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Date: Tue, 8 Mar 2005 20:39:46 +0900 (JST)
From: 久志 <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 28522] [HA06N] 小説『帰宅後の暗躍』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200503081139.UAA95391@www.mahoroba.ne.jp>
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2005年03月08日:20時39分46秒
Sub:[HA06N]小説『帰宅後の暗躍』:
From:久志
ちは久志です。
へろっと思いついた相羽先輩の風景です。
ツンデレ書けよ、おまいは……
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小説『帰宅後の暗躍』
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登場キャラクター
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相羽尚吾（あいば・しょうご）
：吹利県警巡査。ヘンな先輩。またの名をおネエちゃんマスター
帰宅後に
--------
すっかり日も暮れた道を歩く。
時折、時間を見る振りや携帯を確認する振りをしながら、背後の様子や周囲
をそれとなくうかがう。まあ、別段つけられるアテがあるわけでもないけど。
この稼業、特に今のやり方を続けるようになってからは、ほとんど習慣になっ
てる。
ま、いつどこでどんな状況に陥るかわかんないしね。
しっかし、これじゃどっちが取り締まられるほうなんだかねえ、まったく。
二三回りを警戒して家の前に着く。
一回、背後を確認。
一回、通路を確認。
一回、ドアを確認。
鍵を開けてドアノブに手を掛け一回回してから動きを止める。きっかり三秒
待って、ドアを開けて玄関で立ち止まり、様子をうかがいながらゆっくりとド
アを閉める。
部屋の中に人の気配がないのを確認してから鍵をかけ、やっと一息つく。
コートを脱いで、部屋の片隅に置いてある水槽を指先でつつく。
縦長の小さな水槽の中、ひらひらと長い尾ひれを揺らした鮮やかな青色の魚
が泳いでいる。
よう、ただいま。
つつく指先などまるで見向きもせず、ふわふわと水の中を泳いでいる。
水槽のそばに置いてある餌のポリエチレンのボトルを開け、添えつけの小匙
でひとさしすくってまいてやる。
ぽつぽつと餌をつまむ魚をちょっとだけ眺めながら、ネクタイを緩める。
不意にポケットの携帯が震えた。
一コール目。
指先で水槽を軽く叩く。
ひらひらと鮮やかな青いひれを震わせながら餌をつまんでいる。
二コール目。
受信番号を確認する。
軽く頭を振って、対話用に頭の中身を切り替える。
三コール目。
着信の振動が終わる直前に通話ボタンを押す。
「はい」
『……山根さん？』
「ああ、君か。どしたの？」
きた。
『……声、聞きたかったの』
「そりゃ嬉しいな。でも今週はごめんね、出張でお店いけなくてさ」
『……ねえ、会える？』
「ごめん、しばらくスケジュールきついんだよ。出張の報告やら客先の打ち合
わせやらで予定詰まっててさ、週末はどお？」
『うん……あのね、相談したいことがあるの』
「相談？ああ、いいよ。俺でよければいつでも」
『……ねえ、怖いの』
「どしたの？またやな客でもいた？」
『そうじゃないの……早く会いたい、怖いの』
「……どうやら尋常じゃないね、わかった。明日さ、何とか都合つけて時間作
るから、ちょっとだけでも会おうか」
『本当？』
「ああ、あんまし時間とれないけどなんとかするよ。明日都合ついたら電話入
れるから、待ってて」
『……うん、絶対ね、絶対電話して』
「ああ、わかった」
『ありがとう……』
「そんなこと気にしなくていいんだよ、ね？俺も久しぶりに会いたいし、
じゃあ、またね」
通話を切る。
すぐさま、胸ポケットから別携帯を出してコールする。
「相羽です」
『どうだ？』
「食いついたよ」
『例の女か』
「ああ、かなり焦ってるね。あの様子だと」
『こちらの動向に気づいたか？』
「かもしれん。けどそっちは陽動だからね、せいぜい気向かせとこう」
『わかった』
「明日顔あわせてちょっと探ってみます、中村さんのほうはどうです？」
『だいぶ固まってきた、なかなか大物もひっぱれそうだな』
「こっち、もちょっと泳がせて色々情報集めときますよ」
『ああ、わかった。こちらも引き続き罠はっておく』
「了解」
『じゃあな』
「では」
通話を切る。
やれやれ、まあた忙しくなりそだね。
指先で水槽を軽く叩く。
正面から見ると少しとぼけた顔の魚がふわりと泳ぐ、鮮やかな青い尾ひれが
さわさわと踊る。
悪いね、週末ちょっと帰れんわ。
お前さんの世話、史の奴に頼まないとなあ。
時系列
------
2005年２月
解説
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仕事から帰って、一息つく間もなくまた暗躍する相羽。
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以上。
気休まる暇もない生活送ってますね、先輩。
ちなみに先輩が飼ってる魚は「ベタ」と呼ばれる闘魚です。青やは赤の鮮やかな
色合いにひらひらした長い尾びれを持つ気性の荒いお魚さんです。
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