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Date: Fri, 16 Jul 2004 23:47:36 +0900 (JST)
From: 吉 GUY <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 27688] Re: [TRPG] ヴォルフガング・クラマー「何がゲームをよいゲームにするか」と TRPG
To: kataribe-ml@trpg.net
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2004年07月16日:23時47分36秒
Sub:Re: [TRPG] ヴォルフガング・クラマー「何がゲームをよいゲームにするか」とTRPG:
From:吉GUY
吉GUYです。
相変わらず長いです。そして読まなくても人生で何も損をしません。
いつものように言いたいことは最後のトコだけです。
>http://www1.u-netsurf.ne.jp/~hourei/game/etc/factor.html
> 何がゲームをよいゲームにするか
>
> の要目を読んでメモったのですが、せっかくだから流しときます。
http://www1.u-netsurf.ne.jp/~hourei/game/etc/factor.html
に挙げられたいくつかの項目は
tRPGがtRPGであることによって自動的に満たされているものが多いと思います。
むしろそれを生かせずに個々のゲームが「よいゲーム」にならないのは、
tRPGの抱える構造上の問題よりは、個々のデザインの問題でありましょう。
>・独創性
> ・ゲームとしての質が変わるものは少ないよね。
> ・せめて世代分けくらいの差がないと。
何処を指して“質”というのかにも寄りますが、(例えばカードゲームの
「カードを用いる」点を指して、「カードの使用で進行するから質が同じ」と
言うなら、同様にテーブルトークゲームも「テーブルトークで進行するから質
が同じ」ともなりますが)、質をプレイングの手触り(?)という点に置くなら、
私見ですが、実際には個々のタイトルにおいて質の違いは割合にあると思いま
す。(それが良質な差異であるかどうかはともかく)
例えば、D&Dとパラノイア、とまでは言わないまでも、D&DとD&D3eのような
近似している(と思われがちな)ものでも、実際のプレイでプレイヤーに要求
されるスキル(PCの能力とかのことではない)等には差異があると思います。
私見ですが、ゲームとはルールが1つ変わるだけでゲームの質が変わる
ものですし、良質なゲームはそうなるようによりルールが洗練・厳選されている
と思います。
(例えば、将棋のルールが「捕った駒を自軍の駒として使えない」となった
だけで、既存の将棋のセオリーの大半が覆ります)
とはいえtRPGでは、ゲームと称してルールがゲームを提供していないものが
大半だったりしますから、そういうタイトルを扱う場合、ゲームの質はGMに委ね
られてしまうため、同じGMの下では同じ質のゲームばかり、という状況には
なっている/なりやすいと思います。
(余談ですが、tRPGのユーザー層における個々のユーザー群での“遊び方”の
差異が、せいぜい「嗜好差」程度にしかならず、「技巧差」にならないのは
ここに理由があるわけで、馬場講座の言う技術向上論はそれが適用できる
タイトルとできないタイトルがあるわけです)
これらの点を踏まえた上で、なお「質が変わるものが少ない」となれば、
病巣はより深いところにあるであろうと思います。
>・何度でもできる魅力
> ・TRPGはいつでも同じ展開なんだよね。
> ・同じメンバーと同じシナリオでも、展開が根本的にかわって欲しいな
これも前記と関連して、ルールがゲームを提供しておらずゲームの構築を
(ただの素人にすぎないユーザーである)GMに委ねるような(タイトルが氾濫
している)状況である以上、仕方がないんでしょうね。
#最も、理論的には「同じメンバーと同じシナリオで異なる展開」は可能で
#私は自前でそういうのを作って人にやらせてますが。
>・驚き
> ・シナリオを読んでしまうと驚けないのはつまんない
これは「先にクイズの答えを知ってしまう」と同じでそりゃつまんないでしょう。
http://www1.u-netsurf.ne.jp/~hourei/game/etc/factor.html
では
「展開・イベント・情勢がワンパターンであることは避けるべきです。」
