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Date: Fri, 3 Jun 2005 01:44:49 +0900 (JST)
From: 久志 <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 28834] [HA06N] 小説『度胸試し』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200506021644.BAA09687@www.mahoroba.ne.jp>
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Web: http://kataribe.com/HA/06/N/
Log: http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/28800/28834.html
2005年06月03日:01時44分49秒
Sub:[HA06N]小説『度胸試し』:
From:久志
久志です。
ああ、県警関連は資料集めが辛いとです……
細かいことはいい加減なのでツッコミは不可。
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小説『度胸試し』
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登場キャラクター
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本宮史久（もとみや・ふみひさ）
：吹利県警刑事課巡査。屈強なのほほんおにいさん。昼行灯。
：犬にたとえるとグレートピレニーズ。
本宮和久（もとみや・かずひさ）
：吹利県警生活安全課巡査。生真面目さん。史久の末弟。
：犬にたとえると豆柴。
相羽尚吾（あいば・しょうご）
：吹利県警刑事課巡査。ヘンな先輩。おネエちゃんマスター。
：犬というか、ぶっちゃけ狼。
中村 ：吹利県警刑事課マル暴班長。いかつい人らしい。
丹下朔良（たんげ・さくら）
：吹利県警刑事課元ベテラン刑事、現在指導員
史久 〜監督官
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がらんとした会議室。
中央には広い長テーブルが置かれ、片方に一人、向かいにまるで面接をする
ように三人の男が椅子に座っている。
僕はテーブルの脇に置かれた椅子に座り、双方をゆっくりと交互に眺める。
片方に座った一人、ちょっと緊張した面持ちの新任……和久。
もう片方は置かれた椅子に座っている三人。
一番右端の席には、がっしりした体格にいかつい顔立ち、刈り上げ頭の男。
吹利県警刑事課暴力団対策班長、ヤクザも恐れる通称鬼のマル暴班長中村さん。
真ん中の席には、浅黒い肌に禿げ上がった頭、右目に眼帯姿というちょっと
怖い外見のおじさん。吹利県警刑事課元刑事、現在は前線から引いて指導員を
勤めているベテラン丹下朔良。
そして一番左端でふんぞり返って座っている、刃のように鋭い眼光の男。
吹利県警刑事課巡査、ヤクザも避けて通る、通称ヤク避け相羽こと相羽先輩。
一瞬、どこの組事務所に紛れ込んだかと錯覚してしまうような三人だ。
というか向かいに座ってるだけなのに、和久の額を汗が伝ってる。
無理もないというか、まるで罰ゲームのような対面だ。
しかし、本当の試練はこれからなわけで。
捜査員研修。
交通、生活安全、刑事、地域の各課から事件捜査員としての能力を高める為
に事情聴取、職務質問、鑑識などの実地訓練を行うものである。
そして、今回の研修内容。
このヤクザも道を譲る面々を相手に、事情聴取しろと言うものである。
これを罰ゲームと言わずしてなんというか……
トップバッター、中村さん。
「あの」
「ああ、なんだ？」
「……はい、あの……」
こらこら和久。そこでいきなり中村さんの雰囲気に飲まれないの。
って、無理かもしれない。あのヤクザもびびるドスの効いた声を浴びせられ
て、まともに受け止められる相手ともなると県警内でもそういないだろうし。
「……ええと、事情をお聞きしたいのですが」
引けてる引けてる。
それじゃあ話聞くどころじゃないでしょうが、もう。
次、丹下さん。
「お話をお伺いします」
「話すこたあねえな」
「…………」
こら、そこ、黙らないの。
ちゃんと続けなさい。
「……この件に関してですが」
「しらんのう」
「あの、ですが……」
だめだこりゃ。
そしてラスト、相羽さん。
「では」
「はぁ、俺知らないよお？早く帰りたいんだけど」
「いえ、そういうわけには」
「てかさあ、俺無関係なんだけど、なんでこんなとこしょっぴかれてんの？」
「ですが……」
「おにーちゃんよお、俺のこと舐めてる？」
「あの、いえ、そんな……」
はあ。てかこう、先輩も悪ノリしすぎだし。
というか、この人ヤクザよりはるかにタチが悪いし。
結果。
まともに情報を聞き出すことはさっぱり出来なかった。
「だ……だめだ……」
「ほおら豆柴さあ、ダメだよ。史みたいな刑事になれないよ？」
「……うう、しっかりしなきゃ」
「まあ、一言も口が聞けなかった前の奴よか、まあマシってくらいかのう」
はあ。
しかし、まあ、今回の研修の目的として、聞き込み相手から情報を聞きだせ
る事自体に期待はほとんどしていない。
この手の手腕はどうしても実践経験が必要なものであるし、どういうやり方
が一番いいかは本人の資質と相手の出方と立場と人となりによるし。
どんな相手を前にしても飲まれないこと、
びびらないこと、飲まれないこと、ひるまないこと。
毅然とした態度で挑むこと。
ほとんど度胸試しみたいなものだ。
「……頑張ろうっ」
まあ、うん。おいおい頑張りなさい。
でも刑事になったらなったで、余計に心配でもあるんだけど、ね。
時系列と舞台
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2005年４月上旬
解説
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捜査員研修というなの度胸試し。
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以上
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