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Date: Wed, 21 Sep 2005 00:43:29 +0900 (JST)
From: i いー・あーる <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29214] Re: [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005 Never Forget Memories 』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2005年09月21日:00時43分29秒
Sub:Re: [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005 Never Forget Memories』:
From:iいー・あーる
ども、いー・あーるです。
女装メイド喫茶、ことこと進んでおります。
あ、そいと、現在一応、女装メイド喫茶話を書いている者として、アレなんですが、
このクラスで『女装メイド喫茶参加者』は、現在名乗りを上げている劉斗君で
最後ということにお願いします(汗)。
というか……流石に自分で書いてて、これ以上後発でもぐりこませるには
エピソード的に難しいんです……すいません(平謝)。
#まあ、普通科のクラスが一つってこたー幾らなんでもなかろうと思うので……
高校一年がこれ以上いない、ということにはならないと判断してます。
というわけで。
とりあえず続き行きます。
**********************************
エピソード『吹利学校高等部学園祭2005 Never Forget Memories』
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登場人物
--------
関口聡(せきぐち・さとし)
:周囲安定化能力者。現在片目は常に意思と感情を色として見ている。
中村蓉子(なかむら・ようこ)
:SS部所属。秋風秦弥の彼女。関口とは同じクラス。
中里嘉穂(なかざと・かほ)
:姐御肌の同人誌作成者。上二人と同じクラス
桐村駿(きりむら・しゅん)
:野球部の主力投手。クラス一、もとい学校一のちびっこ。
補欠からベンチ入り
------------------
第一回メイド喫茶宣伝活動の翌日。
メイド軍団(?)+αに、召集がかかった。
嘉穂 :「本日、訴えが一つありましてね」
中里嘉穂という人は、こういうことを纏める才能がある、と、聡は改めて感
服する。ここに集まっている殆どが、ほう、と身を(内面的にだが)乗り出し
ているのである。
嘉穂 :「男子メイドの……葛西君なんだけどね」
ちろ、と、嘉穂が、すぐ近くに座り込んでいる男子生徒を見る。何とも居心
地悪げな顔になって、彼はもそもそと肩をうごめかした。
嘉穂 :「一生のお願いだから、メイドを外してくれって、直談判
:に来られまして」
えええ、と、不満の声が、特に男子から上がる。
男子生徒A :「中里〜、それまさか受理してないだろうなっ」
男子生徒B :「そんなん許可でるんやったら、俺もやめるぞっ」
次々に言い募る面々に、まあまあ、と、収めるように手を動かす。
嘉穂 :「うん、あたしも何言ってやがるんだと思ったんで、まず
:理由を聞いたのよ」
女子生徒A :「あ、もしかして」
嘉穂 :「うん、多分それ当たり」
つまり。
葛西の彼女が、文化祭に来るのだそうである。
聡 :「でも、それなら、メイドに決まる前にそう言えばいいの
:に」
そらー恥ずかしいだろうが、今更言うほうがよっぽど恥ずかしいではないか。
葛西 :「……それが、さ。向こうも文化祭だって言うからさ」
来ないものだと安心していたらしいのだが。
葛西 :「なんか……クラスで、映画やるんだって」
女子生徒B :「映画?自分達で撮影して?」
葛西 :「そういうの、結構伝統で、一年の頃から皆やるらしい」
映画といえば、確かに『撮っている最中』は忙しい。しかし当日は、放映す
るだけである。結構時間が自由になるので、選ぶクラスが(その学校では)多
いらしいのだが。
葛西 :「……お昼、三時間くらいは空けられるから、絶対そっち
:行くって……言われちゃって」
もそもそもそ。
ちょっと気の毒になるくらい、真っ赤になって葛西が言う。
蓉子 :「……それ、ちょっと可哀想……」
男子生徒B :「可哀想じゃないっ!それなら余計にメイド姿で迎えなけ
:ればっ」
女子生徒C :「うっわ、彼女の居ないひがみかい」
男子生徒B :「なっ」
嘉穂 :「そこですとーっぷっ」
鶴の一声。
一斉に皆が黙る。
