[KATARIBE 28859] [HA06N] 小説『踏み込み捜査』

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Date: Thu, 23 Jun 2005 00:52:12 +0900 (JST)
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 28859] [HA06N] 小説『踏み込み捜査』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2005年06月23日:00時52分12秒
Sub:[HA06N]小説『踏み込み捜査』:
From:久志


 久志です。
こんな風に研修してるんでそうかねえ。
てか、かなりいい加減なので突っ込みは不可。

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= 
小説『踏み込み捜査』
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登場キャラクター 
---------------- 
 本宮和久(もとみや・かずひさ) 
     :吹利県警生活安全課巡査。生真面目さん。史久の末弟。 
     :犬にたとえると豆柴。 
 相羽尚吾(あいば・しょうご) 
     :吹利県警刑事課巡査。ヘンな先輩。おネエちゃんマスター。 
     :犬というか、ぶっちゃけ狼。 
 本宮史久(もとみや・ふみひさ) 
     :吹利県警刑事課巡査。屈強なのほほんおにいさん。昼行灯。 
     :犬にたとえるとグレートピレニーズ。 

和久 〜肩に掛かる重さ
----------------------

 ひとつ、息を吸う。
 じっと見つめた視線の先には、少し薄汚れた赤茶けた玄関のドア。
 少し息をためて、細くゆっくりと吐き出す。

 耳につけたイヤホンから、相羽さんの低い声が聞こえる。
『一班、様子はどうだ?』
「はい、こちら一班本宮。現在、被疑者宅玄関監視中、該当人物は一時間前に
帰宅、それ以降の別の人物の出入り、被疑者の外出はありません」
『了解。ベランダ監視中の二班との状況を確認し次第、突入を開始する。監視
を怠るな』
「はい」
 すぐ隣を向くと、同じく通信を聞いていた同期の波佐間さんが小さく頷いた。
 ひとつ、息を飲み込んで軽く胸を撫でる。緊張のせいか、少し息苦しい。
 両肩に掛かる防弾チョッキ重み。警察学校での訓練で何度か身に着けたこと
はあるけれど、その時に感じた以上の重みを両肩に感じる。

 正面玄関張り込みの一班。
 ベランダ待機の二班。
 そして、マンション出口には指令の相羽さんと、有事の支援追跡用に待機し
ているパトカー隊の三班。

 被疑者である該当人物は一時間前に帰宅したのを確認した。
 ベランダ組の監視内容によると、帰宅以前には人の気配はない。

『一班、聞こえるか』
「はい、こちら一班本宮。玄関異常ありません」
『よし、相棒との連携を常に心がけろ、所定位置につけ』
「わかりました」
『あと、ひとつ』
「はい」
『いいか、よく聞け。お前達が突入する部屋にいる相手は、哂う悪魔、昼行灯、
宴会決戦兵器、人間戦車、黒の系譜、地獄のピレネー犬、闇の暗躍者という七
つの異名を持つ筋金入りの凶悪犯だ。気を抜くな、心してかかれ、いいな』
「はい」
 無意識のうちに、胸の内ポケットの感触を確かめる。いつでも抜けるように
収められた……拳銃。

 一瞬の間をおいて、相羽さんの声が耳に響く。

『一班、行動を開始しろ』
「はい」
 隣の波佐間さんと目で合図する。
 もう一度小さく頷いて、周りを警戒しつつ薄木のドアの前に歩を進めた。
 指先がゆっくりとインターフォンに伸びる。

 ベルの音が響く。
 一瞬の空白。すぐさま波佐間さんがドアノブに手をかける。

「どちら様で?」
「警察だ、開けろ」
「……いやだ」
「入れ!」
 二班につながったマイクに向かって叫ぶと波佐間さんが力任せにドアをこじ
開けたのは同時だった。


史久 〜迎撃
------------

 玄関のドアが開く音が響くのと、ベランダの窓が叩き割られる音が耳に届い
たのは、ほぼ同時刻。
 突入タイミングとしてはまあまあか。さて、突入後での行動はどうかな。
 とりあえず押さえるポイントをどれだけ見抜けるか。

「警察だ、そこを動くな!」
 さて緊張してるね、和久。
「令状がでている、薬物を所持しているなら出せ!」

 一班玄関組、突入後の連携はよし。だが、少々周囲監視が甘い、かな?
 二班ベランダ組、突入タイミングは悪くない。どうした?到着が遅い。

「何のことでしょう?」
 さて、この連携の遅れは。
「とぼけるな!」
 痛い目をみるよ?

 足先に力を込める。軽く拳を握り、タイミングをうかがう。
「捜索させてもらう、そこをう……っ!」
 不意に鳩尾に拳を受けて、和久が体を折る。ごめんね、口上中に。
「と、とまれっ!」
 波佐間くん、こっちは正面からだとキツイか。
 体を折って崩れた和久の襟首をつかんで、波佐間くんの方へ突き飛ばして玄
関へ走る。
「待てっ!」
「ごほっ」
 ごめんね、待たないよ。
「待てッ」
「警察だ、動くな!」
 おや、ベランダ組ようやっと来たか。鍵開けに手間取ったかな?
 でも、もう遅い。

 玄関まで後一メートル。
 五十センチ。
 はい、タッチ。

『そこまで!作戦失敗、お前らそこに直れ!』

 先輩の声が部屋に設置されたスピーカーから響いた。


和久 〜鳩尾の痛み
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 胸を押さえる。
 さっきまでの行動と同じだけど意味が結構違う。

「げほっ」
「本宮さん、大丈夫ですか?」
「……ずみません、波佐間さん」
 痛いというか、響くというか……いや、やっぱり痛い。
 息を吐くたびに胸に鈍い痛みが走る。

「ごめんね、和久」
「……いえ、これが実際の現場だったら……」

 あげられる敗因は色々。
 相手の動向を見切れなかった自分の油断。
 二班の突入後の行動の遅れ。

 しかし、うーん。
 まだ、未熟ということか。

「ごほっ」
 胸が痛い。
 今度こそ、とは思っても。実際の踏み込みで今度こそはない。
 作戦ミスの心の痛みと……ホントの痛みと。
 しっかり、しないとなあ。


史久 〜一言
------------

 しかしまあ、言いたい放題いってくれますね、先輩。

「……先輩」
「ん?」
「誰が七つの異名を持つ凶悪犯ですか」
「まあ、脚色つけといたほうがオイシイと思ってさあ」
「ヘンな異名を流さないでくださいよ……」


時系列と舞台
------------
 2005年4月中旬
解説
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 突入摘発模擬訓練を受ける豆柴達、七つの名をもつ凶悪犯に撃退される。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= 
以上 




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