[KATARIBE 29180] [HA06P]エピソード『吹利学校高等部学園祭2005 Never Forget Memories』

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Date: Fri, 16 Sep 2005 17:25:46 +0900
From: 月影れあな <tk-leana@gaia.eonet.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29180] [HA06P]エピソード『吹利学校高等部学園祭2005 Never Forget 	Memories』
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 おいっす、月影れあなです。
 と。いうことでEPを動かし始める。

 以前から時々動いていた、ゆっここと女生徒Aに名前がつきました。

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エピソード『吹利学校高等部学園祭2005 Never Forget Memories』
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登場人物
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水澄晶(みすみ・あきら)
    :無自覚的操水術師
高峰由紀子(たかみね・ゆきこ)
    :晶の友人。

抱えた想い
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 ――後夜祭のフォークダンスのね、キャンプファイヤーの火の下で告白した
ら、その恋は上手くいくんですって。

 くすくすと笑いさざめきながら、うわさ話の声が晶の耳を撫でる。
 つきんと、小さな棘が胸に突き刺さった。

 吹利学校学園祭には、毎年欠かさず行われるちょっとした伝統があった。学
園祭の最終日、グラウンドの中央で催される後夜祭のキャンプファイヤーだ。
 生徒たちはみんな輪になって音楽に乗り、炎の周囲をフォークダンスで踊り
回る。好きなあの人の手を握れるか、ただそれだけに一喜一憂し、パートナー
チェンジまでのささやかな時間をどのように過ごそうかと想い馳せる。
 そしてその最後、ダンスの盛り上がりが最高潮に達したところで、パート
ナーチェンジの無いペアダンスの曲が流される。この曲に限って、ダンスは自
由参加。カップルや、仲のいい友人同士で踊るのが常となっていた。

 そんなわけだから当然、恋する乙女たちはそれぞれ彼女らの想い人と共に踊
る姿を夢想する。実際に、フォークダンスがきっかけで生まれるカップルも多
いのだった。

 つきんと、また胸が疼いた。
 なぜか分からないが、心が痛い。心臓が締め吊られるように切ない。喉の奥
が、火のついたように熱く燃えている。
 はじめてその噂を聞いたのは、たしか中等部の頃――

 由紀子    :「晶? おーい」
 晶      :「え?」

 気がつくと、目の前に由紀子がいた。はたと我に返る。晶は今、有志参加で
行われる後夜祭のフォークダンスに向けて練習をしているところだった。

 由紀子    :「もぉ〜、しっかりしてよ? 晶がちゃんと踊れるように
        :なりたい言うから、わざわざ昼休み割いてまで付き合って
        :んのに」
 晶      :「ご、ごめん、ゆっこ。ちょっと考え事しちゃって。それ
        :じゃ、練習を――」

 言いかけて、停止する。
 おかしな状況だった。目の前には、由紀子だけしかいない。中庭に溢れてい
たフォークダンス練習者たちは影も形も無い。ついさっきまで校内放送でかかっ
ていたコロブチカの音楽も、いつの間にか聞こえなくなっていた。

 晶      :「……え? あれ?」

 途方に暮れる晶を見て、由紀子はあきれたようにため息をつく。

 由紀子    :「もうとっくに全部終わったって」
 晶      :「え? ええ? ご、ごめん、ゆっこ! ほんと、私ボーっ
        :としちゃって」
 由紀子    :「……大丈夫? 気分悪かったら、保健室まで送るよ?」
 晶      :「そんな、大げさな事じゃないから! もうそろそろ予鈴
        :よね? ほら、ゆっこ、教室帰ろ?」
 由紀子    :「ならいいけど……」

 毎年、学園祭の季節になると、何か胸の中で疼くものがある。いつもはなん
でもない風に装っているけれど、ふと気の緩んだ時、チクリと棘のようなもの
が刺さる。今年は、いつにも増してそれが多かった。
 ため息が出る。息が苦しい。

 晶      :「ダンスに誘うの、止めにしようかしら」

 思わず呟いた一言を、隣にいた由紀子は聞き逃してくれなかった。

 由紀子    :「何いってるの。折角今日まで練習してきたのに」
 晶      :「だって、西園寺くんだもん。みんな、一緒に踊ろうって
        :言うわ。それに、好きな人もいるみたいだし……」
 由紀子    :「なに言ってんの! なんでも、聞いて見なきゃ分からな
        :いじゃない。あたし、晶のそういうところ嫌いよ」
 晶      :「でも……」
 由紀子    :「大丈夫、フラれちゃってもあたしが一緒に踊ってあげる
        :から。いーい? 『当たって砕けろ』よ!」

 そう言って、笑う由紀子が、晶には少し眩しかった。


 不意に巻き起こった風に吹かれて、渡り廊下に架けられた横断幕が揺れる。

 Never Forget Memories

 思い出を忘れないで――それが、今年の学園祭実行委員会が決定した学園祭
のテーマだ。
 果たして彼や彼女たちは、この長い人生の中で見ればほんのちっぽけな時間
でしかない学園祭を、決して忘れる事のない思い出にすることが出来るのだろ
うか。


場所・時系列
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 2005年9月上旬。吹利学校高等部学園祭に前後して。

解説
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 唐突、というわけでもないですが、高等部学園祭EPを立ち上げようとか思い
ます。色々やりたい事抱えてる人々は奮ってご参加ください。
 群像劇みたいに出来たらなあ。無理か。
 さしあたって、晶の玉砕近辺を書こうかと。とりあえず、まず誰ぞ久遠くん
をダンスに誘うための協力者を求む。そのままつっこんだら見事玉砕してしま
いそうです。


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