[KATARIBE 29203] Re: [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005   Never Forget Memories 』

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Date: Sun, 18 Sep 2005 23:55:48 +0900
From: 月影れあな <tk-leana@gaia.eonet.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29203] Re: [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005  	  Never Forget Memories  	』
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 おいっす、れあなです。
 結構長くなってます、会議編。でも、もうちょっとだけ続きます。

> *********************************************************************
> 
> エピソード『吹利学校高等部学園祭2005 Never Forget Memories』
> ============================================================
> 登場人物 
> -------- 
> 
>  乃藤礼門(ないとう・れいもん)
>     :地下探検部部長にして、小規模部活動連絡会会長。
>  小規模部活動連絡会の面々
>     :有象無象。


再び地下探険部部室
------------------
 昼なお暗き地下探険部部室。
 わずか一つの裸電球の下、小規模部活動連絡会の面々が厳粛な姿勢で円卓を
囲み、座っている。
 ただ一人、人間観察倶楽部の部長賀川だけが、まるで押さえ込まれたり、引
きずり倒されたり、くすぐられたり、耳を引っ張られたり、頭を踏まれたり、
挙句の果てには電機あんまをかけられたりしたといった風体で、ぐったり伏し
ていたりするのだが、理由については推して知るべし。
 大方の予想は付くであろうから、その詳細な過程については省略しておく。

 沖田     :「さて、不届き者も成敗したところで話を戻しましょうか、
        :諸君!」
 礼門     :「あの、沖田くん? その話のことなんだけど」

 沖田が話し始めたところで、礼門がおずおずと申し訳無さそうに口を挟んだ。

 沖田     :「なんです、乃藤氏。便通ですかね。仕方ありませんな、
        :手早く済ませてきてください。厠の場所は分かりますね?」
 礼門     :「いや、別にトイレに行きたいわけじゃなくて」

 一言のうちに否定した後、今回の会議に当たって各部に配られた赤紙の収集
礼状を取り出し、首を捻る。

 礼門     :「私はまだ、今回の緊急会議の召集理由について聞いてな
        :いんだけど。それに、なんで私が議長ってなってるの?」
 川上     :「え? レモンくん、聞いてないの?」
 礼門     :「うん」
 燕間     :「連絡ミスかよ、沖田」
 沖田     :「いやはや、困ったものですな。まあ、それはそれとして、
        :話を戻しましょうか。さて、諸君!」
 礼門     :「いや、待てよ」

 あっさり無視して話し始めようとする沖田を、礼門は再び制止する。

 沖田     :「なんです、乃藤氏。便通なら――」
 礼門     :「だからトイレじゃないって! 説明を求めたいんだけど」
 沖田     :「聞きたいですかな?」
 礼門     :「なんとなく、さっきからいやな予感がしてならないんだ?」
 沖田     :「ははあ、良い勘ですな」
 礼門     :「……で、なんなんだ?」
 沖田     :「さて、先日来の生徒会による不当な部活動弾圧をなんと
        :か乗り切り、我々はようやく文化祭にまで至ったわけです
        :が――」
 礼門     :「不当かなあ。生徒会としては真っ当な対応だったような」
 沖田     :「――よりにもよって、あの桜居津海希などと称する小娘
        :は、文化祭実行委員長にまで就任して我々の活動を阻害し
        :ようとしてきたわけです」
 礼門     :「いや、生徒会長が文化祭実行委員長も兼ねるのは例年通
        :りのことでしょ」
 沖田     :「即ち、我々が真っ当に例年通りの研究発表を行おうとい
        :うのに対して、あの小娘は、
        :『あまり気の抜けた発表であれば、生徒会としても部の存
        :続について考え直さねばならないかもしれません』
        :などと婉曲な皮肉を込めて我々を恫喝し――」
 礼門     :「要するに、使いまわしの発表内容についてやんわりと忠
        :告されたんだね」
 沖田     :「あまつさえは――て、乃藤氏! さっきから水ばかり挿
        :して、あなたは一体どっちの味方なのですか」
 礼門     :「う〜ん、強いて言うなら公平の味方かな」

 そこで、さらに生徒会に対する文句を続けようとする沖田を押さえ込み、取
り成すように古武道部の燕間が割って入ってくる。

 燕間     :「まあ、このアホの言う事は置いとくにしても」
 沖田     :「アホ呼ばわりとは失敬ですね」
 燕間     :「――話聞いてみたら、大体どこの部も似たような状況だっ
        :たんで、いっそ全部集まって一つどでかい事をしようって
        :非常収集かけたわけだ」
 礼門     :「なるほど」

 納得しかけて、ふと礼門の脳裏に疑問が過ぎる。
 それだけでは、礼門が知らぬ間に議長に据えられたことの説明にも、そもそ
も礼門の耳にだけ話が入ってきていなかったことの説明にもなっていない。
 先ほどから腹の奥に沸き立っていた嫌な予感が、段々と強まって来るのをふ
つふつと感じた。

 燕間     :「ああ、うん。その、だな……」

 こちらの様子を察したのか、不意に燕間が言葉を濁らせ、視線を外す。それ
に代わって、押さえ込まれていた沖田が前に出てきた。

 沖田     :「で、合同企画の取りまとめを地下探検部にお願いしよう
        :と決定したわけです」
 礼門     :「ちょっと待った! 困るよ。うちは『吹利に現存する地
        :下水道とそれに関連する治水の歴史』発表で、暫定的にだ
        :けど実行委員会の許可も……」
 赤目     :「その点、抜かりは御座らん」

 やけに堂々と、忍者部赤目が言い切った。

 赤目     :「その書類なら正式に受理される前に、拙が抜き出してお
        :きましたが故に」
 礼門     :「なんて事を!」Σ( ̄□ ̄;
 沖田     :「まあ、これも運命と思って諦めるんですな」
 礼門     :「うう、運命って言うか人災だろ」
 赤目     :「許せよ。このちゃんぽんな連絡会を取り仕切る事の出来
        :る人材は、レモン殿を於いて他に居らんので御座る」
 沖田     :「頼られて断れる人ではありませんでしょう、あなたは」

 図星である。

 礼門     :(ため息)「分かったよ。やればいいんだろ」

 まんまと嵌められた気がしてならない礼門だった。


> 時系列と舞台
> ------------
>  九月初め。文化祭準備期間中。地下探険部部室にて。
> 
> 解説
> ----
>  礼門と地下探検部が巨大迷路の企画開催に至るまでの一幕。
> 
> 
> $$
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