[KATARIBE 29006] [HA06P] エピソード『蒼雅さんちの事情』

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Date: Tue, 2 Aug 2005 01:04:58 +0900 (JST)
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29006] [HA06P] エピソード『蒼雅さんちの事情』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2005年08月02日:01時04分58秒
Sub:[HA06P]エピソード『蒼雅さんちの事情』:
From:久志


 ちは、久志です。
蒼雅さんちの嫁入り作戦、EP化してみました。

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エピソード『蒼雅さんちの事情』
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登場キャラクター
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 蒼雅彬(そうが・あきら)
     :蒼雅家現当主、巧・梓らの父。霊獣使いの元締め。霊虎使い。
 蒼雅巧(そうが・たくみ)
     :蒼雅家長男、跡継ぎ息子であり梓の弟。霊鷹・秋芳を使役する。
     :http://kataribe.com/HA/06/C/0529/

屋敷にて
--------

 吹利郊外にある、大きな屋敷。
 代々霊獣使いとして続いてきた蒼雅家での会話。

 巧      :「父上、お呼びでございますか?」
 彬      :「巧か」

 上座にて鷹揚に座った男、現当主である蒼雅彬。その傍らには艶やかな毛並
みの虎が頭を垂れて付き従っている。
 向かいに背筋正しく正座したのは、長男であり跡継ぎである蒼雅巧。その肩
には鋭い目つきの一匹の鷹がじっと息を潜めるようにとまっている。

 彬      :「お前を呼び出したのは他でもない」
 巧      :「……姉上のことでございますか?」
 彬      :「……うむ」

 しぶい顔で頷く彬。
 目下のところ、現当主の頭を悩ませているのは蒼雅家の長女であり巧の姉で
ある蒼雅梓のことだった。

 彬      :「いくつか嫁ぎ先を考えたが、やはりかの家以外で嫁げる
        :先が思いつけないのだ」
 巧      :「…………弧杖の家ですか?」

 姉の梓は、十六歳になる巧の八つ上、二十四歳。
 結婚を考えるには世間一般では少々早いとも言えるが、本人のぼんやりした
のんきな性分を考えると、本人がその気になるのを待っていたらいつまでたっ
ても結婚できないだろう。

 彬      :「巧、この件はお前に任せる」 
 巧      :「……本気ですか、父上?」 
 彬      :「……心苦しいが」 
 巧      :「わかりました、この書状は確実に弧杖の家へお届けし
        :ます」
 彬      :「頼むぞ」
 巧      :「ははっ!」

 深々と一礼し、部屋を後にする。

弧杖家の前 
---------- 

 晴れた空。
 大きな翼を広げて飛ぶ一匹の鷹。
 目当ての建物と主の姿を見つけると、ピイィーっとひとつ甲高い声で鳴いて、
ふわっと空を舞ってゆっくりと降下していく 

 巧      :「(メモを片手に)ここに間違いないな」 

 弧杖家の門の前。
 肩にふわっと舞い降りた鷹の頬をそっと撫でて、呼び鈴を押す。

 SE      :じりりりり 
 若い女の声  :(インターホンから)「どちら様でしょうか」 
 巧      :「蒼雅家の長男、蒼雅巧と申します、父よりそちらへお届
        :けしたい書状をもって参りました」 

 声が一旦とまる。
 僅かな時間をおいて、からり、と戸が開いた。

 歩知     :「御主人様に書状、ですか」 
 巧      :「はい、ご主人にお会いできるでしょうか?」 

 少し目をつむって、開ける。

 歩知     :「分かりました、どうぞ」 
 巧      :「失礼します」 

 玄関口で一礼し、部屋に上がる。
 廊下を通り際、さわさわと人ならぬ気配を感じながら、奥にある弧杖家の父
の部屋に通される。
 ゆったりと部屋の中央に座った男が、にやりと笑いながら巧の顔を舐めるよ
うに見ている。
 すっと正座をし、深く一礼する。

 巧      :「蒼雅家長男、蒼雅巧と申します。突然の訪問の失礼お詫
        :びします」 
 雅魍     :「蒼雅の若君が、うちのような没落家に何の用かな?」 
        :(ニヤリ、と) 
 巧      :「ご冗談を、我が家とは比べ物になりませんものを」 
 雅魍     :「はは、いやいや、我が家はもう斜陽でね。 
        :何せ息子がふらふらと」(ニヤニヤ 

 懐からすっと書状をだして。

 巧      :「我が父からの書状です、お納めください」 
 雅魍     :「ふむ、どれどれ」 

 手紙の内容。

「うちの娘さあ、結構イイ年なんだけどなかなかいい相手いなくってさあ。
 普通の家に嫁げる身じゃないし、そっちのにーちゃんと丁度よくない?
お見合いとかどお?返事ヨロシク」

 というような内容が丁寧で礼儀ただしい文体で書いてある 

 雅魍     :「ははぁ……これは面白い(ククク)」
 巧      :「……返事は急ぎません、先方のご意向が優先ですから。
        :できれば、ご一考いただきたく」 
 雅魍     :「いやいや、これはいい。あの馬鹿息子が慌てふためく様 
        :を見るのは楽しみだ(クハハハ)」

 ひとしきり笑うと、手紙を丁寧に畳み机に置いた。

 雅魍     :「この件、息子には黙って受けさせてもらおうか(ニヤリ)」
 巧      :「ご都合がよろしければ、追ってこちらで宴席を設定いた
        :します。いかがでしょう?」 
 雅魍     :「うむうむ、宜しく頼んだ」(ニヤニヤ 
 巧      :「……はい、此度良縁が結ばれることを願います(ぺこり)」
 雅魍     :(ニヤリ)

 出口でもう一度深く一礼すると、部屋を後にした。
 
 弧杖の家を出て空を見上げる。
 空を旋回していた鷹が巧の姿を認めるとゆっくりと急降下してくる。

 巧      :「秋芳!待たせたな」

 ふわりと肩に舞い降りた鷹をそっと撫でて、歩き出す。

 巧      :「しかし……」

 振り向いた先、堂々とした弧杖の家が見える。

 巧      :「……大丈夫だろうか、あの少々おっとりとしすぎた姉上
        :で……」

時系列
------
 2005年7月末
解説 
---- 
 蒼雅家にて姉の縁談を持ち掛ける手紙を持って、弧杖家へ訪れる巧。
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とりあえず、EP化を押し進める所存。



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