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Date: Wed, 21 Sep 2005 23:26:51 +0900 (JST)
From: 久志 <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29218] Re: [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005 Never Forget Memories 』
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2005年09月21日:23時26分51秒
Sub:Re: [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005 Never Forget Memories 』:
From:久志
久志です。
巨大迷路準備編。
前日分を書いて見ました。
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エピソード『吹利学校高等部学園祭2005 Never Forget Memories』
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登場人物
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乃藤礼門(ないとう・れいもん)
:地下探検部部長にして、小規模部活動連絡会会長。
ウンカバル・伝欧寺(うんかばる・でんおうじ)
:人間哲学の卵。人には言えない26の秘密があるらしい。
蒼雅巧(そうが・たくみ)
:地下探検部部員。霊獣使いの一族。非常に真面目。
空観木葉(そらみ・このは)
:地下探検部部員。変異持ちの盲目少女
津山三十郎(つやま・さんじゅうろう)
:地下探検部部員。猫耳着用のかなり変人。
予感
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吹利学校高等部校舎屋上。
伝欧寺 :「来る」
避雷針の上に立つ、謎の影。
目深に被ったつば広の帽子とずんぐりむっくりとした身体を隙間なく覆った
コート。帽子の奥から見える目が、微かに遠い上空を見据えている。
吹き付ける風が、妙に生き物めいて生暖かい。
伝欧寺 :「台風情報見てるよりは愉しいかなあん?」
身体に似合わぬ軽い身のこなしで、避雷針をたわませて跳ぶ。
マントが吹き付ける風を受けて大きく広がった。
迷路建設準備中
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木板を組み合わせるた時のこすれる音、金づちが釘を打ち据える甲高い音、
暗幕を取り付ける際の衣擦れの音。
様々な音が響いている。
巧 :「木葉殿、もう少しこちらへ寄せてください」
木葉 :「オッケー、これででどう?」
巧 :「ええ、大丈夫です。あとは風に飛ばされないよう暗幕を
:固定いたしましょう」
三十郎 :「よし、お兄様。ここは任せてくれたまえ」
木葉 :「……余計なことしなくていいからね」
じろっと三十郎を睨む木葉。
木葉 :「あんたが無茶やって壊したせいで三回も作り直したんだ
:からねっ」
三十郎 :「若さゆえの暴走ともいうじゃないか」
木葉 :「よくないっ」
巧 :「お二人とも、どうかお止めください……」
三回のうち一回は木葉殿が壊したのでは?とは言わない巧だった。
木板と看板を組み合わせて大まかな仕切りを作り、暗幕をかぶせてテープで
止める。あちこちの部で分担した作業が終わるにつれて、ひとつ完成に近づく。
木葉 :「だんだんそれっぽくなってきたね」
巧 :「ええ、こちらもほぼ完成ですし、終わりましたら他の部
:の手伝いに回りましょう」
木葉 :「うん」
三十郎 :「よし、このグレートなゴールデンハンマーで一網打尽に
:してやろうじゃないか」
木葉 :「またロクデモナイもの持ち出してっ」
巧 :「木葉殿、三十郎殿、お止めください(汗)」
なんだかこの三人の役割が固定した感あり。
吹きすさぶ風と漠然とした不安
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吹利学校高等部校庭の真ん中でくみ上げられた巨大迷路は、吹きすさぶ強風
に煽られつつも、あらかた形を成していた。
巧 :「この調子なら、今日の夕方にも完成しそうですね」
当初は、短期間で巨大迷路が本当に作れるだろうかなどと思っていた巧だっ
たが、あちこちの小規模部活の一同と協力して作業を行ううち、妙に高揚して
いる自分に驚いていた。
木葉 :「明日が楽しみだね」
巧 :「ええ。なんというか……うまく言えないのですが、すご
:く胸が高鳴ります」
木葉 :「うん、ワクワクする」
あちこちテープで止めた暗幕が風になぶられてはためいている。
その様子を、少し離れた位置から見ている人物が一人。
礼門 :「風が強いな……」
巧 :「礼門殿、どうなさいました?」
少し怪訝そうに、巧が声をかける。
返事というより、自分に言い聞かせるように礼門が口を開く。
礼門 :「……いや、心配は要らないはずだ。台風は逸れるはずだ
:し、文化祭は順調に……」
巧 :「はい……私も滞りなく祭が催されることを祈ります」
風に煽られるように、少し薄曇りの空を見上げた。
巧 :「確かに少々風が強いかもしれませんが、この程度の風な
:らばビクともいたしません。ご安心ください」
礼門 :「うん、そうだね……」
巧 :「それに祭とはこの地に置いての地鎮でもありますし」
礼門 :「ああ、だから色んな場所が影で滞りの無いように色々と
:工作を……」
はた、と止まる。顎を押さえてなにやら考えにふける。
巧 :「礼門殿?」
礼門 :「……やはり何か見逃してる気がする」
巧 :「なにか、不備な点でも?」
礼門 :「……分からない。漠然と、不安だ」
目を伏せる。
漠然とした不安。
根拠もない、うまく口にできない……なにか。
巧 :「ここは楽観したいところですが……そうでうね、ここは
:もう一度、気にかかりそうな箇所をそれとなく見回ってみ
:るというのはどうでしょう?」
顔をあげた礼門の顔を真っ直ぐに見つめる。
巧 :「それで、礼門殿の不安が晴れるならば、私も微力ながら
:お手伝いいたします」
礼門 :「そうだね、うん。そうしようか」
自分にいい聞かせるように。
巧 :「漠然とした不安……確かに夏ごろより、このところ地下
:の空気が微かによどみを帯びてるように感じます」
礼門 :「地下か……」
巧 :「ええ、よからぬことが起きねばよいのですが」
礼門 :「まあ、明日一日だからね」
巧 :「ええ、私もそれとなく秋芳を飛ばして様子をみます」
礼門 :「うん、ありがとう」
歩き出す二人と、吹き付ける風。
その風はどことなく、澱みをふくんだ。
地下を彷彿する、どこか不気味な生暖かさを含んでいた。
場所・時系列
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九月初め。学園祭前日。巨大迷路作成中。
解説
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学園祭前日。完成に近づく巨大迷路と、漠然とした不安を思う礼門。
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以上。
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