[KATARIBE 26592] [HA06P] エピソード:『人狼、主治医の診察を受ける』

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Date: Sun, 7 Sep 2003 14:37:19 +0900
From: 瑠奈(るな) <luna-web@jcom.home.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 26592] [HA06P] エピソード:『人狼、主治医の診察を受ける』
To: <kataribe-ml@trpg.net>
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ども、瑠奈です。
持ちキャラシリーズってことで……
真夜さんと主治医(まほろば)さんの話をちゃんとかいてみました。
キャラチャをしていないので、エピソードという位置づけで……
しかも書き下ろし(苦笑)

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エピソード:『人狼、主治医の診察を受ける』
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登場人物
--------
神楽真夜  :さまざまな経緯を経て人狼(銀狼?)として覚醒した。女性。
神楽まほろば:真夜の主治医。女性。真夜と苗字は一緒だが、血縁関係はなし。
       左手に癒し手を持つ。
アリス   :まほろばの診療所唯一の看護婦兼メイド。
神楽幻   :まほろばの診療所に勤める男性医師(?)。実は……?


神楽診療所前
------------

診療所の前に、真夜がやってくる。
目の前の扉には、「休診」との札が出ている。
これは単に通常の診察時間が終わったからである。
真夜が診療所を訪れるのは夜、というのはまほろばと交わした約束による。

真夜  :「……ここにくるのも、久しぶり……かぁ。しばらく診療所に顔を
      出さなかったから、先生怒っているだろうなぁ……」
     (不安げな顔)

診療所の前で入ろうかどうしようか躊躇していると、扉が少し開く。

アリス :(看護婦の格好である)
     「……あ、あのぉ……今日はもう診療時間終わって……あ!」
     (慌てて診療所の中に戻っていく)
真夜  :「?」(首をかしげる)

診療所の中からなにやら音がする。ときおり「きゃー」とかいう声も聞こえる。

真夜  :「……こ、これは……なんか……危険そう……」
     (180度向きをかえて帰ろうとする)
まほろば:(慌てたように扉のところまで駆けつける)
     「……真夜ちゃん!」
真夜  :「……!」(びっくりしてぴたっと止まる)
まほろば:「……真夜ちゃん……待ってたのよ……」
真夜  :「……先生……」(まほろばへ振り返る)
まほろば:「……よかった……無事で……」(目にはうっすら涙が)
真夜  :「……ちょ、ちょっと先生……どうしたんですか?」
     (まほろばに駆け寄る)
     「……ご、ごめんなさい……連絡も何もしないでっ……」
     (ふかくお辞儀)
まほろば:(真夜の白銀の髪などを見る)
     「……やっぱりね……」
真夜  :「え?」
まほろば:「……あのコの言った通り……本来の姿、取り戻したんだね……」
真夜  :「……あのコ?……本来の姿??」(少しとまどい)
まほろば:「……って、まぁここで立ち話もなんだから、中に入りなさいな」
真夜  :「はい……」

まほろばの案内で真夜は診療所の中へ案内されます。


神楽診療所内/客間
------------------

まほろばに案内されて真夜は診療所の中へ。
客間はアンティーク調の調度でまとめられている。
そこには既にメイド服を着たアリスがいた。

まほろば:「アリス、真夜ちゃんのいつものヤツをいれてやってくれ」
アリス :「わかりました」
     (奥にひっこむ)
真夜  :「……いつものヤツ?……」

まほろば:「……さて、どこから話をしたらいいものか……」
真夜  :「……わたし……こんなになっちゃったから……先生にみせたく
      なくって……」
まほろば:(ちょっと考えて、それから真夜の眼を見て)
     「……私は神楽真夜の主治医。……主治医である、っていうのはね
      ……真夜ちゃんが人狼であるということも知っているのよ」
真夜  :「え?」
まほろば:「とはいっても、ただの人間である『神楽真夜』にそんな話でき
      ないでしょう? 言ったところで信じてもらえないのは目に見
      えているし」
真夜  :「確かに……」
まほろば:「それに……おっと、ちょっとお茶にしようか」

アリスがティーセットを持ってくる。
アリスが持ってきた紅茶は真夜の最も好きな「ムーンティー」である。
ちなみに、ムーンティーとは満月の日に摘み取られたダージリンティーである。
限定品なのでそう簡単に入手できるものではない。

