[KATARIBE 27556] [HA06P] エピソード:『車椅子』

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Date: Fri, 07 May 2004 22:10:08 +0900
From: Motofumi Okoshi <motoi@mue.biglobe.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 27556] [HA06P] エピソード:『車椅子』
To: KATARIBE ML <kataribe-ml@trpg.net>
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MOTOIです。
ケガをした愛菜美のEP。霞原姉弟をお借りしましたので、
ごんべさん、チェック宜しくお願い致します。

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エピソード『車椅子』
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登場人物
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 榎愛菜美   :アンドロイド少女。ケガ(というか故障)で車椅子に。
 榎士郎    :愛菜美の父で科学者。非マッド。
 霞原珊瑚   :愛菜美の同居人で、やはりアンドロイド少女。
 霞原陽    :同じく同居人、珊瑚の弟のアンドロイド少年。


時間のかかるケガ、もとい故障
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 愛菜美    :「えっ?」

 榎家の隠し地下室に響く間抜けな声。

 愛菜美    :「そ、そんなにかかるの?」
 士郎     :「うん、部品さえあればそんなに難しい修理じゃないんだ
        :けど……そこの関節はちょっと部品が特殊でね、少なくと
        :も一週間は届かないんだ」

 転倒により膝を壊した日の夜。士郎が帰ってくればすぐに直る、と信じてい
た愛菜美にとっては、信じられない発言だった。

 士郎     :「それに、調べてみたら、右足の方にも、同じ部品に亀裂
        :が見つかったよ。今はまだ動くけど、放っておくとまずい」

 手術台に載った愛菜美には、両足がなかった。

 愛菜美    :「い……いつものパパの冗談じゃなくて?」
 士郎     :「今日は真剣だよ」
 愛菜美    :「そんな……」
 士郎     :「……ごめん愛菜美、その部品は貴重なのでなかなか交換
        :できなかったんだ。その分老朽化していたんだろう、僕の
        :責任だ」

 心底済まなそうな顔で詫びる士郎。それを見て、慌てて笑顔を作る愛菜美。

 愛菜美    :「そ、そんな、大丈夫だよ、二度と歩けないわけじゃない
        :んだし。たった一週間じゃない、気にしないで」
 士郎     :「……すまない。部品が届いたらすぐに直す」


善後策
------
 愛菜美    :「とりあえず、一週間の間はどうする?」
 士郎     :「家の中では、緊急用のキャタピラ型の足があるけど、外
        :で使うわけにはいかないからね」
 愛菜美    :「でも、一週間も学校行けないのは……」
 士郎     :「外でも緊急用の『足』があるよ。ちょっと待ってて」

 地下室の奥に歩いていく士郎。暫くして戻ってくる。

 士郎     :「これがそうだ」
 愛菜美    :「これは……車椅子?」
 士郎     :「昔母さんが使ってたものだ。何の変哲もない、ごく普通
        :の車椅子だよ。とりあえず、座ってみてくれ」

 足のない愛菜美を抱え上げ、車椅子の上に載せる士郎。

 愛菜美    :「あ、サイズもぴったりだよ」

 ためしに両腕で車輪を回し、車椅子を動かしてみる。

 愛菜美    :「大丈夫、動ける動けるっ」
 士郎     :「……良かった」
 愛菜美    :「でも、足がないまま外に出られないよねぇ」
 士郎     :「動かない飾りの足ならすぐにでも作れる。今夜のうちに
        :やっておくよ」
 愛菜美    :「ありがとう、パパ」


車椅子登校
----------
 翌日。

 珊瑚     :「大丈夫?」
 愛菜美    :「うん、平気平気。学校には、ママが連絡してくれたし」

 車椅子に乗り込み、学校へ向かおうとする愛菜美。それを見送る珊瑚。と、
そこへ。

 陽      :「おはよう、珊瑚、愛菜美……それはなんだ?」
 愛菜美    :「寝坊だよ、陽くん。これは車椅子っていって、文字通り
        :車のついた椅子だよ」
 陽      :「ふーん」

 まじまじと車椅子を見つめる陽。

 愛菜美    :「……車椅子は珍しいかな?」
 陽      :「ああ……乗っていいか?」
 愛菜美    :「え゛」

 どうやら陽の興味を引いたらしい。

 珊瑚     :「……陽、ちょっと来なさい」

 溜息をつき、陽を家の中に連行する珊瑚。これから説教タイムといったとこ
ろか。

 愛菜美    :「……あ、それじゃ、学校行ってくるね」
 珊瑚     :「気をつけて」

 車椅子を操り、学校へと向かう愛菜美であった。


解説
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 膝の故障により、約一週間の車椅子生活となった愛菜美。
 この先、どんな困難が待ち受けているのやら。

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この機会に、吹利のバリアフリー事情でも考察してみますかねぇ。


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