[KATARIBE 26710] [HA06N] 特別企画:いろはお題『わ 罠の数は35』

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Date: Mon, 15 Sep 2003 17:47:05 +0900 (JST)
From: 月影れあな  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 26710] [HA06N] 特別企画:いろはお題『わ 罠の数は35』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2003年09月15日:17時47分05秒
Sub:[HA06N]特別企画:いろはお題『わ 罠の数は35』:
From:月影れあな


 どーも、月影れあなでふ

 色々問題があったので、半分近く削りました。
 一番改変の多い作品だ

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特別企画:いろはお題『わ 罠の数は35』
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わ 罠の数は35
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「なんで、私がこんなことを……」
 自分に仕事を押し付けてきたSRAの横暴な先輩に向かって小さく愚痴を呟き
ながら、結夜はその古めかしい洋館の中で四苦八苦していた。
 いや、洋館と言うより城。より正確に的を得た表現で言い表すなら、石造り
の迷宮とでも言った方が正しいのかもしれない。端的に表すなら『ろくでもな
い場所』である。
 と、突然正面から青黒い肌をした小鬼が飛び出してくる。深く溜息を吐くと、
結夜はそれを軽く薙ぎ払う。小鬼は石壁に背を打ち付けて地に落ちると、じゅ
うと蒸発するような音を立てて闇に溶けた。
 別に結夜が強いわけでは無い。相手が弱すぎるのである。先程から、弄るよ
うに小物が飛び出してくる。結夜を本気で追い返すつもりが無いことは丸わか
りであった。相手はSRAで定める所のランクAである大物吸血鬼なのだ。殺すつ
もりなら結夜などもう千回は死んでいてもおかしくない。
 参考までに解説しておくと、密度は低いとは言え世界に広がる SRA内に置い
ても、 ランクAの吸血鬼とはそう多くいない、伝説級の怪物である。ちなみに、
朝霧桔梗のランクがC。黒崎沙耶のランクもC。結夜に至っては下から二番目で
あるランクDに過ぎない。
「まったく、何を考えてんだか……」
 そんな事をぼやきながら、結夜が何となくもっともらしい扉にたどり着いた
のは、それから数体の雑魚を屠った後であった。
 大仰に作られた樫の扉。所々になにやら悪魔らしいレリーフが施され、おそ
らくこれだけを質屋に持っていってもそれなりの値がつくだろう。と言っても、
いくら扉を鑑賞していた所で埒があかない。結夜は大袈裟な扉に相応しくない
大雑把な動作で扉を蹴り開いた。
『良くぞここまで来たな、勇者よ。誉めてやろう』
 何処からともなく声が響く。そこは、少し開けた円状の大広間だった。ぐる
りと、数十もの扉が部屋を取り巻いており、真ん中に円いテーブルが置いてあ
る。近くによってみると、机の上には数枚の、謎の記号が描かれたタイルが乗
っていた。
「っていうか、勇者と違うし」
 所在のわからない声の主にツッコミを入れておく。
『ノリの悪いやっちゃな。まあいい、用件を聞こう』
「SRAの使いで、回覧板届けにきました」
 手に持った板を上に挙げて、何処と知れぬ声の主に見せてみる。声の主は、
しばらく考えるように唸っていたが、やがて何を決めたのか、ふんと鼻を鳴ら
した。
『宜しい。我に会いたくば、その部屋にある36の扉の内一つより繋がる我の部
屋まで来るよい。ただし、全ての扉のうち35は、恐るべき地獄へと通づる門で
ある。ヒントはその辺りにある故、心して来るがよい』
「机の上に置いとくんで見といてくださいね」
『あっ、卑怯者! ふん、そんな事したって、我見ないもんね。ちゃんと部屋
まで来るように』
 小学生か貴様は。そんな事を心中で思いつつ、結夜は諦めて机の上に置かれ
た謎のタイルを見る。恐らく、ヒントと言うのはこのタイルの事だろう。数も、
数えてみると丁度36枚あった。このタイル一枚一枚が、全ての扉に対応してい
るのか。様々な思考をめぐらして、黙考する。
 そうして、十分後の事である。
 タイルにはこれと言って何の意味も無いという事に気が付いたのは。そして、
周囲にある36の扉のうち一つが、罠の無いはずの唯一の扉が、紛れも無く自分
が入ってきた広間への入り口であるという、実に馬鹿げた事実に気付いたのは。
 結夜は無言で机を蹴倒す。とたんに、癪に障る大爆笑が広間に響いた。


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# バランスが悪かったので、前半削ったらそれなりにすっきりしました。


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