[KATARIBE 28306] [HA06N] 小説『入り婿の苦悩』

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Date: Sat, 22 Jan 2005 21:18:03 +0900 (JST)
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 28306] [HA06N] 小説『入り婿の苦悩』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2005年01月22日:21時18分02秒
Sub:[HA06N]小説『入り婿の苦悩』:
From:久志


 ちは、久志です。

データ抽出待ちの間、即ネタ即書き。
幸久と、幸久のおじさんな人が出ております。

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
小説『入り婿の苦悩』
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登場キャラクター 
---------------- 
 本宮幸久(もとみや・ゆきひさ) 
     :葬儀屋さんで、霊感が強い軟派にーちゃん。女運悪し。
 本宮のおじさん
     :窓香の父。幸久の叔母の夫。気弱な入り婿さん。
 本宮窓香(もとみや・まどか)
     :幸久の三つ下の従妹。サッカー好きのスポーツ娘。

打ち合わせ中
------------

 なんつうか、最近よくよく本宮本家と縁がある。
 まあ、社長と懇意であるというのもあるし、元々うちの会社の出資元のひと
つだったりするってのもあるんだけど。
 じいさまの法要が終わってまだそんな経ってもいないのに、今度は大叔父さ
んの三回忌ときたもんだ。けどまあ大叔父さんはじいさまの弟にあたり、本家
でもかなりの権力者で、じいさま亡き後は仕事上や親族上でもなかなかに交友
の広かった人だったんで、そうそう適当な法要ですますわけにゃ行かないんだ
ろうけど。

「それでは、手はずはこちらの紙にまとめましたので」
「はい」
「ご案内状については先日いただきました名簿と挨拶文の通りで大体一週間程
で仕上がります。戻りましたら早速、挨拶状の試し刷りをして、完成品のサン
プルをお送りしますので、一度目を通されまして文章の変更などがありました
らすぐさまご連絡ください」
「はい」

 仕事相手が見知ったおじさんつーのも、やりづらい話だよなあ。

「よろしいですか?」
「は、はい」

 おいおい大丈夫かよ、おじさん。目、白黒してんぞ。

「では、参加者の変更などございましたら再来週までにご連絡ください」
「はい」

 おーいおじさんしっかりしろって。さっきから「はい」しか言ってねえぞ。

「それではこれで以上です」
「はい」

 俺の説明も終わり。やっと介抱されたのか、ぷはあ、と、腹の底から溜め込
んでたもんを吐き出すように息をつく。

「おじさん……どしたん?」
「いや、こう、緊張しちゃって」

 緊張っつっても、もともと顔見知り相手にガチガチに緊張されてもな。まあ
やりづらい気持ちはわからなくもねえけど。

「なんか、本家の男ってやつは大変だよ」
「ああ」

 だろうなあ。親父の上の妹の夫って事で、じいさまも大叔父のいない今はお
じさんが実質の本家の男筆頭なわけなんだが、本家連中のじじばばにとっちゃ
入り婿のおじさんは外様扱いだろうし。じいさま大叔父はいなくとも、なにか
と口うるさい連中はしっかり生き残ってやがるからなあ。

「まあ、細かい用事や親戚連中のあしらいはこっちで何とかするから、そんな
気張り詰めないで、気ぬいといてくれよ」
「助かるよ、幸久くん」

 なんかこう、悪い人じゃねえんだけど、いまいち頼れない。
 もっとどっしり構えてりゃいいもんをなんだかんだ周りの声に振り回されて
ばっかりなんだよなあ。その点、回りの声もまったく気にせずしがらみだの何
だのすっぱり無視して速攻学生結婚決めて家を飛び出した親父とは両極端だ、
罪なことするよなあ、親父も。

