[KATARIBE 28141] [HA06P] エピソード:『飛べない鳥と飛べる人』

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Date: Sun, 09 Jan 2005 20:45:31 +0900
From: Motofumi Okoshi <motoi@mue.biglobe.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 28141] [HA06P] エピソード:『飛べない鳥と飛べる人』
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MOTOIです。
知佳と桃花ちゃんの話。台詞チェック宜しくです。

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エピソード『飛べない鳥と飛べる人』
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登場人物
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 白神知佳(しらかみ・ちか)
  :天使の白い羽を持つ小学4年生。
 橋本桃花(はしもと・ももか)
  :ピンクのペンギンに変化する小学4年生。


森を探検しよう
--------------
 人気のない、とある森の中。木と木の間を縫って、飛び回るひとつの人影が
あった。白い羽の少女、白神知佳である。

 知佳     :「わーいっ、もう飛べるー」

 この森の中で飛行の練習を始めて1週間。すでに知佳は、羽の使い方をほぼ
マスターし、自在に飛行できるようになっていた。

 知佳     :(すたっと着地)「えへへっ」

 満足げに着地する知佳。飛行をマスターしたことで、かなり上機嫌だ。

 知佳     :「よーし、この森の探検にいってみよっと」

 この森は、彼女の親戚である新崎智也が、飛行の練習場所として探してくれ
た場所であった。飛行の練習であれば障害物の少ない場所が適しているだろう
が、そのような場所は人目につきやすくなる。
 そのため、森の中でも入り口に近い、木の比較的少ない場所を選んで練習を
重ねていたのである。だが、飛行に自信がついた知佳は、もっと奥まで飛んで
行きたい、森の中をいろいろ見てみたい、そう思った。

 知佳     :「れっつごーっ」(ばさばさ


池にて
------
 森の中は冬のためか静かであったが、日が差していて明るい雰囲気であった。

 知佳     :「〜♪」

 知佳も、上機嫌で、木の上端ぎりぎりを飛行しながら森の奥へと入っていく。
しばらく飛んでいると、森のほぼ真ん中と思われる場所に、やや大きめの池を
見つけた。

 知佳     :「あれ?」

 よーく見ると、池のほとりに、洋服がきれいにたたんで置いてある。そして、
池の中になにやら動く影。この寒い冬に、それもこんなに人のいないような場
所で泳ぐ人は、普通いない。

 知佳     :「まさか………たいへんだっ!」

 入水自殺。そんな嫌な光景が知佳の脳裏をかすめる。
 すぐさま水面付近まで急降下し、空中からその影を救い上げる。

 知佳     :「……えっ?」

 そこで知佳が見た、池の中の影の正体は……ピンク色のペンギンだった。

 知佳     :「……どーして、こんな山の中にペンギンさんが?」
 ペンギン   :「???」

 何が起こったのかわからないといった様子のペンギン。知佳もこんな場所に
ペンギンがいることに納得がいかない。双方の頭上に「?」マークが浮かんだ。


一緒に飛ぼう
------------
 ペンギン   :「ちかちゃんが……とんでる!?」
 知佳     :「えっ……? ペンギンさんがしゃべった!?」

 今度は双方の頭上に「!」マーク。びっくりする一人と一羽。

 知佳     :「……あ、そういえばっ」

 さっき見た、たたんであった服のことを忘れてた。それを思い出した知佳は、
ペンギンを抱えたまま、服のところに飛んで移動する。

 知佳     :「うーん……この服、どこかで見たような気がする……」
 ペンギン   :「それ、あたしの服だよ」
 知佳     :「えっ?」

 不意に、またペンギンがしゃべった。しかも、目の前の服はどう見ても人間、
それも女の子のものなのに、その服は自分のものであると主張している。

 ペンギン   :「わたし、わたし。桃花だよっ」
 知佳     :「え、え、え?」

 さらに、目の前のペンギンが、自分のクラスメートであると主張している。

 知佳     :「うそぉ?」
 ペンギン   :「ほんとだよっ」
 知佳     :「うそでしょぉ?」
 ペンギン   :「ほんとだってばっ」
 知佳     :「ほんとに?」
 ペンギン   :「だから、ほんとにほんとっ」

 などという問答の間に、いつのまにかペンギンが服を着込んでいる。
 そして、次の瞬間。目の前のペンギンが、姿を変えた。

 桃花     :「ね、ほんとでしょ?」
 知佳     :「ふえぇ、ほんとだー」

 驚く知佳だが、今度は自分が質問に答えなければならない番である。

 桃花     :「それより、知佳ちゃん、その羽……それに、今、空飛ん
        :でこなかった?」
 知佳     :「あ〜、じつはね……」

 知佳も、羽が生えて飛べるようになった経緯を桃花に話した。

 桃花     :「え〜っ、じゃあ知佳ちゃんとべるのっ!?」
 知佳     :「うんっ」
 桃花     :「わたしとべないのに〜(わーっ)」
 知佳     :「……え?」

 桃花の話によると、飛ぶ練習をしようと、助走をつけて池にダイビングして
いたらしい。
 地面におなかを打つのがいやで、池方向にダイブしてたらしい。

 桃花     :「練習してもまだとべないのに〜っ」(ばたばた)
 知佳     :「あう、はう……」(あせあせ)

 桃花は駄々をこねて興奮したのか、再びペンギンに変身してしまう。一方の
知佳はその様子に気おされたのか、「ペンギンは飛べない」と突っ込むことも
できず、呆然とする。

 知佳     :「じゃ、じゃあ、ほら、せなかにのって」
 ペンギン桃花 :「ぐすぐすっ」

 泣きながら知佳の背中にしがみつく桃花。知佳は、それを確認すると、桃花
を背に乗せた状態で空を飛ぶ。

 ペンギン桃花 :「うわ、すごーい」
 知佳     :「すごいでしょっ」
 ペンギン桃花 :「ううっ、いつか絶対自分でとんでみせるっ」

 実現可能かどうかは置いといて、決意を新たにする桃花であった。

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