[KATARIBE 28713] [HA06N] 小説『結婚騒動 五章〜捜査続行』

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Date: Tue, 3 May 2005 19:12:58 +0900 (JST)
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 28713] [HA06N] 小説『結婚騒動 五章〜捜査続行』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2005年05月03日:19時12分57秒
Sub:[HA06N]小説『結婚騒動 五章〜捜査続行』:
From:久志


 久志です。
とりあず、史兄&豆柴兄弟で捜査続けます。

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= 
小説『結婚騒動 五章〜捜査続行』
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登場キャラクター 
---------------- 
 本宮史久(もとみや・ふみひさ) 
     :本宮家長男、屈強なのほほんお兄さん。吹利県警刑事課巡査。 
     :難儀者の弟連中にしょっちゅう苦労をかけられている。
 本宮和久(もとみや・かずひさ) 
     :本宮家末っ子。吹利県警巡査、通称:豆柴くん。
     :やる気満々の生真面目さん。
 その他証言者色々

和久 〜ドキドキ家宅捜索
------------------------

 外から中へ、左から右へ、下から上へ。
 観察と調査の順序。
 警察学校で学んだこと、交番勤務での研修、県警での捜査員講習でのやり方
をゆっくり頭の中で反芻する。
 全体から部分へ。周辺から細部へ。
 落ち着いて冷静に、ああでもちょっとドキドキする。

 カギを開けてもらう前に聞いた管理人さんの話だと、ここ数日昼間の時間帯
に幸兄を数回見かけたらしい。それも白い春物コートにグレースーツに眼鏡姿
という、おおよそ普段の幸兄からは想像もつかない姿だったという。
 あやしい、よな。うん。

「えっと、お邪魔します」

 ゆっくりと全体を見回しながら部屋に入る。
 なんていうかさ、少しは掃除しろよ幸兄。
 あちこちには本や雑誌が無造作に平積みされて、電話機はホコリで真っ白、
ベッドの脇にあるテーブルの上には空き缶がずらっと並んでる。ベッドの上も
シーツも掛け布団もぐしゃぐしゃで着替えもそのまんま放り出してある。
 クロゼットの中、入り口ちかくにかけられた白い春物コート。これ確か俺が
高校の頃から持ってた奴だよなあ、そんな古いものを今更? それにそのすぐ
隣に掛かってるグレーのスーツも結構前からあったはずだし、幸兄は普段色物
スーツなんて絶対着ないし、これが入り口近くにあるってなんか変だよなあ。
あと目に付いたもの……ってゴミ箱かな。中を見てみると無造作に入れられた
コンビニの袋には夕べの夜に食べたと思われる弁当の空と……これは写真用印
画紙の袋? つい最近使ったぽいよな、幸兄は別段写真とかの趣味はないし、
にしても一袋全部使うなんてそんなに大量に写真が必要になるってのは……
 目に付いたのは部屋の隅に置かれた黒い鞄。これは確か仕事用の奴だよな、
ごめん中身見るよ……と、ええと、これは卒業アルバム?ってこれ幸兄のじゃ
ない。それにこの分厚い封筒の中身は、ええと写真?

 封筒の中の写真を一枚手にとって見る……って、これ、まさか。


証言色々
--------

 仲本佐緒里。新婦である藤村美絵子、容疑者の本宮幸久とは高校時代からの
友人であり、新郎の北原一也とも大学時代の知人でもある。

「ええと、式の三日前の二十三日の夜なんですけど、幸久くんから突然電話が
あったんです。新郎のことについて教えて欲しいって、なんかその様子が尋常
じゃなくてなんだかすごく切羽詰ったような雰囲気で……ええ、はい。普段は
彼と電話で話す機会はまずないです……それで二十三日の夜に彼に新郎の事を
色々お話しました……はい、会社の名刺と学校の名簿と……個人情報を教える
事にはかなり抵抗があったんですけど、どうしてもと頼み込まれてしまって。
……はい、尋常じゃありませんでした。彼とは高校時代からの友人ですけど、
あんなに必死になってる彼を見たのは初めてでした……え、はい。私も彼女と
何かあったのかと思って、前日彼女に電話を入れてみたんです……はい、でも
彼女は何も知らない様子で……北原さんですか?……大学時代に何度か話した
ことがあります。真面目で優しそうで……でもちょっと悪く言うと押しが弱そ
うな雰囲気でしたね……女性関係ですか?……目立ったものはなかったと思い
ますが……え?ああ、確かにいいところのお坊ちゃんという雰囲気でしたから、
人気はありましたね……いえ、遊んでいるという風ではありませんでした……
仲の良かった子ですか……それなりにいたような気もしますけど、特にこれと
いった子はちょっと思い出せません」