真夜  :(一口飲む)
     「……おいしい。これって……」
まほろば:「……真夜ちゃんが一番好きな……そして真夜ちゃんに一番合う
      紅茶、ね」
真夜  :(黙ってもう一口飲む)
まほろば:「月のエネルギーをいっぱい浴びて……満月の日に摘み取られる
      紅茶……真夜ちゃんは昔からこの紅茶が好きだったのよね」
真夜  :「うん……って、それを何で??」
     (ティーカップを置く)
まほろば:「だから、昔から知っているって」
真夜  :「……」
まほろば:「……まぁ、診察すれば、わかってもらえるかな」



神楽診療所内診察室
------------------

真夜は検診用の服(検診衣)を着て座っている。
まほろばは白衣は身に着けているものの聴診器はつけていない。
そのそばには、看護婦姿のアリスが準備してる。

まほろば:「……さて」
真夜  :「はい……」
まほろば:「……ひさしぶりに診察しますよ」
     (左手の手袋をはずす)
真夜  :(……癒し手……)
まほろば:「……いろいろ調べたいことも……確認することもあるし……」
     (左手がちょっと光りだす)
真夜  :「……うん……」
まほろば:「緊張しないで……気を楽にして……」
     (左手が心臓の位置あたりに。そこから肺や内臓のほうへ)
     「……内臓は……普通の人間……よりも……強い……」
     「……脈拍……脈動が……普通の鼓動じゃないね……」
     「……最後に診たときよりも、強くなっている……」
アリス :(カルテにいろいろ書き込んでいる)
まほろば:(左手を腕のほうへ)
     「……腕は見た目よりも……筋肉の密度が……増えている……」
     (眼を見る)
     「……虹彩が金色か……」
     (耳を見る)
     「……狼の影響が……でているね……」
     (口を見る)
     「……歯が……全部生え変わったように……輝いている……」
真夜  :「そうなんですか……」
     (改めて言われると……人の時も結構変わっちゃっているんだ)
まほろば:「じゃ、ここで……人狼になってもらえるかな」
真夜  :「え?」
まほろば:「真夜ちゃんへの診察、っていうのは本来そこまで込みなのよ」
真夜  :「……そう……かぁ……」
     (診察用のベッドに横たわる)
アリス :「……こ、これをっ……」
     (バスタオルを真夜に差し出す)
真夜  :「……あ、ありがとうね」(アリスににっこり)
     (バスタオルを身体の上にかける)
まほろば:「……まぁ、バスタオルは……気休め程度だけど……」
真夜  :「……そこまで……知っているの……か……」
まほろば:「……遠慮いらないからね……あなた自身を見せてね」
真夜  :「……」
     (身体が人狼に変わっていく)


人狼の身体
----------

まほろば:「……いつ見ても、綺麗……」
真夜  :「……みんなそう言うんだけど……そんなに綺麗?」
まほろば:「……ええ」
真夜人狼:(バスタオルがはじけとんだ下には人狼となった身体が)
まほろば:「……浄化と破邪の力を持ちし銀狼……おひさしぶりね」
真夜人狼:「……知識の探求者……吸魂の隠者……か、ひさしぶりだな」
まほろば:「うふふ、記憶とか……精神とか……まだ不安定かな……」
真夜人狼:「必要のないことは……思い出さないようにしている……」
まほろば:「それが……長生きの秘訣ね……っと、さて診ますか」
     (左手が心臓のあたりに)
     「……心臓……人間の……とは違う……心拍数も……強さもまるで
      違う……激しい運動にも耐えられるように……変わっている」
     (肺や内臓のほうへ)
     「……肺は……空気の薄いところで鍛えられたような感じだな……
      内臓は……ふむ、消化器系の組成が変化しているな。
      肉食動物のものへと……変化……うーむ、無生物でも……か」
真夜人狼:(……霊的なモノを食しても……平気な身体、か)
まほろば:(腕のほうへ)
     「……これは……見事な……筋肉……体毛も……」
     (腕をさわる)
真夜人狼:「あうっ」
まほろば:「……ふむ……肌の感覚が人のものとは違う」
真夜人狼:「……腕を触られた感覚だけで……まほろばさんの手の形とか……
      温度とか……大体……」
まほろば:「……人狼は身体全体が感覚器、みたいなものだからね」
真夜人狼:「……うん……」
まほろば:(眼を見る)
     「……視力とか……視野とかは……どうだい?
真夜人狼:「……裸眼で火星がはっきりと……視野は……変わってない」
まほろば:(真夜の目の前に指を三本だす)
     「……これは……何本にみえる?」
真夜人狼:「三本」
まほろば:「……遠くを見ても近くを見ても……普通に見えるのか」
     (耳を見る)
     「……人の、というよりも狼のそれに近い……聴力はどうかな?」
真夜人狼:「……先生の……心音とか……外の草木のざわめきも……」
まほろば:「……人に聞こえないものも聞こえるのかもね」
     (口を見る)
     「……前歯は犬歯で……奥歯は臼歯か……消化器系との関係を
      考えると、肉食を中心に考えたほうがいいか」
真夜人狼:「……はい……」


