[KATARIBE 27065] [HA06P] エピソード『年始特別ボーナス見積もり』

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Date: Sun, 21 Dec 2003 12:02:08 +0900 (JST)
From: 月影れあな  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 27065] [HA06P] エピソード『年始特別ボーナス見積もり』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2003年12月21日:12時02分08秒
Sub:[HA06P]エピソード『年始特別ボーナス見積もり』:
From:月影れあな


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エピソード『年始特別ボーナス見積もり』
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登場人物
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 六兎結夜   :貧困吸血鬼少年。そろそろお年玉あげる方まで秒読み
 前野みかん  :近頃は親戚も増えてうはうはな人狼少女

本文
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 昼下がり、in IC水島。ぽかぽかと照る日は暖かいものの、やはり冬。レジ脇
に座る猫っぽい少女(っていうか猫)のバイト店員はわざわざ設置したコタツに
浸りながら、ウトウトと舟をこいでいる。

 結夜     :「うひ〜、疲れた〜」

 今日も今日とてIC水島へ(受験生故本来なら無い筈の)暇を潰しにやってきた
御気楽極楽吸血鬼は、パンパンに膨れ上がった通学鞄をどしっと床に置く。とっ
くに死んでる吸血鬼の癖に「生き返る〜」等の戯言をのたまうと、店内に設置
されたコタツに丸くなった。
 その様子を見てか聞いてか、近くに座っていた前野みかん(12歳独身)は熱す
ぎるホットココアをかき混ぜつつ覚ましながら、ポツリと呟いた。

 みかん    :「もう歳だね」
 結夜     :「そうそう、流石に1万17歳にもなると身体の節々がかた
        :かたと……って、違う!」
 みかん    :「あといくつ寝ると〜……って、どうかしたの。急にノリ
        :ツッコミして?」
 結夜     :「くっ、歳末っ!? 深遠なボケであったか」

 驚愕に顔を歪ませる結夜を、みかんは不思議そうに見返す。

 結夜     :「流石にヤル……」
 みかん    :「いえいえ、それほどでも」

 軽くいなして、そろそろ冷めてきたココアをすする。羨ましくなったのか、
結夜も品書きに目をやると、これ見よがしに季節限定メニュー「みかんプリン」
の文字が躍っていた。

 結夜     :「では、お嬢に敬意を表して、みかんプリンを注文しよう」
 みかん    :「どんな敬意だか」

 みかんプリンと、ついでに番茶を注文すると、ウトウト店員は一拍置いて立
ち上がるり、寝ぼけた様子でよろよろと厨房へと入っていく。

 結夜     :「歳末と言えば、お嬢はお年玉が待ち遠しい口ですかの」
 みかん    :「うん、一年で最大の収入だもん」
 結夜     :「やねぇ。私もお年玉にはずいぶんお世話になったものだ」
 みかん    :「それに、今年は義父さんと義母さんも貰えるし〜(ほく
        :ほく)」
 結夜     :「時にお嬢、収入はいくらくらいだ?」
 みかん    :「んーっと……」

 何故か声を顰めて尋ねる結夜。みかんは指を追って数えだす。一つ、二つ、
三つ……指が一つ折られるごとに、結夜の顔色は青くなっていく。結局、五つ
目で一度折り返して中指まで到達した。

 みかん    :「……このくらい?」
 結夜     :「くあっ」

 結夜は幾分芝居がかった動作で、畏れ避けるように目を瞑り半身を浮かせる。

 結夜     :「ま、まぶしい。おぜぜの輝きがまぶしすぎるぜ。この資
        :本家階級めが」(ふらふら)
 みかん    :「えー。もっと貰ってる子の話も聞くよー?」
 結夜     :「さ、最近のおガキはなんとうらやま……もとい、堕落し
        :た生活を送っているのだ。神はどこへ行った!?」

 吸血鬼が神を語るなよ。とのツッコミを投げかける者は不幸にもその場に居
なかったわけで。

 みかん    :「六兎先輩は、どのくらいお年玉がもらえるんです〜?」
 結夜     :「…………」(指を四本立てる)
 みかん    :「…………ン十万?」
 結夜     :「そんなもらえる奴がいたら縊り殺したる」
 みかん    :「……ソウデスカ」

 余談であるが、みかんプリンの味はなんとも形容し難い微妙な物であったら
しい。

場所・時系列
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 こたつでインターネットの出来る店IC水島にて、年末。

解説
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 お年玉の額は世代を経るごとに向上するの傾向があるようです。貧困吸血鬼、
悔しさに血の涙。


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