[KATARIBE 29034] [HA06P]エピソード『unbalance 3rd 〜Smoker's Nocturne〜』

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Date: Tue, 09 Aug 2005 17:15:31 +0900
From: gandalf@petmail.net
Subject: [KATARIBE 29034] [HA06P]エピソード『unbalance 3rd 〜Smoker's Nocturne〜』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <20050809171433.97FA.GANDALF@petmail.net>
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Web:	http://kataribe.com/HA/06/P/
Log:	http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/29000/29034.html

 こんにちは葵@自キャラのキャラチャはログ切ろうキャンペーン中 です。

 で、切りました(ぉぃ
 小説とEPとちゃんぽんになっちゃいますがご容赦という事で。
 チャットログにしようかと思ったんですが、大分手を入れましたので
 EPとしてながしまする。

 チェックよろしう〜 >久姐さん、きしとん

元ログ:http://www.trpg.net/talk/IRC/kataribe/2005/07/20050723.HA06.txt

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[HA06P]エピソード『unbalance 3rd 〜Smoker's Nocturne〜』
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登場人物
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 如月尊(きさらぎ・みこと)
  外見16歳な少女になって帰ってきた花屋のお姉さん。
  最近は裏家業も無く平穏な日々だったが、思わぬドジで  危うく死にか
  ける。

 本宮和久(もとみや・かずひさ)
  吹利県警に勤務のおまわりさん、表向きは生活安全課勤務だが零課にも勤
  務する。
  通称、豆柴君。みんなから慕われる良いおまわりさんの見本な恋多き好青
  年。

 如月夾(きさらぎ・きょう)
  FLOWER SHOP Miko のマスコットガール。
  お姉ちゃん思いのとってもよい子。


黄昏時の夜想曲
--------------

 夜と昼がが溶け合う黄昏時。
 昼の暑さが嘘のように涼やかな風が吹きぬける公園。
 ベンチに座り、ぼんやり煙草を咥える本宮君。

 和久     :「……(ふぅ)」

 ほうっと、紫煙を一服吐き出す。
 その背後から、とぼとぼと後ろから近づく人影。

 和久     :(ぼんやり空を眺めながらタバコをくわえている)
 尊      :「あ……れ……先客……か、(後ろから) すみません、
        :隣よろしいですか?」
 和久     :「あ、どうぞ……(振り返って) って、尊さん?」
 尊      :「……本宮君?」
 和久     :「あの、腕のほうは? (尊の左手見つめて)」
 尊      :「あ(手首押さえて)うん、 大丈夫……その……この間
        :は、ありがと」
 和久     :「いえ、でも、気をつけてくださいね(心配げ)」
 尊      :「うん……ごめんね、心配掛けて(病院で泣いたのを思い
        :出してちょっと赤面)」

 微かにそよぐ風が煙草の煙を尊の傍に運ぶ。

 和久     :「あ、その、タバコの煙平気ですか? (気づいてわたわ
        :た)」
 尊      :「うん、大丈夫、その、隣……いい、かな?」
 和久     :「ええ、はい。どうぞ……(なんか……緊張するなぁ)」

 ベンチは結構広いのだが。
 つかず離れずの微妙な距離に隣にちょこんと座って。

 尊      :「……煙草」
 和久     :「え?」
 尊      :「吸うんだ?(くす) 先客が居るとはおもわなかったな」
 和久     :「……尊さんも、吸うんですか? (ちょっと意外)」
 尊      :「え……あ、うん……たまにね(照れ)」
 和久     :「いや、まあ。俺も……たまに吸いたくなる時あるし」
 尊      :「煙草ってさ……人前で堂々と溜息つけるよね(クス)」
 和久     :「……ああ……それは、確かに(微苦笑)」
 尊      :「あたしも……いいかな? (セーラムピアニッシモ出して)」
 和久     :「ああ、つけますよ(ポケットからジッポだして)」
 尊      :「ん、ありがと(ちょっと照れ)」

