[KATARIBE 28452] [HA06N] 小説『おネエちゃん達の仮守護神』

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Date: Fri, 18 Feb 2005 21:36:02 +0900 (JST)
From: いー・あーる  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 28452] [HA06N] 小説『おネエちゃん達の仮守護神』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2005年02月18日:21時36分02秒
Sub:[HA06N]小説『おネエちゃん達の仮守護神』:
From:いー・あーる


ども、いー・あーる@花粉症 です。
キャラチャットで話を作ると、ついその先を書きたくなります。
……壊滅的です(凹)。

久志さん、史兄さんと、間接的に相羽さんお借りしてます。
口調、等、問題があれば宜しくです。
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小説『おネエちゃん達の仮守護神』
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登場人物
--------
   本宮史久(もとみや・ふみひさ):
      一見のほほんな刑事さん。酒豪。
   軽部真帆(かるべ・まほ):
      一般小市民代表(自称)。毒舌家で酒豪。

本文
----

 バリー・ヒューガードの三部作の一冊、『霊玉伝』。
 いわゆるシノズワリ、と言うんだろう。架空中国を背景に、書き手の若い男
とその老師が、謎を解いてゆく話、なんだけど。
 ……ええとファンタジーです。白髪三千丈的です。相当ぶっとんでます。


「……それが?」
「その中で、妓官長ってのが言う台詞がありまして」
 妓官。要するに女性スパイですな。

「それが曰く――
『あたくしどもの守護女神は粘り強く、抜け目無く、目はしがきいて、血も涙
もなく、みみず並みの道徳観念しか持たずにすんでいる、そうした者でなくて
はつとまりません』
 ……なんだそうで」
「はあ」
「そして、その女性が老師に言うんです。
『あなたが男に生まれまちがって本当に残念ですこと』と」
「……はあ」

 どうもよくわからない、という風に、本宮さんは首をかしげる。

「てか……似てませんか」

 言った途端、本宮さんの顔が微妙に変化した。

「それって」
「はい」

 先日、呑み屋で『先輩なんです』と紹介された人は、それはそれは気持ちい
いほどはっきりと刑事の心得を語ってくれたものだけど。

「……って、先輩もしかして」
「おネエちゃん情報なるものが存在する、とは教わりまして」

 無言で、本宮さんが額を押さえる。

「いや、あたしも慣れてますから」

 何でか知らないが、そういう……おい普通女に言うか、的な話を、結構平気
で振られることが多い。

「ただ、話聞きながら、ふとそのくだりを思い出しましてね」

 腹黒いかもしれないし、『みみず並みの道徳観念(って、改めて考えると酷
い表現だなこれは)』かもしれないが。
 相手の道徳観念を破壊するわけじゃなし。
 無論悪の道に引きずり込むわけでも無し(刑事さんが引きずり込んじゃ大変
である)。

「あの先輩も、そのうちおネエちゃん達の守護神になるかもな、とか連想して
しまいましたよ」
「それ、先輩に言ったら喜ぶかもしれませんね」
「……ますますそしたら、似てますな」
「え?」
「老師が返して曰く、
『これほどのおほめにあずかったことは、いまだかつてございません』……で
したから」
「その、老師が」
「……似てませんか?」

 猪口を持ったまま、本宮さんが笑い出した。

「その本、面白いですか?」
「私には、かなり」
「先輩に教えたら、面白がりますかね」
 む。
「……それは、ちょっと微妙かなあ」
「あれ、老師ってあまり良い書き方をされてないんですか?」
「いや、そっちは良いんですけどね、『霊玉伝』については……お気に召さな
いんじゃないかなあ」
「というと?」
「作中、一番の美人が、男好きの男性なんです」

 かふ、と、むせる音がした。

「……そういう落ちですか」
「そういう、落ちなんです」

 くすくすと、本宮さんは笑っている。
 いつの間にか徳利が空になる。

 莫迦な話を、莫迦なこととして話す。
 飛沫のように儚い、けれどもいつの間にか溜まる、そんな話を。

 昔、話していたように。
 昔…………


「あ、すいません」

 丁度横を通ったお姉さんを呼び止めて。
 
「山桜桃、ひとつお願いします」

時系列
------
2005年2月

解説
----
呑み屋の一風景。
本宮史久の先輩の刑事である、相羽さんが俎上に乗っています。
『霊玉伝』、面白いです。
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……確かキャラチャットでは『おネエちゃん』のことまでは出てないと思いましたが、
大丈夫です。真帆相手だとそのうち出ます(保証<してどうする自分)。
ではでは。


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