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Date: Tue, 13 Sep 2005 09:16:22 +0900
From: 葵一 <gandalf@petmail.net>
Subject: [KATARIBE 29166] [HA06P]エピソード『道場へ行こう! 6th 〜激闘編〜』(修正反映版)
To: kataribe-ml@trpg.net
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Web: http://kataribe.com/HA/06/P/
Log: http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/29100/29166.html
こんにちは葵でっす。
いーさん、久姐さん、きしとん、チェックありがとでした〜
反映して改訂版流しますー
まとめwiki:http://hiki.kataribe.jp/HA06/?LetsGoDojo
元ログ:http://kataribe.com/IRC/HA06/2005/07/20050726.html#200000
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[HA06P]エピソード『道場へ行こう! 6th 〜激闘編〜』
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審判だって試合したい
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中村 :「さて……と(じろりと周りを見回す) ……ふむ」
尊 VS 蓉子の試合後、次の試合の品定めにゆっくりと見回す中村。
相羽 :「ん? ……ああ、俺ちょっと一服ついでに飲み物買って
:来るわ、何飲む?」
真帆 :「あ、あたし買って来ようか?」
相羽 :「いいって、ついでだし。 それにお前さん、自販機の場
:所知らないでしょ?」
それは、そのとおりである。
真帆 :「……んじゃコーヒーお願いします。 それと……スポー
:ツドリンクか何かを彼女達に」
自分を挟むように座って、汗を拭いている、蓉子、尊を当分に眺めて目を細
める真帆。
蓉子 :「あ、すみません(ぺこり)」
尊 :「ありがとうございます(ぺこり)」
相羽 :「豆柴は?」
和久 :「あ、すいません。俺もスポーツドリンクで」
史久 :「僕はコーヒーのブラックでお願いします」
相羽 :「りょーかい、遠慮無いねぇ(笑) んじゃ、ちょっと買っ
:てくるわ(そそくさ)」
蓉子 :「……なんだか、急いでましたね、相羽さん」
尊 :「うん、そんなに煙草……吸いたかったのかな?」
顔見合わせて怪訝な二人。
真帆 :「(なんとなーく察知) ……もしかして」
そして、談笑するメンバーの中を彷徨っていた中村の視線がピタリと止まる。
中村 :「おい、史久」
史久 :「はい?」
中村 :「お前らの試合見てたら俺も体動かしたくなってきたんで
:な、相手しろや(にやり)」
心底嬉しそうに史久を眺める中村。
楽しそう……とっても楽しそうなんですが……怖いです。
史久 :「え(汗) ……僕、ですか? (先輩……うまく逃げま
:したね……) 判りました、お手柔らかにお願いします」
刑の確定した囚人みたいにどよーんと準備を始める史久さん。
おどろ線の入ってる史久さん…………とっても珍しいです。
策士相羽
--------
中村 :「で、相羽よ(苦笑)」
相羽 :「ええ、何ですか?ダンナ」
蓉子 :「きゃ(びっくり)」
尊 :「っ!? ……戻ってきた気配……感じなかった(汗)」
コーヒーやらスポーツドリンクやらを抱えて、いつの間にか一同の後ろに
立ってる相羽さん。
中村 :「上手く逃げた罰だ、お前、審判やれや」
相羽 :「やっぱりダンナにゃお見通しですか……判りました」
真帆 :「やっぱり逃げてたか(溜息)
相羽 :「まぁねぇ……あの中村のダンナとやったらそれこそ死
:んじゃうよ、俺か弱いんだからさあ」
各自にジュースやらコーヒーやら配りつつ。
尊 :「……策士ぃ(ぼそ)」
上目遣いのぢと目で見つめる尊に気がついて。
相羽 :「世渡り上手と言ってほしいなぁ(くっくっくっ)」
真帆 :「言わない(ぺしん)」
相羽 :「いて」
史久 :「じゃ、先輩、審判頼みましたよ」
相羽 :「あいよ」
史久 :「さて……」
出していたあの竹刀を傍らに置き、最初に使っていたカーボン竹刀を手に取る。
蓉子 :「あれ、こっちの竹刀じゃないんですか?」
史久 :「ええ、中村さん相手なら試合用を使いたいところではあ
:るんですけどね……(カーボン竹刀の弦を締めなおす)」
尊 :「じゃぁ何でまた(怪訝)」
相羽さんと同等かそれ以上であることが容易に想像できる中村さん。