 カチリ、シュボッと火が灯り。
 オイルと、メンソールの薄荷の香りが微かに漂う。

 尊      :「(つけてもらってから思い出したように) ……本宮君」
 和久     :「はい?」
 尊      :「煙草……吸う娘(こ)は……嫌い?」

 座高の関係で、下から見上げる瞳。
 大きな、深い、黒。

 和久     :「い、え……そんな、ことは……ない、です、けど(ドキ
        :ドキ)」

 微妙に赤らむ顔をごまかすように、視線をそらす。

 和久     :「……あの、正直昔は嫌いでした。でも」
 尊      :「でも?」
 和久     :「自分が吸うようになってからかな……タバコを吸う意味
        :が、なんとなくわかってから」
 尊      :「そか……(安心したように一服) あたしも、おんなじ」
 和久     :「……吸いたくなる時って、あるなっていうのがわかって」
 和久     :「……なんだか、おかしいですね(微笑)」
 尊      :「ううん、そんなこと……無い……よ(ぼんやり空見上げ
        :て)」

 ゆっくりと立ち上る入道雲をぼんやり眺めながら、ぽつぽつと呟く。

 和久     :「……(横顔を見てみる)」
 尊      :「あたしも……嫌いだったけど、吸いたくなるときもある
        :なって」
 和久     :「ありますね、昔は妙に潔癖だったっていうか、こうじゃ
        :なきゃだめだとか、考えが一辺倒だったから」
 尊      :「昔って……本宮君なんだか、あたしより年上みたい(く
        :す)」
 和久     :「え?……いや、その(確かに外見でいえばこっちが上だ
        :けど)」
 和久     :「……なんか不思議です。今目の前にいる尊さんと、昔の
        :尊さんと……同じ人のはずなのに、いや、同じ懐かしいも
        :のを感じるのに、違う人のような気がして」
 尊      :「……やっぱり……そう思うよね(空見上げながら)」
 和久     :「…………つらい、ですか?」
 尊      :「ねぇ本宮君……」
 和久     :「……はい」
 尊      :「生きてて一番辛いことって何だと思う?」
 和久     :「それは…………」

 暫しの沈黙。
 ゆらゆらと立ち上る二筋の紫煙。

 和久     :「大切な人を失くすこと、かな(慎重に言葉をえらびつつ)」
 尊      :「うん……見送らなくても……いい人を……見送る……の
        :……が(涙声)」

 必死に堪えようとするが、声が震えて涙が溢れる。

 尊      :「あたし、が、先に……逝くはず……なのに……」
 和久     :「…………(黙って見つめる)」

 メンソールを咥えた口元がギリッと歪み、フィルターを噛み切られた煙草が
ポトリと落ちる。

 和久     :「……(そっと肩に手をおく)」
 尊      :「(一瞬びくっとするけど安心したように肩の力を抜く)
        :こんな事で……泣いちゃう…なん……て……弱く……なっ
        :ちゃった……かな」
 尊      :「この間……だって……」
 和久     :「……いえ、このあいだのは……事故だったし、尊さんが
        :弱くなったわけじゃないです」
 尊      :「でも……こんなんじゃ……(自分の両手を見て、爪が刺
        :さりそうな位強く拳を握って)大事な……」
 和久     :「……尊さん」
 尊      :「人を……まもりたいのにぃ(ぼろぼろと両眼から涙が溢
        :れる)」

 肩に回された手が、やさしく引き寄せる。
 ストン、と、引き寄せられるままに胸に収まる。

 和久     :「……わかりますから、俺にも」
 尊      :「っく……うぅぅ(嗚咽)」

 泣き顔を見られたくないのか、シャツを掴んで顔を埋める。
 しゃくりあげ、震える背中をあやすようにぽんぽんと叩く。

 和久     :「……守りたいって思うのも」
 尊      :「……っく……」
 和久     :「……でも、まだ自分に力が足りないことも」
 尊      :「うん……(ぐすっ)もし……あの時……あのまま、本宮
        :君が見つけてくれなかったら……って考えると……」
 和久     :「…………尊さん」
 尊      :「怖くて……怖くて……」

 彼女の笑顔が戻るように、と。
 震える肩をもう一度抱きしめる。

 尊      :「まだ……死にたくない……人外と戦ってる時はそんなこ
        :と思わないのに……ふっと……日常に戻ったときに……怖
        :くなる……」

