[KATARIBE 28638] [HA06N] 小説『バイト先の日常』

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Date: Sat, 9 Apr 2005 00:27:59 +0900 (JST)
From: 夢の使者  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 28638] [HA06N] 小説『バイト先の日常』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2005年04月09日:00時27分59秒
Sub:[HA06N] 小説『バイト先の日常』:
From:夢の使者


バイト先での守人の生活。時々ふと思い出す事ってあるよね。
ちなみに書いた本人が言うのも何ですが、あまり面白みはなかったり^^;

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小説『バイト先の日常』
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登場キャラクター 
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赤菱守人(せきびし もりひと)
:軟派好き青年。今回の語り部?バイト先で軟派中。
赤菱カナ(せきびし かな)
:守人に取り憑いているサキュバス。守人の突っ込み役?あまり出番無し

バイトの時間
----------------
 ちゅんちゅんちゅんちゅん、スズメがさえずっている声が早朝に響く。
時間にして今は5時40分、大分日が早く昇るようになってきたから外は明るく
なり始めている。

「バイト〜…バイト〜…」
ちょっと布団の中で呻いてみる。ついでにごろごろ。
マジでかったるい…誰か変わってくれ〜。
俺にとって睡眠はかな〜り重い、それでこそ満足いくまで寝てたい感じだ。
でも上で『早く起きる!』ってわめいているカナには流石に敵わん感じ…。
どっちにしろバイト行かんとヤバイし。
「……後5分〜、そしたらまた起こしてくれ〜…」

…それから2分で布団引っぺがされちまった…

 俺が起きると例の如く「じゅーっ」という音と良い匂いが漂ってきた。
いつもと同じ風景、エプロンをした黒髪の少女『カナ』がベーコンエッグを
作ってくれていた。
「チンッ!」同じく食パンを焼ける。

 料理が出来ると実体化を解いて透明になったカナと一緒に他愛の無い話をしな
がら朝食。いつもの風景いつもの日常。
でも結構これって楽しくて不思議な感覚だ。
昔…中学生まではいじめられてばっかりだったのに、まるで口うるさい彼女が
出来たみたいだからだな。

さてっと…そしていつもの様にバイトにでも行きますか!

コンビニで…
------------------
 正直俺の職場はよく変わる、フリーターってのもそうだけど原因は実は別の所に
あったりして、もうよく自覚はしてんだけどなー…こればっかりは止められない。
でもここのコンビニは結構続いてたりするのが不思議なもんだ。

「お姉さん暇〜?バイト昼頃終わるんだけどさー、一緒に遊びに行かない?」
うーん、目の前のお姉さんのスリーサイズはB83W57H85くらいか?
結構いけてんじゃん〜、友達になってくれんかな〜。
「あの…こ、困ります」
う〜ん困った顔も良いねぇ…って何だよ!カナ!いいとこ何だから邪魔するなよー。
ナンパするなって?だってしょうがねぇじゃん?ナンパしてぇんだから。
いつもそんなこんなな風景、でも今日は何かいつもと違う…。

 お客のお姉さんが去った後、あまりコンビニに人が立ち寄って行かなかった。
そりゃそうだ。ちょっと裏路地っぽいこのコンビニより駅前のコンビニの方が、出勤
する人にはありがたい存在だからだ。

 客が居なくなって俺は手持ちぶさたになった。
何だか今日は気分があまり乗らない…、起きたのだって普通だったしいつも通りだった
のに何でだろうな…。

 何時の間にか定着してしまった日常…、殆ど変化の無いほんわかのんびりな日常。
別に気に入らない訳じゃないし、この生活だって気に入っている…でも。
そう…俺にはいつだって友達なんか出来た事など無かった。
今でこそカナが居る…もしかしたら俺の妄想の産物で、本当は居ないのかも知れん
けどそれでも一人じゃ無い…。

 始まりは…いつだっけかな。
でも気がつくといじめられてた。
いじめっていっても殴られたりとかじゃねぇし、そんな事されたら殴り返してる。
小学校だったけかな?圧倒的な無視にあった。
そんときはまだ赤ん坊だった弟の世話をしてたから気にしなかったけど何でだろう
いつも帰ると悲しかったな…。
でもずっと家では元気だった。弟もいたし、母さんも父さんも構ってくれた。
 中学高学年の時、初めて友達になった奴がパシられてて、怒った俺がそいつらの
事を先生に通告した。友達はその日から学校に来なくなった。
考えてみりゃ、そんときに俺が通告してなきゃ何事も無く、学校にも来れてたんだ
ろうなあいつ…。

それ以降のガッコでも目茶目茶目立ってた訳でもなく、根暗だ不良だとも言われず
居たけど、結局友達なんて出来なかった。
何がそうしていたのかは分からない…でも俺にとってナンパのきっかけになったのは
人と上手く関われない…そんなとこからかもしんねぇな…。

「何さぼってんだ!赤菱!客が待ってるだろうが!」
野太い怒声で現実に引き戻される。
目の前にいらだって待ってる中年のおっさん、どうやらちょっとぼーっとしすぎた
ようだ。
「あ、ワリィ…」
「あ、ワリィじゃねぇ!…すみませんねぇ、こいつがお待たせしてしまったようで」
店内の奥から店長の屈強な肉体が出てきて、客に謝ると「どけ!」っとばかりに俺を
押しのけレジ打ちをすませる。

 客が帰ると「お前なぁ…もう今日帰れや!」と店長は俺にどやしつけ、俺を追い
出す。
「ワリィ!って言ってんだろ〜!ちょっとぼーっとしてただけじゃんかよ!」
外から叫び返すと、しょうがない…店長は一度決めた事は変えない主義だって事知っ
てるから…とりあえず帰るしか無くなってしまった。

帰り道
---------
 帰り道は全く平和なもんだった。
出勤時間はもう終わっているし、主婦は家事とかでも一区切りしてテレビでも見てる
頃かも知れない。
どうして今日に限ってあんな事考えたのか分からない…。
ただ…もしかしたらちょっと寂しい…のかな。

 俺が帰り道をとぼとぼと歩いていると、いつの間にか横で実体化したカナが現れて
いた。
「よう、どうしたんだ?実体化なんてして」
俺が気楽に聞いてみる、身体に問題は無いんだ気持ちなんてすぐ吹っ切れる。
「んー?いや何となく…ね、ちょっと回り道していこうよ」
俺の顔をじっと見ながらニコッと笑う、こういう時は本当に可愛いんだよなこいつ…。
「…ま、そうだな、店長に追い出されてやる事もないし」

 そして来た道を戻って回り道、それでも30分にも満たない家への回り道。
でも…そんな短い時間でも何となくカナの気遣いは嬉しいよな…。
そう、明日も元気に行こう。それにたまには実家にも顔出したりなんかしたりして…な。

時系列 
------ 
 2005年未明
解説 
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 ナンパ青年守人のちょっとした寂しい回想と日常の一部、そしてほのかな幸せ。
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今回もこれで終わりです〜。


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