 小池国生。容疑者の勤務先である小池葬儀社社長。

『彼の様子がおかしいと感じたのは一昨日の朝のことです。朝一番に社長室に
訪れて、突然頭を下げて私用ができたので今日から二十六日まで休暇が欲しい
と、普段とはまるで違う追い詰められたような顔で私に頼んできました。何か
あったのかと問いただしはしたのですが、彼は頑として私用ですからと全く訳
を話してはくれませんでした……ええ、余程の事情があったのかと思いまして。
……普段の勤怠はとても真面目で急な休みなどは一度もありませんでした……
ああ、そういえば彼の後輩にあたる笹本が彼がおかしくなった時の様子をよく
おぼえているそうです、かわりましょうか?』

 笹本衛。容疑者勤務先である小池葬儀社での後輩。

『えーユキさんですか?ええとですね、確か三日前ですけど仕事の帰りに一緒
に京都の喫茶店で飯食ってたんですけど。そんとき俺が窓の外にカップルを見
つけたんですよ……ええ、京都の通りのど真ん中で……で、そのカップルを見
た途端、ユキさん血相変えて外へ飛び出しちゃったんすよ……はい、知り合い
というか知ってる風でしたね……え?いや顔まではちょっと……でもラブラブ
でしたよ、女の人のほう泣いてましたし……えーと、女の人の方のですかあ、
ちょっと茶パツっぽいくらいしかおぼえてないっすねえ……うーん、それなり
に美人だったような印象も……いやちょっと思い出せないっす、お役に立てな
くてすんません……それからですか?何でも確かめたいことがあるからって、
俺置いてとんぼ返りで吹利に帰っちゃいましたね……いやもう、尋常でないっ
つーか、どしたんですか?って感じで。俺が何聞いても全然聞いちゃいねーっ
て様子でした……はい、んでそっから次の日から急に俺に仕事頼んで休暇とき
たもんですから……それが何も言ってくれないんすよ、水臭いですよねえ……
え?ええと、とりあえず社長に許可をいただいてから向かいます、はい』

 新郎の職場上司。

「北原くんですか……ええ、真面目でおとなしくて……派手に遊ぶという感じ
も全く……今回は本当に驚いています……ええ、はい、ここ二三ヶ月はずっと
帰宅は早かったです……はい、深夜まで残業することは一度もなかったはずな
のですが……気づいたことですか?……そうですね、関係ないかもしれません
が、ここ二日ほど会社の正面玄関に不審な人物がいるのを見かけたという話を
会社の女子社員が噂しているのを聞きました……え?はい、白いコートに眼鏡
の少しひょろっとした若い男だそうで……終業時間間際からしばらく正面玄関
を見て誰かを待っていたようなのですが……ええ、普通は来客はロビーの受付
を通してというはずなので、不審に思ったそうです……はい、いえお役にたて
ませんで」

 新郎の職場同僚。
 会場から仕事上の理由をつけて外へ出ようとしたところを捕捉。かすかに額
に汗をにじませ、どこか落ち着かない印象。

「……すいません、仕事が……私は式にだけ参加してすぐ戻るつもりだったの
で……いえ、あの、時間が………………ああ、いえ……違います、本当に何も
………………」

 会話の間、額にかすかに汗を浮かべており、しきりに何度も手を組みなおす、
周囲に視線を泳がせる等等。

「……あの……」
「お願いします、お話いただけませんか?」
「…………お話して、よいものか………」
「僕は、ただこの混乱を収束させたいだけなんです。新郎の一也さんのことを
お話願えませんか?」

「……確かあれは一月末の新年会の時でした……ええ、年明けはバタバタして
いて……そこで、ちょっと……あの、客先の方に連れられて……ちょっとそう
いうお店へ……いえいえ、そんな普通のクラブです……はい、そこで北原さん
はお店にいた方と顔見知りだったらしく……はい、タエコ……と青い顔をして
呼んだのを覚えています……それからですか?……いえ、でも……その日から
北原さんの帰りが早くなって……どんな子か……いえ、ちょっと覚えていなま
せん……ええ、ですが……お店の名前ですか、はい」


史久 〜ため息
--------------

 三日前。
 幸久の突然の不審な行動。
 京都で見かけたという謎のカップル。
 新郎の会社に現れたひょろっとした不審人物。

 三ヶ月前。
 新郎の帰宅時間の偽り。
 クラブで会ったというタエコという名の女性。

 なんというか、もう、なんだかなあ……
 とりあえず、なんとか証拠を押さえて両家のご家族に説明しつつ、なんとか
穏便に事を収めないと。
 それにしても、北原さん。
 この証言をもとにした推理が事実ならば、あなた最低のろくでなしですよ。

 と、胸ポケットの携帯が震えた。

「はい」
『もしもし史兄!』
「和久、何か見つかった」
『えっと、あの写真が!新郎の!』
「わかってる、とりあえず使える資料集めて一旦急いでこっち戻って」
『あ、はいっ』
「じゃあ、あとでね」

