[KATARIBE 29216] Re: [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005   Never Forget Memories 』

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Date: Wed, 21 Sep 2005 16:52:37 +0900 (JST)
From: Saw <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29216] Re: [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005     Never Forget Memories   』
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2005年09月21日:16時52分37秒
Sub:Re:  [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005    Never Forget Memories  』:
From:Saw


Sawです。そんなわけで台風編、プロローグの裏側といったイメージ。

エピソード『吹利学校高等部学園祭2005 Never Forget Memories』
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登場人物 
-------- 
 桜居津海希(さくらい・つみき)
   :生徒会長。
 空自の男
   :物語の裏方。


生徒会室──完成間近の迷路を見下ろす
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 開け放した窓から小気味良く金槌の音が入り込む文化祭準備真っ最中の生徒
会室。来客用の布張りのソファには眼光の鋭い細身の男が鷹揚に腰掛けている。
 男は隙の一つもないスーツに身を包み、全て計算尽くと主張するかのように
切り揃えられた髪を後ろになぜ付け、歳は30台だか40台だかも判然とせず、た
だ乱れのない印象ばかり際だたせていた。
 男の前のテーブルに置かれた名刺には航空自衛隊、の文字が並ぶ。それはこ
の男の数少ない手がかりとして機能している。

 彼に向かうただ一人の小柄な女生徒。生徒会長の桜居津海希。津海希は縄張
りであるはずのこの部屋で酷く居心地の悪さを感じている。男が座っているだ
けで放つ重圧は津海希の愛想笑いを自然じゃないものにする。
 津海希はそのことを自覚しながらどうにも出来ずにいて、仕方ないので言わ
れるがままに渡された書面に素早く目を通す。

 津海希    :「──学校側から唐突に呼び出しがあったので何かと思い
        :ましたが、これは一体どういう事でしょうか。率直に言い
        :まして、そちらの責任問題なのでは?」

 津海希は怒りで重圧を相克して、第一印象を押し隠さず言った。
 書面にはこれからこの学校を舞台に起こるであろう事件の概要と対策につい
て記されていた。しかし肝心なところは全て隠されているのが読んでいてすぐ
にわかった。対策に至っては概念が記されているのみで実際に誰が何をするの
かすら書いていない。

 男      :「故に責任を果たそうというのです。おわかり頂けますか、
        :桜居さん」
 津海希    :「到底、飲めるものではありませんわ。手に余ります。あ
        :なた方のミスに学生を巻き込むおつもりですか」
 男      :「ふむ、どうやらご理解が足りないようだ。我々はあなた
        :に許可も判断も求めてはいません。今日はご挨拶に伺った
        :まででね。もう時間もないのでどうしようかと思っていた
        :のですが──幸いにして大規模な陣も用意されている」

 そう言って男はグラウンドを見やる。
 そこには津海希の友人達がこつこつ作り上げてきたものがある。

 津海希    :「当校は古くから生徒の自主性に任せ主体的に学習し成長
        :する校風を守ってきました、それは学園祭においても同じ
        :です。無礼を承知で申し上げますけど、これは少々横暴な
        :のではないかしら」
 男      :「古くから、ね。これはね桜居さん、この学園より歴史あ
        :る祭祀に関わる問題なのですよ。我々はこの土地、この国
        :の守護の要としてこれを遵守せねばならない。それに、あ
        :の陣の制作の指揮に当たっているのはかの『夜の境界』の
        :魔術師だというではありませんか。まだ未熟でらっしゃる
        :ようだが都合がいい──」
 津海希    :「彼まで巻き込む気なのっ!?」

 津海希は声を荒げて立ち上がる。
 男は目を細めてその勢いをあっさり受け流す。
 その反応すらも予想通りと言うかのような圧倒的な余裕。格の差。

 男      :「なに、この件に関しては全て我々の責任で回ります。生
        :徒会長さんに迷惑がかかることはありませんよ。ご心配な
        :く」

 男は反論しようとする津海希を手で制し、慇懃に礼をして生徒会室をあとに
する。
 津海希はぐしゃぐしゃと前髪をかき上げ、今唐突に事態の中心に担ぎ出され
ようとしてる友人のことを思うと、下唇を強く噛んだ。

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