[KATARIBE 27229] [HA06P]エピソード『ごちご談義(仮)』

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Date: Mon, 19 Jan 2004 14:29:53 +0900
From: アキト <akito@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 27229] [HA06P]エピソード『ごちご談義(仮)』
To: "[kataribe-ml]" <kataribe-ml@trpg.net>
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#HA06-01 2004/01/16のログ。
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エピソード『ごちご談義(仮)』
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登場人物
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 観星 弦間   :星好きの喫茶店のマスター。
 桜木 達大   :話し好きのにーちゃん。

喫茶プロキシマにて
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[Catshop]  #--- 久々の喫茶プロキシマ

 弦間     :「何を読んでおられるのですかな?」

 達大     :「──? あ、呼びました?」
 達大     :(本から顔を上げる)
 弦間     :「随分と熱心に読んでおられましたな」(にこにこ)

 達大     :「あぁ。吹利の地方史家が自費出版した本なんですけど」
 達大     :(本の表紙を弦間に見せる)

[Catshop]  本のタイトル:『吹利の本草 あれこれ』

 弦間     :「ほぅ。吹利の本草とは」
 達大     :「いろいろ妙なことも書いてありますよ」(にこにこ)
 弦間     :「ふむ」

ごちごとは
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 達大     :「例えば──」(ぺらぺらとページをめくる)
 達大     :「あったあった」

 達大     :「ごちご──吹利の山間部に自生する野草。苺に似るが、
        :その五倍は美味という意味でごちごと呼ばれるという」

 弦間     :「ふむ──聞いたことがありませんな」
 達大     :「昔から吹利にお住まいなんですか?」
 弦間     :「まぁ、そうですな。街育ちですがね」

 達大     :「なるほど。もう山間部くらいでしか食べないのかな」
        :(また本に視線を落とす)
 達大     :「ふむふむ──」

由来や逸話
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 達大     :「古くはごち草とも呼ばれ、吹利にある荘園の視察に来た
        :朝廷の役人がこれを食べて感動し、都に戻ってから
        :『ごちそうを食べた』と盛んに吹聴したことから──」
 達大     :「これが“ご馳走”の語源となった、という説もある」

 弦間     :「流石にそこまで行くと胡散臭いですな」(苦笑)
 達大     :「まだ異説がありますね──」

ごちご異説
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 達大     :「前述の通り五苺からごちごとなった説が
        :最も一般に流布しているが──」
 達大     :「これだけを食べ、五穀を絶ち即身成仏した
        :密教の僧侶が居たという伝説が山間部にはあり──」
 達大     :「この僧侶が五智如来を最も尊んだことにちなみ、
        :五智果──これが転訛して“ごちご”になった
        :という説もある」

 弦間     :「ふむ」
 達大     :「また別の説では、そのあまりの美味さに昔は仙果と
        :考えられており、これだけを食べて修行すれば
        :五智を得て昇仙もかなうとされたことから五知悟と」

吹利と修験道
------------

 弦間     :「──ふむ。五智というのは
        :仙人も使う言葉なのですかな?」
 達大     :「いや。多分、密教だけの用語だと思います。
        :まぁ、山岳信仰と密教は修験道──」

 弦間     :「修験道ですか」
 達大     :「えぇ、あのいわゆる山伏の宗教ですね。
        :これを介して混交されることもあるとかないとか
        :聞いたことがありますし」

 達大     :「日本では山岳で修行した果てに仙人に、
        :というイメージが強かったようなので、その辺で
        :混じった可能性はあるかもしれませんね」
        :(ぱたん、と本を閉じる)

 弦間     :「うむ──なかなか出鱈目なものですな」
 達大     :「日本の宗教の長所であり短所ですね。
        :外から入ってきた信仰を、いとも容易く
        :取り込んでしまうクセがある」

 達大     :「いずれにせよ──トンデモの類っぽい感じは
        :しますけどね」(笑う)

ごちごメニューを夢見る人々
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 弦間     :「ふむ。しかしその“ごちご”──手に入るものなら、
        :この店でも出したいものですな」

 達大     :「うーん。そうですね、これほど美味しいって言うなら
        :ボクも食べてみたいもんです」
 弦間     :「ですな」

 達大     :「さて。そろそろ仕事に戻らなきゃ。お勘定お願いします」
 弦間     :「少々お待ちを──」

[Catshop]  # と、昼間のネタをいじっておいて収束。

時系列と舞台
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 2004年新春の喫茶プロキシマ。

解説
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 なんだか野苺とか木苺を食べたくなりました。

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