 はあ。
 まったく、もう。


引き続き証言色々
----------------

 仲本佐緒里。

「タエコ?……ああ、いました。山下妙子のことでしょうか?……ええ、北原
さんと私と同じゼミにいた子でした……ええ、はい、家庭の事情で二年の頃に
大学を辞めています……いえ、大学を辞めてからは音沙汰がなくて……北原さ
んとですか?…………ええ、よく話していたと思いますが、そういう関係だっ
たかどうかまでは……この写真?……ええ?!…………はい、ちょっと派手に
なっていますけど……はい、彼女に間違いありません、確か卒業アルバムの最
初の方のページのほうにも載っているはずですが……」

 笹本衛。

「あ、ども、こんにちは……いえいえ、俺もちょいユキさんの事心配してたん
で……え、この写真ですか?……あーあーそうですそうです、この二人です。
京都の大通りで回りも気にせず涙ながらに手を取り合ってましたよ、はい。
え?こっちの写真……ああ、髪の色ちょっと違うけど同じですねえ、はい」

 新郎の職場同僚。

「……ええ、はい、この女性です……あ、あの。私が、彼をあんな店に誘わな
ければ……こんな事態には……ですが……はい」

 京都のクラブ『コーデリア』ママ。

『山下妙子……ああ、ああ、カナエちゃんのこと?あの子ねえ、つい二週間前
にお店辞めたばかりよ。ちょっと地味なとこあったけど、結構色々気がついて
くれて人気あったんだけどねえ……ええ、家の事情で大学を中退してってのは
聞いてたけど……最近のお客さん?ああ、来てたわねえ、ちょっと気が弱そう
だけど小金のありそうなお兄さん……もうここ三ヶ月ほどほとんど連日でお店
に来てたわねえ……さあ、この手のお仕事は本来お客さんとの色恋は本来ご法
度ですから……いいええ、そんな……うふふ、電話越しだけど、あなた素敵な
お声ね……』


史久 〜ひそかに確認
--------------------

 つぎつぎと集まる証拠、だんだんとまとまっていく情報。
 そこから導き出された事実がどんなものだろうと、どれだけの人に不幸をも
たらすものだろうと、それはちゃんと受け入れなければならない。

 ていうかねえ。
 幸久、お前さあ。
 これだけ証拠集めといて、なんで花嫁連れて逃げる必要あったのかな。
 新郎が式場に来てないとわかった時点で集めた証拠を提示してれば、こんな
面倒な事態にならなかったと思うんだけど……

「……以上が、こちらで集めた情報です」

 親族用に用意してもらった部屋からさらに別のもう一部屋、小さな控え室を
用意してもらい、新郎の両親二人だけを案内した。折りたたみテーブルとパイ
プ椅子、新郎の両親がほとんど顔面蒼白状態で座ってる。

「この写真による証拠は、容疑者の捏造したものという疑いを含めたとしても、
無為の第三者の証言からも一也さんの矛盾した行動が明らかになっています。
そして、証言にでたクラブで一也さんと思しき人物がここ三ヶ月前からほぼ連
日足を運んでいたことも従業員数名に確認しました」
「…………はい」

 蚊の鳴くような声で応じたのは新郎の父親だけで、母親はそのまま声もなく
顔を覆ってしまった。

「北原一也さんのご両親二人に確認したいことがあります」
「……はい」

 震える声は、もう既に答えになっている。

「……山下妙子という女性に心当たりはありますか?」

 微妙な間。
 かすかに母親が声を震わせる声だけが聞こえる。

「あるんですね?」
「……はい」

 父親が深く息をつく。
 母親はそのままテーブルの上に突っ伏してしまった。

「お話、お聞かせ願えませんか?」
「……はい」

 はあ。
 もう、ため息しかでてこないよ。


和久 〜ふたたび家宅捜索
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 なんか対照的だなあ。
 やつれ顔の新郎の父親に案内された新郎の部屋は、隅から隅まで奇麗に整理
整頓されていて、さっきまでの幸兄の部屋とはえらい違いだ。広さで言えばそ
れほど差はないはずなのに、片付き具合のせいか広さが倍くらいに感じる。

「お邪魔、します」

 でも、こう、なんだろうなあ、違和感がある。
 部屋には家具意外すべて綺麗に片付けられて、ベッドもまるでどこかのホテ
ルみたいにシーツがキッチリ伸ばされて、でも、こう、なんというか。逆にそ
の奇麗さが逆に不安をかきたてるような。

