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Date: Thu, 11 Aug 2005 01:33:14 +0900
From: "Hikaru.Y" <hukira@blue.ocn.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29043] [HA06P]エピソード『お迎えに参りました(仮)』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200508101633.AA00064@hikaru-h8akl379.blue.ocn.ne.jp>
X-Mail-Count: 29043
Web: http://kataribe.com/HA/06/P/
Log: http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/29000/29043.html
ふきらです。
エピソード『フィル、持ち主を決める(仮)』(http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/29000/29014.html)
の続きです。
ちょこちょこと変更したりしておりますので修正よろしくお願いします。
あと、タイトル案も。
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エピソード『お迎えに参りました(仮)』
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登場人物
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津久見神羅(つくみ・から):フィルオナの持ち主(になる予定)
<http://kataribe.com/HA/06/C/0077/>
佐上氷我利(さがみ・ひがり):佐上雑貨店の店番。
<http://kataribe.com/HA/06/C/0497/>
六華(りっか):佐上雑貨店のアルバイト。
<http://kataribe.com/HA/06/C/0481/>
フィルオナ:好奇心旺盛な人形の九十九神。
<http://kataribe.com/HA/06/C/0504/>
本編
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佐上雑貨店。お菓子から生活雑貨まで幅広く取りそろえているこの店は、
少し古びた外見のせいか、時の流れが少しだけ遅れているような印象を受ける。
忙しい時間帯を過ぎ、少し暇になった店内で氷我利はぼんやりと店の中を眺
めていた。
フィルオナに書いてもらった地図を頼りに神羅は店の前にたどり着いた。
神羅 :「へえ、こんなところに雑貨屋があったとは……」
神社からそう離れた位置にはないものの、意識したことがなかったせいか、
これまでこの店の存在には気付いていなかった。
氷我利 :「いらっしゃいませ。」
中に入るとまさに「雑貨屋」という感じで品物が並んでいる。
神羅 :「普通の店やね……(物色中)」
六華 :「いらっしゃいませ(にこにこ)」
六華 :「何か、お探しでしょうか?」
神羅 :「いや、色々と面白いものがおいてあるなぁ、と」
六華 :「はい(にこ)」>面白いもの
店の客は神羅一人だけ。氷我利はぼんやりとその光景を眺めている。
氷我利 :(六華さんが来てから売り上げ上がったよなぁ……六華さん
:様々だね)
シャープペンシル:『氷我利、お前も少し見習ったらどうだ』
氷我利 :「(ぼそぼそと)うるさい」
普通の人なら氷我利が小声で何かが呟いているようにしか聞こえない状況。
神羅 :「ん? 何か変な声がせんかった?」
六華 :「……はい?(小首を傾げて、ちょっと不思議そうに)」
しかし、神羅の耳にはその二人の会話が聞こえていた。六華も聞こえていたが、
普通の人には聞こえない声なのでとぼけている。
シャープ :『氷我利、この人聞こえるみたいだぞ』
氷我利 :「(ぼそぼそ)そうみたいだな」
神羅は声のする方をちらりと見た。
神羅 :「……ま、気のせいゆうことにしとこ」
この店に来た訳を思いだし、六華の方を向いた。
神羅 :「そうや。ところで、この店に氷我利って人はいない?」
氷我利 :「はい、私が氷我利ですが。(きょとんとしながら)」
六華 :「あ、はい、おりますけれども……」
氷我利と六華の声が重なり、そして、二人同時に黙ってしまう。
神羅は苦笑を浮かべ、氷我利はひとつ咳払いをした。
氷我利 :「それで、僕に何かご用でしょうか?」
六華は邪魔にならないよう、静かにレジの方に戻っていく。
神羅 :「じゃあ、あなたがフィルの持ち主で?」
氷我利 :「フィル……フィルオナのことですか。ん?持ち主?」
氷我利 :「もしかして、フィルのこと知ってます?」
六華 :(持ち主……ああ、九十九の人のこと、かな?)