を示唆してあり、それに基づいて考えれば、
「プレイの度に手を決定する要因が異なる」ことが驚きに繋がることだと思います。
これは前記の「何度でもできる魅力」にも関連してくると思います。
で、素人GMが自作したシナリオでプレイすることを是とするのであれば、
所詮素人芸ですから、そこに恒常的な「驚き」の仕込みを期待するのは無理
でしょう。
(本来は、素人GMが自作したシナリオでプレイすることを是とせず、シナリオ
の作成をルールが行い、デザイナーが責任を持ってそこに「驚き」を仕込む、
ことがあるべき状態だと思いますし、実際可能ですが。)
素人GMが自作したシナリオでプレイすることを是とする場合、「驚き」は
シナリオではなく、ルールに依存せざるを得ないだろうと思います。
ルールの文章量が宿命的に多くなるtRPGにおいて、ルールを読み込み理解する、
ということの中に発見の驚きがあったりすると思います。(ルールを読み込んで
熟考・検討することを面白いと思えるかどうかは、個人の資質に拠っちゃうん
ですけれど)
初歩的な例ですが、tRPGの未経験者にKRをやらせてみて、
「初期装備の選択欄に“チョーク”ってあるけど何に使うの?」
と言っていたのが、分岐の多いダンジョンの中で
「うーん、迷わないように目印とか付けときたいね……あっ、チョークって
こういう時に使えるのか!」
と発見してプレイングのブレイクスルーが起きたりするわけです。
似たような例ではD&Dのバトルアックスとか、ごく初歩的な例では10フィート
の棒とか。
ロールプレイに基づく道具の使い方に限らず、ルールがよく練り込まれている
ものは、アッチのルールとコッチのルールをよく読んでよく考えてみると
「ああ、そうか、こういうことができるんだっ!」という発見の驚きがよく
あります。
ルールの読み込みと発見からの「驚き」は、物理的なルールの文章量の増大
と比例する点があるのは考慮せねばならないと思いますが、
>・機会の平等
> ・まず行動して成功してしまえば良いというのが問題になりかねない
> ・役割分担で強制的に担当者を変えるとか、シーンプレーヤーとかも
> あるが……
これはプレイヤー対立型のゲームでなければあんま関係ないと思いますが、
それでも「行動する機会が無くて不満」なんてのを解消したければ、デザイン
の方向性の1つとして
「行動する機会がやってくること」が「嬉しくない」
ようにルール構築をするってのがあると思います。
私見ですがプレイヤー協力型のゲームだとその方がゲームが“締まる”と思い
ます。(何処を「嬉しくなくする」かは考慮が必要ですが、D&Dはその辺が上手い
なぁ、と思います)
>・勝つチャンス
> ・負けるチャンスがないかも
これはtRPGの構造欠陥ではなく、GM個人、あるいはtRPGユーザー層全体の
意識問題でしょう。負けないことを無意識に前提にしている、とか。
>負けるチャンスが無い
でま、勝つチャンスについては、テーブルトーク“ロールプレイング”ゲーム
である限り、PCが生きてる(行動できる)限り、必ず勝つチャンスはあります。
それが天文学的数字を分母にする絶望的可能性であったとしても。
tRPGは「tRPGである」限り
「全てのプレイヤーが最後の最後まで勝つチャンスを持つ」
という要項は自動的に満たしていると私は考えます。
>・「キングメーカー効果」がないこと
> ・勝つ見込みのないプレーヤーがってのがないからなあ
> ・まあ、敗者がだれを妨害するかで勝者が決まるのは良くない
「勝つチャンス」と関連して、tRPGは理論上、死ぬまで手詰まりにならない、
ので、この要項もtRPGは自動的に満たしていると思います。プレイヤーの対立
型、協力型のどっちでも。
>・序盤で脱落しない
> ・死亡すると脱落するのでTRPGは難しい
> ・ペナルティとしてのゲームからの脱落は排除したいよなあ
http://www1.u-netsurf.ne.jp/~hourei/game/etc/factor.html
これは「序盤に勝敗が決まってはいけない」ということだと思うので、よほど
限定された数値的ソースをいぢくるようなゲームでない限り、tRPGは大丈夫だと
思います。
「ペナルティとしてのゲームからの脱落」を排除すると、そういう方向での
ゲームの緊張感が無くなりますが、他に目指すゲーム性があるのなら、ルール
構築の方式としてアリだと思います。
個人的には「ペナルティとしてのゲームからの脱落」による緊張感が好き
なんですが。
>・適切な待ち時間
