[KATARIBE 28311] [HA06N] 小説『玄関前の攻防』

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Date: Mon, 24 Jan 2005 18:24:24 +0900 (JST)
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 28311] [HA06N] 小説『玄関前の攻防』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2005年01月24日:18時24分23秒
Sub:[HA06N]小説『玄関前の攻防』:
From:久志


 ちは、久志です。

なかなか作者を困らせるツンデレストーリー
とりあえずちょっと続きます。

ちなみにツンデレをぐぐってみたところ。

ツンデレ【つんでれ】
  普段はツンツンしているが、二人っきりの時は急にしおらしくなって
  デレデレといちゃつく。

だそうです>アキトさん

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
小説『玄関前の攻防』
====================

登場キャラクター 
---------------- 
 卜部奈々(うらべ・なな) 
     :吹利県警警部の一見キツイ女性。
 本宮史久(もとみや・ふみひさ) 
     :吹利県警警察官。のほほんお兄さん。

奈々さんの悪い想像
------------------

 完全硬直してしまった奈々。
 その頭脳はかなりあやまった方向に想像をめぐらせていた。

 以下、卜部奈々イメージ。

『よぉよぉ、警部の姉ちゃんよお。こないだはさんざん迷惑かけてくれちゃっ
たじゃねーかよ、ああ?いつもいつもお小言うるさい姉ちゃんの醜態をしった
ら喜ぶ奴は多いよなあ、えぇ?別に、黙っててやってもいいんだけどよお。
なあ、タダじゃあねえよなぁ?』

『警部さんよお、俺ちょーっと財布ピンチなんだよねえ、ちょろっと貸してく
んねーかなあ、ダメなんて言わねえよなあ?こないだの話、お偉いさんに聞か
せてやってもいいんだぜ?』

『今までさんざん人のこと注意しといてよお、自分があんなブザマな酔い方し
てちゃあ形無しだよなあ、どう始末つけてくれんだよ、ああ?』
(イメージモデル:本宮幸久)

 全身から、血の気が引いていくのを肌で感じていく。

「あ……」

 ぺたん、と、その場に崩れ落ちる。
 今まで自分が必死に積み上げてきたものがガラガラと崩れ落ちる音が聞こえ
てくる。

「警部、どうしました?」

 その声はとても遠いところから聞こえていた。

起きぬけ
--------

 ドアがぶつかった後ろ頭がちょっぴり痛い。なんかまだ眠いなあ、寒いし。
 あーいやいやそうじゃなくて。

「警部、どうしました?」

 なんか固まっちゃいましたよ?大丈夫ですか?

「警部、大丈夫ですか?」
「何が……望みですか」

 は?

「……望みはなんですか」
「望み?」

 なにがなにやら。

「あなたの望みですっ」
「あの、何のお話ですか?」
「しらばっくれないでください、私を脅す気なんでしょうっ!あなたの望みを
言いなさいっ」
「へ?」
「あれだけ迷惑をかけて、このままで済むとは思っていません!」
「な、なんでそうなるんですか!?」

 脅すって、そんな物騒だなあ。酔って迷惑かけたっていっても、もともとは
うっかり飲ませすぎてしまった僕に責任あるし、あれくらい弟どもに比べれば
まだかわいいもんですよ。

「いや、でも昨夜はうっかり飲ませすぎてしまったのは僕にも責任があるし」
「でも、でも、私が!」

 うわあ、そんなに涙目になられても。ああ。ホント平気ですってば。

「えーと、警部まず落ち着いてください。僕の話を聞いてくださいってば」
「……覚悟します、要求を言ってください」

 だから、その……困ったなあ。
 妙に気負いすぎですよ、警部。

「えっと、だから、昨日は僕が悪かったんですって」
「でもっ」

 玄関前で押し問答していると、隣の家のドアからごみ袋を両手にもったおば
さんが出てきた。

「あら」
「……そ、園田さん」
「あ、おはようございます」

 園田さんと呼ばれたおばさんは僕と警部をかわるがわる見て、なぜか納得し
たような顔をした。

「卜部さん、もうそれくらいで許してあげなさいよ。男ってのはねえ、昔っ
からしょーもない生き物なんだから」

 しょーもないって(汗)
 まあたしかにしょーもないっちゃしょーもない生き物なんですけど、いきな
りヒドイなあ、ていうかなんか妙な誤解されてるような。

 あれ、なんだか警部の顔が真っ青になっていく。
 あーひょっとして二日酔い辛いのかな?

「警部しっかり!大丈夫ですか?」

奈々さん垂直落下
----------------

 一方、奈々さん。

 お隣さんに見られた。
 しかも、あのマンションいちの噂好きの園田さんに。しかもあらぬ誤解をさ
れて。明日になったらマンション中にどんな噂が飛び交っていることか……

 もう立てない。もう、いやだ。
 消えたい。

 思い出したように二日酔いの頭がずきずき痛みだす。追い討ちをかけるよう
にギリギリと胃が悲鳴をあげる。

「警部しっかり!大丈夫ですか?」

 落ちていく。
 まっさかさまに。

再びお邪魔
----------

 ああ、やっぱり二日酔い辛かったんですね。
 あの後玄関前で崩れ落ちてしまった警部を抱えて、再びお邪魔することに。

「重ね重ね、本当にお邪魔します」
「うう……」

 あー辛そうだ、吐かせたほうがいいかなあ。

「警部、立てますか?」
「だい……じょうぶ……ですから、もうっ……構わないで、くださいっ」

 全然見えませんって、ふらふらですよ。
 えーっと、塩、塩、あったあった。洗面所で塩水飲ませてちょっと吐かせて
うがいさせて様子見かな、落ち着いたら濃い目のお茶でも飲ませよう。

「けほっ」
「だいじょぶですか?」
「は……い……」

 まだ肩で息してるけど、よーやっと落ち着いた、かな?

「えーと、ですね。別に僕は昨日の事は迷惑かけられたとか思ってませんし、
他の人とかにもしゃべったりもしませんから」
「……はい」
「だから、ホント気にしないでください。脅す気なんてありません」

 うつむいたままだったけど、小さく頷くのが見えた。

「……本宮巡査」
「はい?」
「あの、先日は……助けてくれてありがとう」
「いえいえ」
「……あの、本宮巡査」
「はい?」
「昨日の……こと、ですけど」
「はい」

 昨日のこと、どれかな?色々あったからなあ。
 なんか、警部顔ふせちゃったままで聞き返せそうな雰囲気じゃないなあ。

 あ。

 あ、えーっと、ひょっとして一番最後のあれ……ですか?
 いや、えーと、あの時は警部、落ちてらしたんじゃあ、えーっと。
 けど、あれは僕も寝顔をのぞこうなんて失礼なことしたせいだし、えーと。

「……忘れてください、お願いします」
「え、あ、えーっと、はい。気にしてませんから、ええ」
「……はい」

 いや、逆に言われたほうが、その、かえって気になっちゃうんですけど。
 なんか、困ったなあ。

それから
--------

 飲み会から数日。
 あれから、警部はいつもの厳しく真面目な卜部女史の顔に戻ったけど。

「おはようございます、卜部警部」
「……おはようございます、本宮巡査」

 やっぱり署内で僕と顔を会わせる度に微妙に身構えられるってのも、なあ。
 なんか、ヘンなことになっちゃったなあ。


時系列と舞台 
------------ 
 2000年1月頃
解説 
---- 
 史久と奈々さんの出会いの頃。『奈々さんの最悪の朝』の続き。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
以上。

 さあ、これからどうすっかな。まあ、閃き待ち。



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