[KATARIBE 29183] [HA06E]意志宿る人形

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Date: Fri, 16 Sep 2005 21:40:12 +0900
From: asakura <guilsn@boat.zero.ad.jp>
Subject: [KATARIBE 29183] [HA06E]意志宿る人形
To: ML <kataribe-ml@trpg.net>
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どうも、自キャラのみならEP書ける輝士都です。
えっと、久しぶりなので出来に自信はありませんが。
やっぱり、キャラチャで補完するよりEPにした方が良いと思ったので書きました。

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エピソード『意思宿る人形』
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登場人物
 御厨正樹(みくりや・まさき):発明家兼魔術師、彼の発明したものは何割か
                 :の確立で爆発するとのうわさがある。
                 :今回は爆発しなかった模様。
 名無しの人形一号体   :正樹が友人である、佐上氷我利と製作した人
                 :形、ベースはすべて正樹によるものである。
                 :魔道人形に対する情熱が命なき人形に意思を
                 :与えた。

 なんとなく、この二人をコンビとして動かしたなぁという野望が合ったりな
 かったりする。
 もしくは、2号を作ってトリオにするとか、夢は膨らみます。

御厨家正樹の部屋
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 いろいろなものが雑多に置かれ、乱雑している部屋の唯一片付けられている
 作業台の上で、正樹は真剣に作業をしていた。
 加工をしているのは、人形。それも魔道の力を利用し自立動作する魔道人形
 ……の未完成体。
 本来ならば、これから自我を人形に与える方法を模索する予定なのであった
 のだが……この人形には既に意思が宿っているらしい。

 正樹      :「(実際、いまだに半信半疑なんだけど)」

 九十九神のように長い時間を経て意思を得たわけでもなく、取り立てて意思
 を持つような魔術を使ったわけでもない。正直動けば儲け、その程度の感覚
 で正樹は人形に音声出力のための機器を取り付けている。
 
 正樹   :「(心をこめて作られたものには意思が宿る……か、結
          :局その程度のものなのかな、心なんて)」
 
 自分が何をしたわけでもないのに、結果が出てしまった、その事がなんだか
 気に入らない。別に、この人形が何かをしたわけではない。それはわかって
 いる。つまりは、「心をこめて作る」その行為がこの人形に心を与えたのだ
 と。わかっていても、いや、本当はわかっていないのかもしれない。

 正樹      :「(……僕はどうしたかったんだろう。ただ、意思ある
          :人形が作りたかっただけじゃなかったのだろうか)」

 ある人物の魔道人形を見て感動した、だから自分もあんな素敵なものを作っ
 てみたかった。だけど今は、作らなければ良かったんじゃないかと、そうい
 う気持ちがわずかにある。

 正樹      :「(勝手だよな。)」

 自分の手で作れなかったならば、作らなければ良かったなんて勝手な言い分
 だ、そんな勝手な気持ちで作られたと知ったらきっとこの子も怒るだろう。
 
 ただ、そんな事を思っていても、手は休むことなく作業を続け。

 その手は作業の終了とともにその動きを止める。

 正樹      :「……」

 言葉が出ない、不安ばかりが募っていく、失敗なんていくらでもしたにもか
 かわらず。
 
 そう……失敗を……恐れている。
 つまりは期待しているのだ、この子がしゃべってくれる事に。
 目を開け、僕を見て、口を開き、声をかける。
 その瞬間を、僕は失敗を恐れるほどに期待している。

 正樹      :「……僕の声が聞こえる?」

 恐る恐る声をかける。
 人形は、僕の声に反応したのか、ゆっくりと目を開け、口を開く。

 一号      :「聞こえます。」

 この瞬間を忘れたくないと思った。
 この声を忘れたくないと思った。
 感動のあまり、何も考えられなかった。
 先ほどまでの憤りなんて一瞬ですべて吹き飛んだ。
 
 一号      :「あの……どうかされましたか?」

 表情のない顔で、それでも心配そうに声をかけてくる。

 正樹      :「ご、ごめん。なんでもないよ。大丈夫。」
 一号      :「それは良かった。」
 
 動かない体で、それでもきっと胸をなでおろしたのだろうと想像した。
 
 正樹      :「っと、ぼぉっとして居る場合じゃないな。自分の体が
          :認識できる?」
 一号      :「……胸と、関節に何か違和感を感じます。」
 正樹      :「うん、それじゃあ胸に意識を向けてみて。多分それで
          :火が入るはずだから。」
 一号      :「胸に……意識を……あっ。」
 正樹      :「ど、どうかした!?」

 あわてて何が起こったのを聞く、何が起こるかわからないのだこのままいき
 なり意識が飛んでしまう事だってありうる。

 一号      :「いえ、急に胸が温かくなった感じがしたので驚いただ
          :けです。」
 正樹      :「あぁ、そっかよかった。」

 僕は大きく安堵のため息をついた。

 一号      :「……次はどのように?」
 正樹      :「胸から、魔力が四肢に流れているはずなんだけど、感
          :じる?」
 一号      :「はい、暖かな流れを感じます。」
 正樹      :「うん、じゃあその流れに意識を向けてみて、まずは右
          :腕のひじから。」
 一号      :「右腕ですね。」

 直後、一号の右腕がぐぐっと曲がる。
 
 一号      :「……なるほど……うん……うん……そういうことなの
          :ですね。」
 正樹      :「うまく動かせそう?」
 一号      :「とりあえず、ほかの部位も試して見ます。」

 こんな感じで各部をチェックする。自分ではきちんと調節していたと思った
 のだが、微妙にバランスがずれているらしい、後で調整が必要なようだ。
 それでも、何とかふらつきながらも立ち上がる事に成功した一号。

 一号      :「はじめまして、私名を……っとと、きゃっ。」

 バランスが悪い状態かつ、体に不慣れな状態でお辞儀をしようとしたのが悪
 かったらしい、一号はかわいい声を上げて転んでしまった。

 正樹      :「あぁっ、無理しちゃ駄目だよ、ちゃんと調整しなおす
          :からそれまで無理しようとしないで。」
 一号      :「すみません、それで、質問があるのですが。」
 正樹      :「何だい?」
 一号      :「あなたの名前と私の名前を教えてください。」
 正樹      :「あ……」

 なんと言うことだろう、浮かれていて名前をつけることも、名前を名乗る事
 もしてないなんて。
 
 正樹      :「僕の名前は御厨正樹。君の名前は……ストリス。」
 ストリス     :「はい、私はストリス、そしてマサキ様ですね。」
 正樹      :「様はやめてよ、そんなにえらくないよ。呼び捨てにしてくれ
   :たほうがうれしい。」
 ストリス     :「わかりました。これからよろしくお願いします、マサ
キ。」
 正樹      :「うん、よろしくね。ストリス。」

 こうして、僕の大事な相棒が誕生した。

時系列
―――
2005年9月
解説
――
 発明家正樹がつくった魔道人形ストリスの誕生話。
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