「幸久くん、この後すぐ戻るのかね」
「え?ああ、はい。招待状の試し刷りあるんで」
「ちょっと話があるんだけど、時間をとれないかなあ」
「話?」

 まあ休憩時間ってことで話を聞くくらいなら。
 無料おかわりのコーヒーをもらい、必要書類関連を鞄にしまう。

「幸久くん、話とは他でもないんだ」
「どしたん、おじさん。改まって」
「君、窓香の婿にならないか?」

 飲みかけたコーヒーを吹いた。


 本宮窓香。おじさんの一人娘で俺から見ると三つ下の従妹にあたる。弟と同
い年だったせいもあり、なにかにつけ遊んだ記憶はある。従妹といってもさっ
ぱり女っ気のないというか、ガキの頃はほとんど男同然で扱ってたんだが。

 やっと咳も落ち着いて息をつく。

「……はぁ」
「大丈夫かい、幸久くん」

 誰のせいで涙出るまで咳き込んだとおもってんだよ。

「唐突でびっくりしたと思うんだが」

 当たり前だ。

「ああ、いや、そのね。最近、窓香に婿をという声が多くてねえ」

 まあ、あいつも和久と同じだから二十四歳だし。そういう声があってもおか
しくはないんだなあ。まあ親戚の贔屓目で見ても、黙ってれば可愛い部類に入
ると思うし、そんなに心配することか?
 つうか、そこで何で俺なんだよ。第一あの小娘、俺より兄貴や和久のほうに
懐いてるだろ、昔から。

「いや、史久くんはちょっと歳が上だし婚約もしてるし、同い年の和久くんは
もう恋人がいるという話だし」

 また消去法で俺かよ。しかもすげえせつない選ばれかたじゃねえか。

「幸久くんなら本家方の受けもいいし、年の頃も丁度いいし、要領もいいし、
ちょっと薄幸そうなところが婿っぽさあるし、窓香を任せても安心できると
思ったんだがなあ」

 それにしても唐突過ぎだろうが。それにあのサッカー馬鹿のスポ根娘、こな
いだ会ったが女らしさの欠片もねえじゃねえか、全然年にあってねえ。
 ていうか、なにげに最後の薄幸そうってなんだよ、すげえ失礼だぞ。

「とりあえず、この件は考えてもらうとして。こっから本題なんだけど」

 考えねえよ。って、聞いてねえなおじさん。

「ええと、だね。窓香にちょっと探りを入れてくれないかな」
「探り?」
「最近の事なんだけどね……」

 おじさんの話によると。窓香の奴、最近フットサルっつう室内サッカーのク
ラブに夢中で毎日帰りが遅いらしい。まあサッカー馬鹿娘らしいっちゃらしい
んだが。このごろは土日もほとんどクラブに出ていてろくに家におらず、おじ
さん思うにひょっとしてクラブは口実で実は男だったり?と言うわけだ。

「……いや、別にいるいないがどうこうじゃなくてね」
「まあ、わからなくもないけど」

 男がいればいたで心配、いなければいないでそれもまた心配。
 複雑なもんだよなあ、娘を持つ男親は。

「そんなわけでだよ、ちょろっとでいいからこのフットサルクラブを見てきて
もらえないかなあ。私だとさすがに無理があるし」
「なるほどねえ」

 ちょっとシワの寄ったパンフレットにはフットサルクラブの場所、練習日程
などが細かに書いてある、場所はそんなに遠くねえ。

「まあ、気向いたらのぞいてみる。そんな期待しないでくれよ」
「ありがとう、幸久くんっ」

 まあ、別に俺も従妹が可愛くないわけでもねえし。おじさんの心労もなんと
なくわかるし、暇見つけてのぞいてみるとすっかね。

「やっぱり婿として頼りがいがあるよね」

 だからそれは断るっつってんだろが。

時系列と舞台 
------------ 
 2005年1月。どっかの喫茶店にて。

解説 
---- 
 仕事の話の合間、おじさんの相談にのっちゃったりする幸久。
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ネタ尽きた。

というわけで続きます。
それよりツンデレのネタが湧きませんyp!
ネタ神様の光臨が待たれます。



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