嘉穂 :「確かに今更役目を変えろというのは、ずるいといえばず
:るい。しかし確かに中村さんが言うように、叙情酌量の余
:地はあると思うのだね」
決定事項を事細かに書いているというノートをくるくると丸めたので、嘉穂
は軽くぽんぽん、と、掌を叩きながら言う。同意を求めるようにちょっと首を
傾げると、皆、ある者は積極的に、ある者はしぶしぶと同意を示す。
聡 :(あれって才能だなあ……)
莫迦なことを考えている一名を放っておいて。
嘉穂 :「ただね、ここにね、叙情酌量の余地なく、先に逃げてた
:輩がいるわけなのよ」
へ?と、メイド軍団がきょとんとした時に。
嘉穂 :「ねえ、桐村君」
駿 :「え?」
女装メイドを決定する際に、数人から名前があがりながら結局回避した彼は、
びく、と立ち上がりかけた。すかさず両側の女子二名がつついて座らせる。
嘉穂 :「貴君は確か、女装メイドに推薦された時に、『野球部で
:何かやるかも』とゆーて外されたよね」
駿 :「う、うん……」
嘉穂 :「あの後、マネージャーの榎さんにお願いして、野球部の
:主将さんに聞いたのよ」
駿 :「げっ」
嘉穂 :「野球部は秋季大会があるから、基本として文化祭には展
:示等は行わない、クラスの出典に参加するようにってのが
:皆の方針らしいとか」
成程、メイド係じゃない面々はこの為に来ていたのか、と、聡は得心する。
立ち上がりかけた駿の周りを女の子が取り巻いている。ただでさえ小柄な駿
が、これら全員を排除できるかといえば難しいだろう。
嘉穂 :「確かに、葛西君の訴えはずるいといえばずるい。しかし
:最初の決定時点で、彼は逃げなかった。で、あるならば」
身を乗り出す。
皆がうんうん、と頷く。
嘉穂 :「桐村君と変わって貰うってのは、妥当じゃないかなと」
女子生徒D :「さんせーいっ」
そうだよね、桐村君ちっちゃいし、メイドは似合ってるもんね、と、女子が
盛り上がる横で、そういうずるいことをやっとったんか、それは桐村にメイド
やってもらおーぜと男子達は握り拳状態である。
嘉穂 :「じゃ、葛西君。彼女が来たら、絶対にうちのクラスの喫
:茶店につれてくるわね?」
葛西 :「も、勿論っ」
嘉穂 :「もし、約定を違えたら……」
す、と、視線を横に流す。その視線に答えて、やはり待機していた一名(確
かメイド服作成の中心)が立ち上がる。
メイド服係 :「一応ね、葛西君がメイド服試着してるとこ、カメラで撮っ
:てるから」
葛西 :「?!」
メイド服係 :「つれてこないなら、公表するからねっ(はあと)」
聡 :(………悪党)
あうあう、と、なにやら言おうとしている葛西を放り出して、
嘉穂 :「じゃ、服装のほう、桐村君の採寸とかお願いね」
メイド服係 :「うん、葛西君の服を少し手直ししたらなんとかなるし…
:……袖が長いのは、レースのアームバンドで止めるから」
ポケットからしゅた、と出てきたのは、フリル一杯のアームバンド。
嘉穂 :「さて!」
ぽん、と、一つ手を叩いて。
嘉穂 :「連絡は終わりです。メイドの皆さん、ほんと宜しくお願
:いします。あと桐村君は採寸に付き合ってね」
駿 :「ちょ、ちょっとっ」
嘉穂 :「あ、野球部の面々言ってたよ、それは是非とも行ってみ
:ないとなーって。割引券多数渡してきちゃった」
がっくり、と、駿の肩が落ちる。
嘉穂 :「そんじゃお疲れ様でしたー(ころころ)」
宣伝も引き続き宜しくね、との声を背中に聞きながら、聡は鞄を肩にかけて
とっとと逃げ出した。
男子生徒A :「……なー、関口」
聡 :「ん?」
男子生徒A :「中里って……怖い奴やったんやな」
聡 :「それ、今実感してるよ(苦笑)」
でも確かに、あれくらいの強引さがないと、女装メイド喫茶をここまでがっ
ちり牽引するのは難しいかも、とも聡は思う。
とにもかくにも、文化祭といえばサボるもの、遠くから見ているもの、と思っ
ていた自分をこれだけ巻き込んでいるのだ。そして……女装には多少辟易する
ものの、基本として中里嘉穂という人間には文句も何も無い。
聡 :「でもあれは……才能だね」
男子生徒A :「それは、そう、だなあ」
小柄でメイド服が似合いそう、という、男子としてはどう考えても嬉しくな
い共通点の二人は、揃ってはあ、と、溜息をついた。
時系列
------
2005年9月。
解説
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正直に言えばおかみも木石ではないものを…………
小柄な野球部投手の桐村君の未来は如何にっ(え?)
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てなもんです。
ではでは。
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