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Date: Sun, 28 Nov 2004 13:14:29 +0900
From: "月影れあな" <tk-leana@jttk.zaq.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 27905] [HA06P]エピソード『眼球少女の憂鬱』
To: <kataribe-ml@trpg.net>
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なんとなく勢いで書いてみる。
あっさりと流すべき細川姫美の話に懲りすぎてしまった感じがあるなあ。精進。
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エピソード『眼球少女の憂鬱』
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side 細川姫美
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メミ :「なに、からだが……熱いッ」
デメキング :「無様だな、眼球少女よ。所詮凡俗な人間種の身体に、ミ
:エルジウムの輝きは強すぎたか」
ビーボ :「ミエルジウムの力が暴走しているッ!? まずい、メミ変
:身を解くんだ! そのままだとデメキングを倒すどころか、
:メミの身体が危ない!」
メミ :「ビボ……ちゃん?」
ビーボ :「早く変身を……!」
メミ :「……とかない、よ」
ビーボ :「どうしてだッ!?」
メミ :「ビボちゃん、初めて変身した時とき、いったよね……?
:あたしの、こころは嘘なのか、って。みんなを助けたい、
:そのこころもニセモノなのか……って」
ビーボ :「メミ……」
メミ :「あたし、覚えてるよ……ビボちゃん。あのときも……い
:まも、あたしがみんなを助けたい、その心だけは、ぜった
:いに嘘じゃない。ニセモノなんかじゃ、無い。だから……」
ビーボ :「だから、死ぬのかメミッ!? おまえはそんな状態で、勝
:てそうにもないっていうのに、戦って死ぬのかよッ!!」
メミ :「死なないよ」
ビーボ :「ッ!?」
メミ :「あたしは、死なない。たたかって、デメキングを倒して……
:みんなを、守る。これからも、ずっと……」
決意に声を振り絞るも、メミは全身の瞳から溢れる光に苦しみ、立つ事すら
できない。それまで無表情に傍観していたデメキングがつまらなそうに息を吐
いた。
デメキング :「話は終わったか、眼球少女。燃えているところ悪いが、
:おまえにこの先はない。潔く散るがよい」
ビーボ :「させるかァッ」(カッ)
ビーボの眼球から熱光線が飛び、しかしそれはデメキングの身体を少し揺ら
すだけで掻き消える。
それでも諦めずに二本、三本と熱線を放つビーボを一瞥してデメキングはや
れやれと首を振った。
デメキング :「小癪な。バッグベアード風情が、我を傷つけられるとで
:も思ったか」(キッ)
デメキングの掌にある目玉から光線が走る。ビーボの足元が爆発を起こし、
吹き飛んだ。
ビーボ :「ち、くしょ……やらせるかよ」
弱々しい最後の熱線は、デメキングを大きく外れて後ろへ飛んでいった。
デメキング :「外れだ、どこを狙っている」
ビーボ :「いいや、大当たりだぜ」
負け惜しみには聞こえないビーボの言葉に眉をしかめて、直後何かに思い至
りデメキングは慌てて熱線の先を振り返る。
デメキング :「貴様、まさかッ!?」
ビーボ :「起きろ、バロールてめえの主人がピンチだぜ」
デメキング :「正気か。この角度では貴様も助からんぞ!」
ビーボ :「覚悟の上さ。ずっと前からな」
デメキング :「くッ……!?」
衝撃にそなえるように、腕をかざすデメキング。ビーボもゆっくりと、瞳を
閉じる。一秒、二秒、しかし、いつまで待ってもバロールの死をもたらす瞳が
開かれる事はない。
デメキング :「ハッ、フハハ。驚かせよって」
ビーボ :「な、どうして……目を開けろ。バロールッ!」
デメキング :「どうやら、天は我を味方しているようだな」
不敵に笑って、ビーボの方に手の目をかざす。ビーボの下の方から徐々に、
音を立てて石に変化していく。
デメキング :「貴様はそこで大人しく、相棒の死を見届けろ」
ビーボ :「く、そ……メミ……」
デメキング :「さらばだ、眼球少女ミスティ・メミ。恨むならばミエル
:ジウムを受けた己の不運を恨むがよい」
デメキングの瞳から熱線が迸る。一瞬にしてメミの周囲の地面が蒸発し、辺
りに土煙が舞い上がる。
勝利を確信し踵を返しかけたところで、デメキングはしかしピタリと制止し