神羅 :「実は……(かくかくしかじか)」
神羅は氷我利にフィルオナと出会ったいきさつを話した。
氷我利 :「あー。そう言うことですか」
神羅 :「まあ、そういうことらしいのです」
氷我利 :「じゃあ、ここだとまずいな、奥に行きましょう」
六華 :(ぺこり、と、二人に黙礼)
氷我利 :「六華さん、しばらく奥に行ってますので。よろしくお願
:いします」
六華 :「はい、確かに(にこにこ)」
氷我利 :「では、こちらに」
氷我利は神羅を居間に案内した。
二人は対面して座る。氷我利は真剣な表情で神羅の顔を見た。
氷我利 :「じゃあ、確認しますけど。フィルの正体も知っていて、
:持ち主になる事も決めたと」
神羅 :「そうですね」
氷我利 :「途中で捨てたりしませんよね?」
神羅 :「そんなに薄情やないですよ(苦笑)」
氷我利 :「……なら、良いです」
氷我利 :「……じゃあ、フィルの所に行きましょうか」
神羅 :「はい」
裏庭にある倉庫。一見普通の倉庫なのだが、
神羅 :「ほほう。これはこれは……」
氷我利 :「おや、何かわかりますか?」
神羅 :「何かと濃いですね」
氷我利 :「まぁ、中を見ればわかるかと」
倉庫の戸を開けると玄関がある。そこから奥に続く突き当たりが見えないほ
ど長い廊下。途中にはいくつもの十字路がある。そして、いくつもの扉。倉庫
には空間拡張が仕掛けられていた。
神羅 :「うわ……拡げてるわけか」
氷我利 :「えぇ、昔その手のが得意な人にやってもらったんです」
氷我利 :「では、行きましょうか」
先に進んでいる非我利が数歩進んだところで振り返る。
氷我利 :「あぁ、はぐれると、非常にまずいのは。言わなくても
:わかりますよね?」
神羅 :「そりゃ、まあ。こんだけ歪んでれば縮地すらも使えんし
:ね」
氷我利 :「空間系の術は危険でしょうね」
神羅 :「理(ことわり)が違うからねえ」
苦笑を浮かべる神羅。
倉庫の中には九十九神と化した道具などがいっぱいある、と道の途中で氷我
利は話した。
神羅 :「しかし、よくこれだけ集まったもんやねえ」
氷我利 :「まぁ、何代も続いてますので。それだけ、酔狂な家系と
:いうことですよ」
神羅 :「なるほど」
氷我利 :「っと、ここですね」
氷我利が止まったところの扉には『フィルの部屋』と書かれた札がかけられ
ている。
氷我利 :「フィルー?」
ドアをノックする。
フィル :「はいなのですー。何か用なのですー?」
氷我利 :「フィルの持ち主が、引き取りに来たよー」
フィル :「はいなのです、わかったのです、いまあけるのですー!」
SE :ゴイン
まさに漫画のような光景だった。ノックしていた氷我利の顔面に勢いよく開
かれたドアがぶつかる。
フィル :「………あ」
氷我利 :「いったー」
うずくまる氷我利。
神羅 :「(小声で)おいしいな」
氷我利 :「おいしくない……痛い」
フィル :「マスター!(がばっと抱きつく)」
いきなり飛んできたフィルをとりあえず抱き留めて、勢いを流すように横に
一回転する。はたからみたら「何のドラマだ」と思われるかもしれない。
氷我利 :「えらいうれしそうだ。まぁ、気持ちはわからんでも無い
:が」
フィル :「あぁー、マスターだー」
氷我利 :「………そこまでされると、ものずごく悔しい」
満面に笑みを浮かべているフィルと、悲しげな表情の氷我利。まるで娘を嫁
に出す父親のようである。
神羅 :「……とりあえず落ち着いてもらえへんやろか(フィルを
:降ろす)」
フィル :「あ、はいなのです」
氷我利 :「まぁ、なんというか。ものすごく気に入られましたね」
神羅 :「……本人も理解できてへんけど、そうらしい」
氷我利 :「では、フィルのことよろしくお願いします」
フィル :「お願いしますなのです」
神羅 :「ああ、はい」
氷我利が深々と頭を下げ、それを真似るようにフィルも頭を下げる。ついで
に神羅も頭を下げる。
氷我利 :「では、戻りましょうか」
神羅 :「持っていく荷物とかないの?」>フィル
フィル :「荷物ですか?うーん」
フィルはハリセンとピコハンと杖を呼び寄せた。
フィル :「これだけです」
神羅 :「そんだけか。そりゃ楽で良い(苦笑)」
フィル :「はい、らくちんなのです」
フィルが神羅の腕に抱きつく。
氷我利 :(うん、うれしそうだ。問題無さそうだな)
氷我利 :(うぅ……さみしいなぁ……)
喜んでいいような、でも、悲しいような複雑な心境で氷我利はその光景を眺
めていた。
時系列と舞台
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2005年8月初め。佐上雑貨店。
エピソード『フィル、持ち主を決める』の数日後。
解説
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フィルの保護者である氷我利に神羅が挨拶に行く。
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