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Date: Mon, 31 Jan 2005 03:16:47 +0900
From: "月影れあな" <tk-leana@jttk.zaq.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 28357] [HA06N]小説『幸久を巡る恋愛模様』
To: <kataribe-ml@trpg.net>
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Web: http://kataribe.com/HA/06/N/
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おいっす、れあなです。
ゆっきーと美絵子ちんと芽衣ちゃんの学生時代のお話をば少々。
http://kataribe.com/HA/06/G/200501/0044/
これに付随するものとして切り出したので、単独で見ると断片的。
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小説『幸久を巡る恋愛模様』
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登場人物
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藤村美絵子(ふじむら・みえこ)
：芽衣の親友。幸久に告白し、恋人になる。
蓮池芽衣（はすいけ・めい）
：美絵子の親友。幸久のことが好き。
本宮幸久（もとみや・ゆきひさ）
：当事者なのにこの人だけ蚊帳の外。
本文
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「あたしさ。幸久と、つきあうことにしたんだ」
前置きも無く、ただ唐突に放たれた美絵子の言葉に、あたしは一瞬何を言わ
れたのか理解できなかった。
「……え？」
梅雨の終わり、夏の初め。
夕暮れ時の屋上は鮮やかなオレンジに染まっていた。
美絵子はそれっきり何も言わず、あたしの言葉を待っている。
喉の奥がカラカラに乾いているのが分かった。染み入るように、言葉が胸の
仲にしみこんでいく。
『つきあうことにした』
『だれが』
『ユキと』
『どうして』
『美絵子が』
――理由は考えるまでもない。
お互いに好きになったから、つきあうことにした。ひどく簡単なことだ。
「お」
ユキも、美絵子も、芽衣にとって大切な友人である。
美絵子の気持ちはずっと前から知っていた。幸久は鈍感だから気付いてはい
なかったかも知れないが、芽衣が美絵子から幸久を紹介された時には既に、美
絵子は幸久のことを意識していた。その思いが伝えられたのなら喜ばしいこと
だろう。
ユキのことも、高校に入って二年間ずっと見ていた。変な子に惚れては、い
いように扱われて、弄ばれ、捨てられ、バカみたいに失恋を繰り返していた。
「いい加減にしろ」と怒鳴りつけたくなるくらいだった。美絵子が相手なら安
心だろう。
二人が付き合うのは、予想できないことではない。むしろ、これ以上にない
お似合いのカップルとさえ思える。
ただ、二人に向かって「おめでとう」と、一言言えばいい。簡単なことだ、
あたしは、そう言って自然に笑えるはずだ。笑えばいい。
「お……」
けれど、そこで言葉が詰まる。
どうしてか。
一言、たった一言を言うのが、何故かとても苦しかった。
美絵子はそんなあたしを、ひどく真剣な目で見つめている。言わなければな
らない。義務感に突き動かされて、私は微笑む。
言わなければ、何か大切なものが壊れてしまう。
「おめでとう」
そんな気がしていた。
場所と時系列
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1995年初夏の夕暮れ。吹利学院高校舎屋上にて。
解説
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学生時代の美絵子と芽衣。
http://kataribe.com/HA/06/G/200501/0044/
に、付随する、本宮幸久を巡っての一シーン。
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