> ・何もしないでいる待ち時間かあ。それを排除する。
> ・手番で考えることはあんまり無いんだよなあ
ある意味tRPGでは、GMが説明している時間以外は全て手番と言えるので、
待ち時間がほぼ無い、と考えていいんではないでしょうか。
まぁ、戦闘ラウンド処理などで、手番をターン分けして細かい数字をごちょ
ごちょいじらせているようなのは絶望的にアレですけど。
また、「手番で考えることはあんまり無い」ってのは、モノによりけりで、
タイトル(GMへの依存度が高いタイトルはGM)次第と思います。
>・創造性
> ・プレーヤーの行動が結果や展開に影響しないのはつまんない
> ・吟遊詩人シナリオー。
これもtRPGの構造欠陥ではなく、GM個人、あるいはtRPGユーザー層全体の
意識問題でしょう。
加えて「プレーヤーの行動が結果や展開に影響しない」「吟遊詩人シナリオ」
ってのは市販のシナリオからしてそんなんばっかのような気がします。今も昔も。
そういう状況がそういう認識を醸成している、ってのはあるでしょうね。
(んで、もし何か良いのがあったらどなたか教えてください。タイトルは問い
ません)
んでま、
本来tRPGは、TVゲームやカードゲームやボードゲームよりPLの行動の制限が
圧倒的に緩い(人間が実際にできる行動とほぼ同じ行動を駒ができる)ので、
創造性・想像性を問われるゲームは構築し易いと思います。(むしろ、野放図
に拡散しがちな行動を如何に制限してゲームとして収束させるか、の方が
デザインの見せ所かと)
ルールによる制限の仕方さえ間違えなければ、tRPGはtRPGであるが故に、
プレイヤーは否応なく創造的にならざるを得ないと思います。
>・統一感
> ・イマイチ薄いかも。TRPGって。
これはtRPGの構造欠陥というよりは、プロデューサーの能力問題でしょう。
>・コンポーネントの質
> ・良くない
箱を!
>・ターゲットの明確性/ルールの一貫性
> ・一般行為判定は一貫性のためのツールである
> ・要素が沢山ありすぎるために、なにが決定的なのかわからなくなる
> ・巧妙な行動宣言なのか、演出なのか、ダイス目か、戦術か〜
> ・戦略ゲームと運ゲームは対立するのかねえ
tRPGでは、プレイヤーの置かれる状況は、現実と同じだけの情報量を本来的に
備えている訳で、
「要素が沢山ありすぎるために、なにが決定的になるのかわからない」
なかから、PL自身が自分で考えて情報を整理して、何をすべきかを自分で決め
ていく作業を構造的に持っています(ここをスポイルすると、スポイルの仕方に
もよりますが、TVゲームに近付いて行きます)。
デザイン上、この点へどうゲームとしてアプローチするかが、テーブルトーク
でロールプレイングであることへの一貫性に関わってくると思います。
「行動宣言・演出・戦術」は、tRPGでは本来全て「ゲームに勝つため」に収束
する(ハズな)ので、PLの発言は全て戦術に絡むものだと考えていいと思います。
テーブルトークゲームで、行動の宣言や行動の演出を戦術として扱えないプレイヤー
は技巧が未熟であると言えましょう。
逆に行動宣言・演出が戦術にならないルールはロールプレイの必要性において
一貫性が無いと言えるでしょう。(語り部はその色合いが濃いと思うのですが)
「戦略」と「運」に関しては、要素の配分と位置付けの問題で、必ずしも対立
するものではないでしょう。
例えば、D&Dは、PLのルールの理解とロールプレイに基づいた戦略・戦術を
要求され、それによって運の要素(一定の確率で起きるマイナス要因)を小さくし
ミスを犯した場合やそれでも避け得ない場合に戦闘やST判定といった運試しの
罰ゲームが行われる、という構造になっています。
http://www1.u-netsurf.ne.jp/~hourei/game/etc/factor.html
で言っていることは、
「戦略を要求しながら積み上げた戦略を運が台無しにする要素が大きいなら、
最初から戦略はいらない」ということだと思います。(語り部はコレにハマっ
ちゃってると思うのですが)
>・緊張感
> ・選択ゲームであれば意味の軽い選択肢は不要だ
> ・運ゲームであれば、結果として差のないのは不要だ
> ・詰まる所、常に「行動した」結果の幅が欲しいのだな
> ・特定の結果に落とし込むのではなく、ぶわーっと広く。
ゲームにおける緊張感とは本来、
「『特定の結果に落とし込む』ための積み上げ行為が成功するか否か?」
にあると思います。
緊張感の喪失は、積み上げが目論見通り成功しているのかどうか?