万全で向かうなら当然試合専用竹刀を使うところなのだが。
史久 :「説明するより、試合、見てて貰った方が早いですよ(微
:笑)」
尊 :「はぁ……(まだ怪訝)」
相羽 :「史の字よ、準備はどうだ?」
史久 :「はい、今してます、それにしても……先輩……その野生
:的な勘が羨ましいですよ(正座して面を着けつつ)」
相羽 :「(史久のぼやきを聞き流して)さて、二人とも準備出来
:たら始めるかねぇ」
中村 :「(試合場を挟んだ反対側で静かに面を着けている)」
史久 :「いつでも(すっと立ち上がって)」
中村 :「いいぞ(竹刀を軽く振って)」
うるとら・ふぁいと
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ゆっくりと中央に進む二人を見つつ。
尊 :「ね、蓉子ちゃん『あの』中村さんがもしかして(ぼそぼ
:そ)」
蓉子 :「はい、父です(ぼそぼそ)」
尊 :「強そうだね(小さくくすっと)」
蓉子 :「はい(にっこり)でも史久さんが相手じゃ……(心配)」
内緒話でくすくす笑う娘二人を見つつ。
秦弥 :「(二人、何話してるんだろう……)」
ちょっとやきもきしてみたり。
相羽 :「さて、始めるよ(旗もってのんびり)始めっ」
中央で竹刀を合わせた二人、蹲踞の姿勢から立ち上がったまま、ピタリと動
かなくなる。
そして。
真帆 :「あれ?……動か……な……」
尊 :「いえ……あれは」
和久 :「えっ!?」
蓉子 :「あっ!」
相羽 :「ほぉ、中村のダンナ、やる気だねぇ(くっくっく)」
ゆっくり、それこそ、春の微風のように緩やかに、持ち上がる中村の竹刀。
そして、天頂でピタリ止まる。
尊 :「じょ、上段……」
かなりの上級者でも試合ではまず使わない上段。
防御を捨てた一撃必殺の構え。
尊 :「すご……」
蓉子 :「史久さんも、お父さんも……すごい気迫」
圧倒的な中村の気迫を受けても、たじろがない史久。
微動だにせず、観見の目付で、お互いの眼の更に奥を見つめ、僅かな隙を探
り取ろうとする二人。
噴き出す剣気を抑えない辺り宮本武蔵に及ばないが、行われる静かな駆け引
きに圧倒される一同。
尊 :「これは……一太刀で……決まる」
真帆 :「(ぐっと手を握り締めて見学)……あっ(汗)」
手を握りなおした拍子に、真帆の手から先ほど相羽に渡した小銭の残りが一枚滑り落ちた。
それはあたかもスローモーションのようにゆっくり床に。
SE:チャリーンッ
中村 :「めぇぇぇぇぇぇえんっ!」
史久 :「おぉぉぉっ!」
鈍い風音を立てて中村の竹刀が振り下ろされる。
そしてその打撃を受ける史久。
SE:ぶんっ
SE:ドォンっ
史久 :「くぅ(重いッ)」
和久 :「竹刀が曲がった……」
あまりの打撃力に、当たった瞬間ぐにゃりと曲がる中村の竹刀。
受ける史久の竹刀も同様に曲がる。
そして、史久の竹刀がかろうじて受け切ったかに見えたが。
尊 :「入ったっ!」
高々と上げられる赤い旗。
相羽 :「それまでっ組討はじめっ!」
史久 :「もとより一本取られるのは覚悟の上ですっ(竹刀を投げ
:捨て一気に組み付く)」
中村 :「むっ(史久をがしっと受け止め)」
蓉子 :「あっ(汗)」
史久 :「せぃゃぁぁっ(思い切り腰投げ)」
SE:ドォン
中村 :「ぐっ(苦痛に顔をしかめる)」
史久 :「終わりですっ」
受身も取れずに叩きつけられ一瞬動きが止まる。
技はともかく、パワーで押し切られそうになる中村。
が。
蓉子 :「お父さんっっ!」
中村 :「っ!」
史久 :「っ!?」
秦弥 :「ええっ!?」
父の窮地に思わずこぼれた蓉子の叫び。
そしてそれは父に無限の力を与えた。
中村 :「まだまだぁっ! (がっ)」
面を剥がす為に覆いかぶさってきた史久の両肩を掴み、思い切り胴を蹴り上
げると、今度は史久がふわりと空を飛んだ。
そしてそのまま背中から床に叩きつけられる。
史久 :「がはっ」
中村 :「負けられんのだ、俺はっ(面剥ぎっ)」
痛みに一瞬動きが止まるのを見逃さず、一気に面を剥がす。
相羽 :「一本、それまで」
僅かな静寂の後。
厳かとも言える相羽の一声で勝負は決した。
中村 :「すまんな史久、ちと無茶しちまったようだ(史久が起き
:るのに手を貸す)」
史久 :「いえ、僕も最初に投げた時点で油断しました(苦笑)
:最後まで気を抜いちゃ駄目ですね、やっぱり」
蓉子 :「お父さん……(じっと見つめてる)」
よーこちゃんの華麗なる過去
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で。
真帆 :「……はー(びっくり) なるほど、そういう事」
相羽 :「やっぱ、お父さん子だよねえ(くっくっく)」
真帆 :「……うん……」
秦弥 :「………おとうさん?」
蓉子の一言の意味を理解して呆然とする秦弥君。
そりゃーねぇ。
真帆 :「(ん? ……そら呆然とするよなあ(同意同意))」
