[KATARIBE 28963] Re: [HA06P] エピソード『無明の天使』

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Date: Mon, 25 Jul 2005 00:24:13 +0900
From: 月影れあな <tk-leana@gaia.eonet.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 28963] Re: [HA06P] エピソード『無明の天使』
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 おいっす、れあなです。
 一枚噛ませて戴きたく存じます。くどい描写ですが失礼をば

 大体、この辺に入れるべきシーンですかしら。

>*********************************************************************
>エピソード『無明の天使』
>====================
>登場人物
>--------
 ブリジッタ洗馬清香(−・せば・さやか)
    :悪魔祓いも行うおっとりシスター。


> 倉守     :「あと、少し……くっ」
> 倉守     :(意識を失い、倒れ)
>
> 後に残ったのは、静寂のみ。


闇に羽ばたく白翼
----------------
 さてその日、その夜。彼女、シスター・ベルナデッタことブリジッタ洗馬清香
は、部屋の蛍光灯を切らし、近場のスーパーマーケットまでちょっとした買い物
に出かけていた。
 足を止めたのは人の言い争うような物音が聞こえたからだ。音が聞こえたの
は、通り過ぎるところだった公園の中から。そうして彼女は、迷わず進行方向を
変えて、公園の中に踏み入っていった。
 彼女がこの凄惨な倉守雛傷害の現場に出くわし、事件と関わりを持つに至るま
でには、いくつかの偶然という道を通過する必要があった。
 蛍光灯がその夜その時間に切れたことや、その公園の前の道を通ったこと、ま
た帰りの道行きに突然教会の同僚から携帯電話でついでのお使いを頼まれ、思わ
ぬ遠出をする羽目になったことなどである。それらの一つとして欠けていても彼
女が事件に関わりを持つことは無かったろうし、また何か余分な出来事があった
としても同様だったろう。後々になって振り返ってみると、これらの出来事全て
が正しく偶然と呼べるかどうかは疑問の残るところである。
 それは、運命論者なら間違いなく、それも嬉々として「運命だ!」と叫ぶよう
な可能性の綱渡りの上に起こった邂逅だった。

 ブリジッタ  :「天使さま……ッ?」

 公園に足を踏み入れたところで彼女が見たのは、闇を裂いて羽ばたく白い翼
と、翼を背負い夜空に舞う美しい少女の姿(後に知り大慌てで謝罪することにな
るのだが、不幸なことにも倉守氏については街灯の陰になっていたこともあって
気が付かなかった)。天使はすれ違うようにブリジッタの頭上を越えて飛び上が
る。一瞬、翼が街灯と月の光を遮り、暗黒に包まれた。
 一瞬だけ、その硝子細工のように静謐な顔が視界に入る。

 ブリジッタ  :「――え?」

 一瞬だけ。瞬き一つあったかすら知れない短い時間の間だけ、空を舞う少女と
視線が合った。濡れた黒檀のように艶やかな虹彩。相手の目が一瞬、驚いたよう
に、ひどく傷ついたように見開かれる。ブリジッタにはその瞳に、確かに見覚え
があった。
 なぜ彼女が、その事件に関わりあうことになったのか。
 彼女が周囲から不運と呼ばれる運命律の偏りの持ち主であったからか、或いは
彼女やかの少女の信ずる唯一絶対の神が、自らの信徒に救いの手を差し伸べるべ
く確率変数にちょっとした手心を加えた結果だったのか。
 かの難波花月嬢であれば『エピソード書く上での都合ゆうヤツや』とでもコメ
ントしたことだろう。特殊物理学的に解釈するなら多界構造相互に干渉し合った
結果このような奇縁が導かれたなど説明することも出来よう。しかしながら、彼
女自身の見解は、いつもの通りただ単純な一言に尽きた。

 曰く、『全て主の与え賜うた試練です』。

 エィメン。


>通りすがりの葬儀屋
>------------------
>
> 闇夜に喪服に黒髪姿の男が一人。
>
> 幸久     :「はあ、遅くなった」


>*********************************************************************


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