[KATARIBE 29184] Re: [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005   Never Forget Memories 』

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Date: Fri, 16 Sep 2005 21:51:15 +0900 (JST)
From: いー・あーる  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29184] Re: [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005   Never Forget Memories 』
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2005年09月16日:21時51分15秒
Sub:Re:  [HA06P] エピソード『吹利学校高等部学園祭 2005  Never Forget Memories』:
From:いー・あーる


ども、いー・あーるです。
とりあえず、メイド喫茶計画、発動させておきます(苦笑)
あ、蓉子ちゃんお借りしました>ひさしゃん
口調等の修正、宜しくお願いします。

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エピソード『吹利学校高等部学園祭2005 Never Forget Memories』
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登場人物
--------
  関口聡(せきぐち・さとし)
   :周囲安定化能力者。現在片目は常に意思と感情を色として見ている。
  中村蓉子(なかむら・ようこ)
   :SS部所属。秋風秦弥の彼女。関口とは同じクラス。
  中里嘉穂(なかざと・かほ)
   :姐御肌の同人誌作成者。上二人と同じクラス


集客人数重視の決定
------------------

 高校の学園祭というのは、結構盛り上がるもんなんだな、というのが、クラ
スの様子を見ている聡の印象である。

 嘉穂     :「一応メニューはこれで決定でいいよね?」

 一応、中学でも文化祭というのはあったが、基本として『文化系クラブの発
表の場』という印象のほうが強かった。まあ、文化祭の発表には、その年の合
唱祭も含まれることがあり(多分先生達が面倒になったんだろう、というのが
有力意見だったが)、そうすると自然残って練習なんて破目にもなったものだ
が、基本としては自分には関係のない催し物。そう、思っていたし、思ってい
る、のだが。

 嘉穂     :「あと、服装については、今見てもらったとおり。自薦他
        :薦で10人ってとこかなって思うけど、どうかな」

 聡      :(熱心だなー)

 右の目を抑えて、こっそりと左目だけで周囲を見る。明らかに楽しみ、かつ
乗っていると判るのが数名。それが核になって推進力となっている、その勢い
で皆もまた、結構乗り気で加わっている面もあるのだろう。
 ……無論それだけではないにしろ。

 聡      :(メイド喫茶、だもんなあ)

 メイドったって要するに、一緒のクラスの見慣れた連中がやるわけだが、そ
こはそれ、平均的な男子生徒なら楽しみでもあるのだろう。服装についても夏
休み前からかなりきっちりと計画されており、女子のうち結構手の器用な面々
が作成したメイド服が、既に数枚作成されている。『モデルに最適』とかで、
前の席の中村蓉子が着せ付けられたのを見る限り、確かにそのメイド服は可愛
かったし、男子達から声にならないどよめきが(ついでに女子の一部からも)
あがったものだが。

 聡      :(とりあえず、今年も、楽かな)

 皿洗いだの何だのという裏方なら楽だし用意も要らないし……と。
 まあ、呑気に考えていたのだが。

 嘉穂     :「ただ、ちょっと聞いて欲しい情報があるのよ」

 チョークを黒板の溝に置き、教壇にどん、と、手をついて、推進力の最たる
ところである中里嘉穂が声を低める。
 
 嘉穂     :「メイド喫茶、2年でもやるっていう噂がありましてね」

 要するに企画がダブッているわけである。

 聡      :(……まあ、有り得る話だよね)

 服装を用意する手間を除くと、喫茶店というのはかなり無難な選択ではある。
加えて昨今、あちらこちらで『メイド』なるものが流行っているらしい……と
いうのは、クラスの企画が通ってからの知識なのだが。

 生徒A    :「じゃ、企画ダブり?取り消しってこと?」
 嘉穂     :「ううん。生徒会の人に聞いたけど、一応企画のコンセプ
        :トが違うようだし、ぶっちゃけ喫茶店ならダブッてもいい
        :んじゃないかってことだった」

 コンセプトなるものをどのように創作したかは、あまり考えたくない気がし
ないではないのだが。

 嘉穂     :「ただね、集客数には、やっぱり問題が出ると思うのよ」

 それはそうだろう。どれほど言いくるめてもメイド喫茶。地味なワンピース
に白いエプロンという格好には……無論バリエーションがあるとはいえ、外部
の人が気にするほどのものではないと思われる。