が分からない時や、そもそも「落とし込むべき特定の結果」が無いときに生じる
と思います。
平たく言うと、勝利・ゴールに対して、プレイヤーが現在どの位置にいるか、
行動でその距離がどう変化したか、を実感として把握できない、何をやっても
状況が動いていることが実感できない場合に弛緩し易いということです。
「結果の幅」が広い行動というのは、不確定要素が大きい、ということで、
場を引っ掻き回すのが目的(PL対立型ならそれも必要になる)ならばともかく、
有利な要素のみで構成されている保証がなければ、普通は好まれないでしょう。
>・ゲームの習得しやすさ
> ・TRPGではゲームルールとデータの複雑さで単調性を回避している
> ・意味のある違いを持つ展開の可能性を保証しつつ簡単にしたい
本当は、テーブルトークでロールプレイングによるゲームを成立させるために
必要な最小の要素はごくわずかなのですが、キッチリしたレギュレーションで
フェアなゲームを行おうとすれば、やはり但し書きとしてのルールは必要になり
ます。
まして、魔法や超能力や一般的でない専門家の知識や技術まで扱おうとしたり、
舞台が現代日本でなければルールの量は膨大にならざるを得ません。
とはいえ、ルールはシンプルで少なく、ゲームは複雑で奥深く、は理想として
目指すべきところであろうと思います。
私が考えるのは、ゲームの成立に必要最小限のルールの提示から始まり、
プレイヤーのプレイングのブレイクスルーの度合いに応じて、必要になるルール
をプレイヤーが自発的に要求するような作りにする、のが良いのかなぁ、って
辺りですね。(コレは私もまだ実践できてないのですが)
>・複雑さと選択の多さのバランス
> ・ルールが複雑なのに、特定の局面における意味のある選択肢が少ない
> ・それがTRPGの持つゲーム的面白くなさの原因だ
tRPGにおいて、「特定の局面における意味のある選択肢が少ない」となるのは
PLのロールプレイが未熟なだけで、どんな局面であろうともロールプレイが可能
であれば、PL(否PC)の能力次第で意味のある選択肢は無限に存在し得ます。本来
的には。
また、残される選択肢が1つになるようなつくりでも、その選択肢を選ぶに
至るまでにPLに様々な葛藤要素とロールプレイの必要性が与えられていれば、
それも1つのゲーム性であろうと思います。
それでも「ルールが複雑なのに、特定の局面における意味のある選択肢が少なく」
見え、しかもそれが「ゲーム的に面白くなく」感じるのは、ルールが複雑なの
ではなく、ただ単に煩雑でムダに量が多いだけで、安易に最適解が分かるせい
でしょう。
そういったことは個々のタイトルにおけるルールのデザイン上の問題であり、
tRPGの構造上の問題ではないでしょう。
「TRPGの持つゲーム的面白くなさの原因」について別な点を見れば、
ルールがゲームを提供していないタイトル(十数年前からtRPGと呼ばれるもの
はこんなんばっか)にあると思います。
ルールがゲームを提供していない、とはつまり、ゲームではない、のであって
「ゲームではないのだから、ゲーム的面白さは無くて当り前」です。
メモを読んだ感想としては、
tRPGの構造上の問題と
tRPGというジャンルで良いゲームがデザインされていないだけの問題と
tRPGユーザーの意識問題
についてを曖昧にせず整理すると、有用になるんでないかな、と思いました。
以上です。
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