 ……覚悟を決めた?
 入り口から部屋を見渡して、目に付いたのは部屋の隅に置かれた机。
 その上にぽつんと置かれた白い封筒。

 なんとなく予想してた展開だけど。
 そっと注意深く封筒を手にとって表面を確認する。両親と美絵子さんに宛て
に書かれて、署名は……北原一也、新郎本人。

「これは、一也さんの筆跡ですね?」

 憔悴しきった顔の新郎の父が小さく頷いた。


史久 〜調査発表
----------------

 白を基調にして飾られた会場は、清潔感とぱっと開けた印象を受ける。
 本当ならば、新郎新婦への祝いの言葉が飛び交い、友人らに祝福されるにぎ
やかな式が行われるはず、だったけれど。
 しんと静まり返った会場。
 あちこちに置かれた丸テーブルには列席者が所狭しと座っているが、本来披
露宴には出席しないはずの人もいるせいか、すべての人数が入るには少々窮屈
であぶれた何名かがテーブル脇に置かれた椅子に座って、一堂全員が不安げな
様子で僕の顔を見つめている。
 本来新郎新婦がつくはずの長テーブルに座って、マイクの調子を確認する。
 あーあーマイク通ってますね。

「みなさん、お騒がせしてすみません。現在の捜査状況をご説明します」

 テーブルの上に積み上げられた証拠品あれこれ。

「これは被疑者本宮幸久の自宅から見つかった証拠品です」

 被疑者ってお前もえらくなったもんだよ、幸久。


 淡々と続く僕の報告。
 裏づけを取った情報、幸久の撮った証拠写真、関係者達の証言。
 ひとつひとつ報告が続くにつれ、新婦側親族の空気がどんどん不穏になって
いくのがわかる。いやもうそれは無理もないんだけど、もう美絵子ちゃんのお
父さんキレる寸前だ。

 そして、北原一也当人の部屋から見つかった……手紙。
 内容は大筋僕の想像通りだった。

「北原一也さんの自室から発見された手紙を読み上げます」

 北原一也と山下妙子。
 大学時代、ひそかに交際をしていた二人。しかしそれも束の間、彼女は家庭
の都合により、大学を辞めて働くことになった。同時に親族の猛反対により、
半ば強引に別れさせられ、今の縁談をすすめられた、と。

「……そして、三ヶ月前」

 偶然、出会ってしまった二人。
 そして……

「……美絵子、父さん、母さん、親族の方々、本当に申し訳ありません。また
私の行動により迷惑をかけてしまった方々にはお詫びのしようもありません。
どうか捜さないでください。本当に申し訳ありません……」

 締めくくられる言葉。
 静まり返った会場。
 その空気を破るようにあちこちから怒号が響いた。

「貴様っ!貴様よくもっ!」
「なんてこと!なんてことなのっ!どうしてくれるの!」
「ちょっとどうなってるのよっ!」
「北原さん、これはっ!」

 当然ながら、美絵子ちゃんの親族さん方が声を荒げる。いやもう、お気持ち
は察します。

「みなさん、静粛にお願いします」

 マイク越しに有無を言わせず黙らせる。
 席を立って、ぴたりと動きの止まった会場をゆっくりと見回す。

「……この情報を踏まえ、これからの捜査として北原一也さんとこの件の女性
の逃走したと思われる行き先を追うと共に、大阪方面へ向かった本宮幸久の動
向を探り、彼が向かいそうな場所への目撃情報を集めます」

 あいつが行きそうな場所。もう複数目測はつけている。
 とりあえず、該当車両の車種とあいつの外見、美絵子ちゃんの様相は伝えて
あるので、あいつがアンテナにひっかかるのを待ちつつ、新郎の動向を探ると
いったとこか。

「現在の証拠状況から、被疑者である本宮幸久は式の三日前に旧知の友人であ
る藤村美絵子さんの婚約者北原一也の裏切りを目撃し、独自に調査を行った。
これは三日前からの彼の不審行動及び会社関係者からの目撃情報により明らか
になっています。そして今日、式に訪れない新郎を案じる美絵子さんを連れ逃
亡した」

 とん、と。軽くテーブルをたたく。

「この場合、もっとも心配とされるのは美絵子さんが事実のショックのあまり
自棄的な行動を起こすことだと思います。今回の本宮幸久の起こした逃亡劇は、
旧知である美絵子さんのことを想っての行動かと思われます」

 まあ、ものは言いようだね。

「……また、ここからは警察官としてでなく。僕個人の言葉になりますが」

 なんとか、ここは収めておかないと。

「警察官としての立場を抜きにして。一個人、本宮幸久の兄として、僕は自分
の弟を信じます」

 机を軽く叩く。
 フロア中の人が僕を見る。

「弟はかならず美絵子さんを無事に返すと信じています」

 そのまま、ゆっくりと軽く周囲をねめつける。

「みなさん、なにかご意見はありますか?」

 あたりは水を打ったように、静かになった。


時系列と舞台
------------
 2005年3月26日
解説
----
 結婚式当日。花嫁捜索中の史兄と和久。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= 
以上



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