[KATARIBE 28386] [HA06P] エピソード『雪が降る、あなたは』

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Date: Wed, 2 Feb 2005 15:24:47 +0900 (JST)
From: ごんべ  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 28386] [HA06P] エピソード『雪が降る、あなたは』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200502020624.PAA06087@www.mahoroba.ne.jp>
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2005年02月02日:15時24分47秒
Sub:[HA06P] エピソード『雪が降る、あなたは』:
From:ごんべ


 ごんべです。


 ……雪ー。

 …………吹雪ー。

 ………………(吹雪に吹かれて声も出ない)


 というわけで、吹利にも大雪吹雪大寒波が到来したであろう今日のこの日の
エピソードを。

 ハリさん、忌野っちをお借りしたので、チェックよろしくです。


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エピソード『雪が降る、あなたは』
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登場人物
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霞原 陽 (かすみはら・よう)
   :中学生くらいのやんちゃ坊主の外見をしたアンドロイド。学天則4号。
   :身元不明だが榎家に居候中。要領は悪いはずだが、わりと適応力高し。
霞原 珊瑚 (かすみはら・さんご)
   :中学生くらいの怜悧な美少女の外見をしたアンドロイド。学天則3号。
   :身元不明だが榎家に居候中。頭は良いはずだが、考えすぎること多し。
忌野 朱里 (いみの・あかり)
   :焔術を操る力を持ちつつ、サバイバル能力満点の、謎のお兄さん。
   :もとい、紅雀院大学学生。


時系列など
----------
 2005年2月2日朝
 (早朝〜通勤通学時間帯くらい?)


雪野原
------

 ほわほわとした雪が、空から舞い降りる。

 ……などと暢気に構えられるほど、吹利のこの朝はのんびりしたものではな
かった。

 ひときわ冷え込んだこの朝は未明から視界が白くなるほどの大雪となり、朝
方には辺り一面がすっぽりと10cm以上の雪の掛け布団に覆われてしまった。
 真っ当な社会生活を送っている者ならその布団をはねのけて会社へ学校へと
向かわなければならないのだが、今朝の雪は一筋縄ではいかなかった。何しろ
零下から気温が上がらないため雪がなかなか溶けず、道路のあちこちでスピン
した車が通行を遮り、交通機関はどれもこれもおっかなびっくり及び腰で何と
か運行している始末だった。


 そんな市内の喧噪を余所に、ここは吹利市内を外れたたんぼ道。
 いまだに吹きつける大雪の中を。

 SE      :…………だだだだだだ

 何かが走っている。

 陽      :(だだだだだだだ)

 おまえはこんなところで何をしているんだ、と突っ込みたくなるような年格
好かつ薄着の服装をした少年が、無心に真新しく敷き詰められていく雪野原の
中を疾走していた。

 珊瑚     :『何をしてるの、陽』

 実はアンドロイドである彼の電脳に、姉妹型の珊瑚からの通信が入る。
 最近は情報リンクを控えていた珊瑚だが、詰問するような調子からして、
よほど見かねたに違いない。

 陽      :『雪中行動の訓練をしているのさ』
 珊瑚     :『なんですって? 雪がそんなに珍しいものでもないで
        :しょう?』
 陽      :『12月末に降ったときには、愛子の手伝いで出られなかっ
        :たからな』
 珊瑚     :『理由になってないわ。それに確か今あなたは、ろくな
        :上着も着ないで飛び出しているはずだけれど』
 陽      :『実戦に即した装備で動かないとシミュレートにならない
        :だろう』
 珊瑚     :『雪中実戦を想定するなら、走っているだけでは適切な
        :訓練とは言えないわね』
 陽      :『様々な足場を選べば、十分なサンプルになるさ』
 珊瑚     :『それならそれで、もっと目立たないように走りなさい!』
 陽      :『市内の地形や視界が、どういう風に変化するのかは確か
        :めておきたいからな』

 ……陽、それは人間で言えば、「はしゃいでいる」と言うのだ。

 これも人間で言えば呆れかえって通信を切ってしまった珊瑚を余所に、陽は
市内南部の人目の少ない場所を横切って、霞川の河原まで出ていた。
 降り注ぐ雪の中に人影はなく、白い景色が川に沿ってずっと遠くまで続いて
いる。

 ……と。

 忌野     :「……」(釣り糸を投げている)

 その中に寡黙に佇立する、ひとりの人物。

 陽      :「…………いみの?」
 忌野     :「……ああ」

 顔だけ向けて一瞥する忌野。

 忌野     :「……久しぶりだな。しばらく姿を見せなかった」
 陽      :「そうか?」

 ざざ、と河原へ下りていく陽。
 雪は柔らかく湿ってもおらず、きゅ、とかすかに鳴って足音を消す。

 陽      :「こんな日にまで釣りなんだな」
 忌野     :「こういう日は魚は流れの少ない水底にじっとしている
        :からな……かかりは鈍いが、ポイントがしぼれるから手間
        :が省ける」
 陽      :「……へえ」

 言葉のわりに、全然天候を気にした風でもなく立ち続ける二人。
 忌野はなぜか雪が付くこともなく存外の薄着で、一方の陽は頭や首や肩に雪
が積もろうにもお構いなしである。


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 一旦切ります。

 最後の忌野っちに言わせたうんちくはウソチクなので、間違ってたら適当な
のに替えますので、指摘をください(w


 続きはまた今度。乱入歓迎。
 では。

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ごんべ
gombe@gombe.org



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