た。
デメキング :「何故だ、眼球少女。ミエルジウムの光に飲まれ、眼球少
:女の力を使えず、頼るべき味方も倒れている。それなのに
:何故、貴様は……」
土煙の中でゆらりと人影が立ち上がる。だんだんと晴れていくにつれ、その
輪郭は少しづつあらわになる。
デメキング :「貴様は何故死なんのだ、眼球少女ッ!」
振り返りざまに再び熱線。しかし、圧倒的な威力を持つはずのそれはあっさ
りと、メミの手前で掻き消えた。
デメキング :「有り得ん。何故だ……」
メミ :「さてね、とりあえずまあ、あたしが言えることは一つ」
顔を上げたメミの、第三の瞳が、全身に浮き上がった瞳が、次いで背中から
突如として映えた羽の眼状紋がパッチリと大きく見開かれ、デメキングをじろ
りと睨みつける。
メミ :「てめえが死ぬってことだけだデメキングッ!」
爆発のような光の奔流がメミを取りまく。
メミ :「届けェ、あたしの視線! 開け、天空の瞳ッ!!」
デメキング :「この光、まさか。まさかァッ!!」
メミ :「ミスティ◎お天道様がみてる(ソーラーアイ)!!」
デメキング :「暴走したミエルジウムの力を、すべて制御しているとい
:うのか。人間が、たかが人間風情がどうして……」
ビーボ :「たかが人間だからさ」
ビーボの声が聞こえてくる。
ビーボ :「たかが人間だから、友達を想い、人を慈しむことが出来
:る。その心の力がミエルジウムの力をも制したんだ。お前
:たちには出来ねえことだよな。デメキング」
デメキング :「ぐうおおおおおおぉぉぉぉぉぉッ!!
全てが光に包まれ、轟音に悲鳴も掻き消えていく。
やがて光が収まった時、デメキングの半身はメミのミスティ◎ソーラーアイ
によってごっそりと削り取られていた。
デメキング :「おのれ、眼球少女! 認めんぞ、眼球少女など。人の心
:など! 次こそは必ず、必ずそのミエルジウムを奪い取っ
:てやる」
怒声と共に、デメキングの背後に巨大な暗黒の眼が開く。メミが止めるより
も早く、デメキングは暗黒の目の中へと消えていった。
side 百々目鬼眼美
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ビーボ :「お、ナニみてんだメミ。エロいDVDか?」
眼美 :「バカかテメエは」
ビーボが近所のコンビニから買って帰ってくると、眼美がなんとも複雑な表
情でもって自室のテレビを睨みつけていた。
ビーボ :「ッカー、一仕事終えた後のビールは最高だね」
眼美 :「一仕事したのは俺で、ビボ公は何もしてないだろうが」
ビーボ :「細かいこた気にすんな。ハゲるぞ」
眼美 :「ハゲねえよ」
ビーボ :「んで、それは……ああ、OVA版のメミがはじめてバース
:トモードにチェンジした話だな。なんだ、珍しく勉強熱心
:じゃねえか」
眼美 :「別にそんなんじゃねえよ」
不機嫌そうに唸って、眼美はテレビに視線を戻す。
「ひ〜とみをとじない〜で〜♪」画面の中では既にエンディングテーマが流
れ始めていた。伸びやかな曲とともに、今回のハイライトのような画面が流れ
ている。暖かい級友、ドジで優しい音楽教師の担任。そして、共に命をかけて
戦う勇敢なマスコット。
ビーボ :「おお、うそ寒い。よくもまあこうポンポンと臭いことが
:出来んね、OVA版の俺」
隣にはビールに口をつけて野次を飛ばす“現実”が座っている。やり場のな
い怒りに駆られて、眼美は拳を振り下ろした。
ビーボ :「いでッ! 突然なにしやがんだメミ!」
眼美 :「うるせえビボ公! 大体てめえそのビールどうやって買っ
:てきやがったッ!?」
ビーボ :「へへ、そりゃ幻術で監視カメラ誤魔化してちょちょいっ
:と……」
眼美 :「犯罪じゃねえかコラァッ!!」
百々目鬼眼美がロクデナシの目玉から開放されるのはまだまだ先だ。
戦え、ミスティ◎メミ! いつかマスコットのビーボが急性アル中で死んで
しまうその日まで!
時系列と舞台
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ある日の目玉獣との交戦後、百々目鬼眼美の自室にて。
解説
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OVA版ミスティ◎メミを見る眼美。
微細に設定が異なるながらも似たような立場である細川姫美の活躍を見て、
自分のおかれた状況と比較し、そのギャップに人知れず涙するのだった。
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/ 姓は月影、名はれあな
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