 嘉穂     :「それに二年生の先輩達の色気には、我々一年は敵わない」

 くう、と、悔しげに握り拳を作る。芝居気たっぷりなのだが、それが妙に浮
ついて見えないあたり、彼女の人徳なのかもしれない。

 嘉穂     :「そこであたしは考えた」

 もう一度、ばん、と、教壇を叩いて身を乗り出す。釣られてクラスの大半が、
やはり身を乗り出したところで。

 嘉穂     :「一年に出来て二年に出来ないこと。つまりターゲットの
        :一部を腐女子に移す。つまり」

 一度息を吸って。

 嘉穂     :「女装メイドの投入である」

 一瞬の間の後に、主に男子のほうから「ええっ」と声があがった。

 生徒B    :「ってそんなの」
 嘉穂     :「無論、見てくれ優先。女装させてハマる面々から3名も
        :しくは4名、少数精鋭とする」

 びしっとした声。内容を考えなければ弁論大会に放り込んでやりたいほどの
落ち着きようと声の出しようである。

 嘉穂     :「お笑いになっちゃいけない。あくまでみばが良いことを
        :重視する。この場合だから、自薦は除く。他薦のみで選ぶ
        :ってほうが確実だと思うんだけど」

 どうだろう、と、嘉穂は尋ねる。
 女子のほうは大喜びだが、男子のほうは流石に少々腰が引けているのがよく
わかる。

 嘉穂     :「嫌悪感もあるかもしれない。しかし二年になればメイド
        :服の似合う男子数は各段に減る。一年のうちのクラスなら
        :ば、イロモノ担当が一人、みたいな扱いではなくせる。う
        :ちの喫茶の特徴として打ち出せるのよっ」

 ……まあ、確かにそうかもしれない。

 生徒C    :「……宗谷先輩みたいな特殊例は居るけどねえ」
 生徒A    :「あれはまあ、別として」

 誉め言葉なんだか微妙な台詞を聞き流して。

 嘉穂     :「じゃ、他薦でいってみようかっ」
 生徒B    :「はい(挙手)……関口なんかいいんじゃん?」

 発言と一緒に、クラスがざわざわとなる。前の席の中村蓉子が慌てたように
後ろを見た。

 聡      :(おやおや)

 左の目にははっきりと見える。クラスの多勢が賛成している。「それ可哀想
よ」と言う面々も居るが、なに口だけのことである。

 嘉穂     :「……で、関口君、いい?」
 聡      :「いいよ」

 クラスの男子の中で、1、2を争って背が低いことは自覚している。ついで
にお世辞にも『男らしい顔』でないことも判っている。要するに他薦で進めら
れる限りは逃げようが無い。
 ならば、最初からきっちり受けたほうが、惨めには見えない。

 嘉穂     :「ありがとう。……じゃ、他に!」

 わらわら、と、手が何本かあがった。

      **

 蓉子     :「大丈夫?」
 聡      :「へ?」

 クラス会が終わり、それぞれの担当に分かれて話し合いが始まったところで、
前の席の蓉子が振り返った。

 蓉子     :「関口君、大丈夫?」
 聡      :「……うん、大丈夫だけど?」

 左目に映る蓉子は、心配と困惑の二重奏のような青と銀。

 聡      :「身長低いから多分あたるなって思ってたし。クラスの決
        :定だから仕方ないし」
 蓉子     :「……そうなんだけど」

 困った顔のまま、声を低める。

 蓉子     :「中里さんね、最初から関口君に目をつけてたみたい」
 聡      :「へえ」
 蓉子     :「あの……噂があるから」

 そう言われて、思い出す。

 『あんな、きゃーきゃー言われてんのは、巧先輩とヌシやで?』

 あとで聞いたら同学年、妙にすっとぼけたような相手から聞いた情報。

 聡      :「……策士」

 そういう噂がある自分が女装をしていたら、確かに客引きにはなるだろう。

 蓉子     :「……大丈夫?」
 聡      :「うん。先に教えてもらったから、大丈夫」

 先にそう知っておけば、心構えの点で大きく違う。

 聡      :「情報、ありがとう」

 ぺこ、と、頭をさげると、彼女は困ったようにやはり頭を下げた。

 
 嘉穂     :「関口君、ちょっとちょっと」
 聡      :「なに?」
 嘉穂     :「ちょい来て。サイズ計りたいって」
 聡      :「あー……服の?」
 嘉穂     :「うん。余計な迷惑とかかけないから。必要な服とか靴と
        :か、こっちで用意するから、安心して」

 撥ね跳ぶような陽気な浅黄色のリボンのような流れと。
 それを単なる『お前の趣味じゃねーか』と言わさしめない、抑制を表す鋭い
藍の色と。
 なるほど、口車にうちのクラスが乗るわけである、と、聡は納得する。

 聡      :「……諒解」

 頑張ってね、と、蓉子が呟く。
 うんありがとう、と、どうやら同じメイド仲間に呟き返して。

 どうやら今年の文化祭は、なかなかに忙しそうだ、と聡は苦笑した。


場所・時系列
------------
 2005年9月はじめ。吹利学校高等部学園祭の、某クラスでの風景。

解説
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 メイド喫茶計画、始動。
 蓉子ちゃんもきっちりメイドに巻き込んでます<おい
**************************************
 てなもんで。
 ではでは。

 


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