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Date: Fri, 24 Jun 2005 23:10:30 +0900 (JST)
From: 久志 <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 28864] [HA06N] 小説『鈍痛』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200506241410.XAA40018@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 28864
Web: http://kataribe.com/HA/06/N/
Log: http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/28800/28864.html
2005年06月24日:23時10分29秒
Sub:[HA06N] 小説『鈍痛』:
From:久志
久志です。
史兄サイドちょぴっと動きます。
本当に史兄の胃が心配になってきました。
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小説『心痛』
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登場キャラクター
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本宮史久（もとみや・ふみひさ）
：吹利県警刑事課巡査。屈強なのほほんおにいさん。昼行灯。
応答なし
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携帯の電話帳から番号を手繰る。
名前と番号を確認して通話ボタンを押す、おそらく出ないだろうけれど。
一瞬間を置いて響くコール音。
一回、二回、三回、やはり彼女は出ない。たぶん居留守だろうね。
数回目のコールが終わり、留守番電話の応対に切り替わる。
「本宮です……先輩のことでお話聞きたいです」
彼女が電話に出ない理由。
それはおそらく、あの人のこと以外には考えられない。
「電話下さい。また電話します」
連絡はこないだろうと思う。
でもやはり、そう言わずにはいられない。
電話を切って、ひとつため息をつく。
昼過ぎの県警の屋上は、夕べの霧雨のせいでそこかしこが湿ってまだらな模
様を作っている。今日はうって変わって天気はいいものの、とてもじゃないけ
ど清々しい気持ちにはなれない。
その原因は、先輩。
朝、刑事課のデスクで先輩と顔をあわせて、即座に理解した。
普段と変わらない人を食ったような笑顔、だがその顔は微妙に精彩を欠いた
ような、何かを押し隠したような不自然さをにじませていて。
先輩、真帆さんと何かありましたね。
何があったかは、大体予測がつきますけど。
相羽先輩。
真帆さん。
五月の初めに、真帆さんが上嶋千夏に刺された事件から、ずっと。二人の間
に微妙な緊張があった。
この事件で、非があるのは当然ながら犯人である上嶋千夏本人だ。だがその
犯行に至った動機は、先輩にある。
人に刃物を向けてまで、彼女が欲したのは先輩自身。
さんざん悪辣なやり方でおネエちゃんを利用して、裏切っていても。本当に
相羽先輩を心から恨んでる人は、実はそうそういない。
あの事件の後、取調室で彼女が鉄面皮の先輩に向かって叫んだ言葉。
『あなたが！』
『誰も近くに寄せつけないなら！誰も手に入れられないなら！我慢できた！』
『どうして！なんであんな女があなたの近くにいることが許されるの！』
『どうしてあの女だけ許されるの！』
『どうして、相羽さん……』
今まで、あんたが憎いと叫んだ人もいた。殺してやりたいと泣いた人もいた。
けど、それは先輩を心から憎いと思っているわけじゃあなくて。
恋慕か、独占欲か、あるいはまた別の何か。
そして、先輩は。自分に執着する人間を決して受け入れようとはしない。
その中で、ただ一人。
立ち入ることをができる者。
その意味を、先輩はわかっているのだろうか。
いや、理解したらなおさらに先輩は斬り捨てようとするだろう。
真帆さんを守ろうとする為に。
本当に……
あなた達二人揃って。
どうしてそんなに難儀なんですか。
なんとか力になりたくとも、どうにか手を差し伸べたくても。
それでも、自分ではどうにもならないことの無力さが。
痛い。
時系列と舞台
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2005年5月20日。
解説
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『決断』翌日。連絡が通じない真帆、精彩を失った相羽を見て、
史久が思うのは。
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以上。
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