文化祭というだけでも、特別な。

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 てなもんです。
 ではでは。
 


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