 抱きしめられ、胸元に顔を埋めたまま、ぽつり、ぽつりと呟く。

 和久     :「……死ぬかもしれないなんて考える暇ないほどに必死だ
        :から、かもしれない」
 尊      :「うん……」
 和久     :「……県警での訓練や、零課での任務のときは、俺も、考
        :えてる暇はないです」
 和久     :「でも……ふとした時に、思い出して怖くなる」
 尊      :(びくっ)

 一瞬、強張った。

 尊      :「……本宮君……」
 尊      :「死なないでね?」
 和久     :「はい」
 和久     :「絶対、死にません」
 尊      :「うん……あっ(慌ててハンカチで顔を拭う)」

 顔上げて、顔を見ようと思ったけど。
 泣き顔はあまり見られたいものでもないようで。

 尊      :「あたしも……(すっくと立ち上がって)」
 尊      :「生きて、生きて、生き抜いて『あの婆さん早く逝っちま
        :えよな』って言われるくらい生き抜いてやる(ぐっ)』
 尊      :「なんて……ね?(泣き笑い誤魔化し)」
 和久     :「……はい(微笑)」

 交わされる微笑み。

 和久     :「俺なんかも、口うるさい爺さんになりそうですから」
 尊      :「……じゃ、後に残った方が喪主する?(くすくす)」
 和久     :「……え!? (それって……)」
 尊      :「あ……(真っ赤)」

 自分の一言が何を意味するか理解して。
 夕日より紅く染まる頬。

 尊      :「い、あ、あの……そ、そのくらい頑張ろうねって(焦)」
 和久     :「え、あ、は、はい(汗)」

 と、風がどこかで降っていた夕立の涼しさを運んできた。

 尊      :「ん……いい風(吹き散らされる髪を押さえて目を細める)」
 和久     :「あ……(呆然)」

 落ちかけた夕日が光の筋となり、目の前の尊を後ろから照らす。
 つ、と吹いた涼やかな風が髪を巻き上げ、光に透けた髪が栗色のオーラとな
りシルエットを彩る。
 暫時、止まる刻。

 和久     :「……あの、尊さん」
 尊      :「……ん?(微笑)」

 次の一言がこぼれる前に。

 夾      :「おーねーえーちゃーんー!?」

 遠くから聞こえる恨めしそうな呼び声。

 和久     :「!」
 尊      :「あ……夾ちゃん(汗)」
 夾      :「なーんで、こんな所にいるのですか!」

 よっぽど慌ててたのか、胸を押さえて息を整える夾ちゃん。

 尊      :「ちょ、ちょっと散歩しててね、うん(汗々)」
 和久     :「ああ……こんにちは(なんとか誤魔化し笑い)」
 夾      :「あ、あわわわわ。こ、こんにちはです!」
 尊      :「で、どうしたの?……あ、お店……(汗)」
 夾      :「それもありますけど、怪我してるんですから勝手に居な
        :くなったりしないでください。 心配するじゃないです
        :かぁ……(ぐすっ)」
 尊      :「ご、ごめんね(しゅん)」

 腰に手を当て、尊を見上げながら叱る夾ちゃん。
 和久の口元に、どっちがお姉さんなんだか、とクスリと笑みが浮かぶ。

 和久     :「えっと、あの、じゃあ俺はこれで」
 尊      :「あ、本宮君……」
 和久     :「え、はい」
 尊      :「ありがと(極上笑顔)」
 和久     :「…………はい(赤面)」
 尊      :「さ、夾ちゃん、かえろっ(赤面しつつ先導だっしゅ)」
 夾      :「あわわ! いきなり走るのは卑怯なのです!」
 和久     :「……(走ってく尊さんと夾ちゃんを見送る)」

 尊達を見送り、足元に落ちた燃え尽きる寸前の煙草を拾い上げると灰皿に放
り込んだ。

 じゅっ。



時系列と舞台
------------

 2005年7月後半、本宮君に温室から助け出されて入院した後。
 近所の公園で。


解説
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 PL本体は煙草吸いませんしあまり好きではないのですが、
 小道具としてのライターや煙草は捨てがたい物がありますねぇ。

#意図的にらぶい話の解説から逃避中(ぉぃ

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葵 一<gandalf@petmail.net>

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