史久 :「はぁ……負けました(帰ってきつつ)」
真帆 :「おつかれー(笑)」
尊 :「カーボン竹刀にした理由、わかりました(しみじみ)」
史久 :「あんな打ち込み、普通の竹刀で受けられませんからね、
:もし受けたら(苦笑)」
尊 :「竹刀が何本合っても足りませんね(くす)」
蓉子 :「(じーっとお父さん見てる)」
中村 :「…………(黙って見返す)」
父と娘の言葉無き会話の傍らで。
真帆 :「やっぱりお父さんには、勝てません? (苦笑しつつ小
:声で)」
史久 :「最強の応援がありますから(小声で微笑)」
真帆 :「(くすくす)」
ようやっと、自分が何をしたか気付く蓉子ちゃん。
蓉子 :「あ(汗)あの……史久さん、ごめんなさい(しゅん)」
相羽 :「いやぁ、フラれたねえ、史よお」
真帆 :「フラれた?」
史久 :「……先輩、またそういうことを(汗)」
相羽 :「いやあ、昔、蓉子ちゃんに好きな人だーれ? って聞い
:たら、本宮さんって元気よく答えてくれたんだけどねえ」
真帆 :「……あらー(笑) やっぱモテるなあ、本宮さん(笑)」
尊 :「なぁる、蓉子ちゃん、昔は史久さんみたいは人がタイプ
:だったのね?(くすくす)」
史久 :「先輩っ! 真帆さんに尊さんまで……」
蓉子 :「…………(あうあうあう)」
赤面しつつ困り果てる蓉子ちゃん。
大人はいぢわるです。
でも、そんな蓉子ちゃんが可愛かったり。
秦弥 :「(えーと? どういう事?)」
聞こえる会話内容に、耳がダンボのようになっている秦弥君。
聞き捨てならない台詞があったようです。
蓉子 :「(ち、ちがいますーーー秦弥さんーー)」
事情を説明したいけど、この場でそれをやると更にタイヘンな事態を招くの
で。
必死に涙目で訴えてます。
秦弥 :「(蓉子、何故、そんな目で見る……)」
事情が飲み込めず、更に混乱する秦弥君。
真帆 :「……で、ちなみに何歳くらいの頃?(くすくす)」
相羽 :「まーだ奴が刑事課にくる前だしねえ、軽く7、8年前か
:な」
真帆 :「……ってことは、せいぜい8つくらい、かな? 流石本
:宮さんだ(ころころ)」
尊 :「8歳だと小学校……2年かな?(くす)」
史久 :「……まったく、先輩もそういうことばかり」
蓉子 :「(違います、秦弥さんっ)」
ちょっと離れた処に座ってるので、会話がはっきり聞き取れないけど。
それでも漏れ聞こえた7、8年前の意味は判ったようで。
秦弥 :「(あぁ、子供の頃の話か……ほっ)」
真帆 :「(あれ?)……相羽さん(こそこそ)」
こちらの会話内容で、微妙に変わる表情。
まぁ、ちょっと気をつければバレちゃうよね。
相羽 :「ん?」
真帆 :「推定ながら、彼氏の前でそれ言わないほーがいい(苦笑
:しつつ耳元でこそっと)」
相羽 :「ほお……(にやっと笑って秦弥くんを見る)」
にやぁりと、まるで狼が舌なめずりするような相羽さん。
コレはコレで怖いです(笑)。
真帆 :「ついでにからかおうかなとか考えない(ぺし)」
相羽 :「いてっ……まあ、暖かく見守る所存だよ、俺(にやり)」
真帆 :「…………女の子を泣かせないよーにね?」
相羽 :「そら、可愛いお嬢ちゃんを泣かせたりしないよぉ、第一
:そんな事したら中村のダンナに半殺しにされるよ」
真帆 :「……それはそーだ(妙に納得)」
秦弥 :「(何かこっち見て笑ってる……もしかして……気づかれ
:た?)」
蓉子 :「(どうしたのかな、秦弥さん?)」
真帆 :「……そう考えると……(くす)」
唐突に、くすくすくすと笑い出す真帆さん。
ところで、だぁれも気付いていませんが。
周りからかなぁり注目されてますよ?。
相羽 :「……そっちが笑ってんじゃん」
真帆 :「いや、弟が三つの姪っ子見ながら、『彼氏なんか出来た
:ら俺叩きのめしそう』とか言ってたからさ」
真帆 :「ちょっと……それ思い出しちゃって……おかしくて(く
:すくす)」
秦弥 :「(もしかして……みんなに見られてる?……な、なんで!?)」
なんでも、なにも、バレバレです。
尊 :「(あーあ、バレちゃった(くすくす))」
ともあれ。
勝者、中村!
時系列と舞台
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2005年夏休み中、県警剣道場にて。
解説
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『道場へ行こう!』シリーズもいよいよ終盤。
残すはラスボス中村さん VS 蓉子ちゃんの親子対決。
勝負は一瞬だけど……。
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葵 一<gandalf@petmail.net>
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