銀狼に変身するということ
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まほろば:「……人狼とか、狼が何をすることができるか身体で覚えれば、
      真夜ちゃん自身の力にもなるはずだよ」
真夜人狼:「……」
まほろば:「人間のときでも、ちょっとは人狼や狼の影響を受けていることは
      感じていると思うけど……」
真夜人狼:「……うん……」
まほろば:「……真夜ちゃんのときは、どうしても真夜ちゃんの意識が優先
      されちゃって、本来の力を100%出せない。」
真夜人狼:「……本来の力?」
まほろば:「……本当は、人間の姿でも、人狼と同じ身体能力を持つことは
      できるんだよ。でもそれを本能で止めている」
真夜人狼:「……まほろばさん……」
まほろば:「ま、そんなことしたら『異端』になっちゃうからね、今のままで
      すませたほうがいい。それに……」
真夜人狼:「それに?」
まほろば:(頭をぽりぽり)
     「……覚醒の仕方……ちょっと強引だったんじゃない?」
真夜人狼:「強引?」
まほろば:「この間、へんなコにあったんだけど……」
真夜人狼:「へんなコ?」
まほろば:「身体が大きくって、妙に無愛想で……腕に火傷があったの」
真夜人狼:(……忌野君か……)
まほろば:「あのコに覚醒させられたの?」
真夜人狼:(慌てた様子で)
     「……い、いや……覚醒させられた……んじゃなくって……」
まほろば:「じゃなくって?」
真夜人狼:「……自分の中の"闇"が……抑えきれられなくて……忌野君に……
      支えてもらった……」
まほろば:「……支えて、って……普通、ただの人間が銀狼に覚醒するなんて
      不可能なのよ」
真夜人狼:「……えっ?」
まほろば:「……たまに、人狼に噛まれて人間が人狼や狼になる、なんて話も
      聞くけど、あれは所詮普通の獣になるだけ。銀狼みたいな特殊な
      狼になる、なんて普通は無理なのよ。反動が強すぎる」
真夜人狼:「……反動?」
まほろば:「銀狼は『月の光』をエネルギーにして生きている。でも、人間に
      そのエネルギーは強すぎるのよ」
真夜人狼:「……ルナティック……」
まほろば:「そう。月の力は人間の精神に影響を与える……与えすぎている、
      といってもいいわ……ってなんでその言葉知っているの?」
真夜人狼:「うん……ちょっとね……ルナティックがどうとか夜の匂いがどう
      とか……今思うと、その話を聞いてから、調子がおかしくなった
      のかもしれない……」
まほろば:「それで……『思い出しちゃった』のかな?」
真夜人狼:「……いや、そのときは……まさかワタシが人狼だなんて……」
まほろば:「真夜ちゃんの意識は全く思い出していないとしても、真夜ちゃん
      の身体が思い出しちゃったんだろうね。それが真夜ちゃんの精神
      にも少しずつ働きかけて……」
真夜人狼:「……うーん……」
まほろば:「最後に診たとき、不安定きわまりなかったもの」
真夜人狼:「最後に……っていうと……あ、あのときか……」
まほろば:「その後ぱったりこなくなっちゃったから……不安だったのよ」
真夜人狼:「そのあと……人狼の衝動が止められなくて……変身を……」
まほろば:「そのときに……あのコは……何をしたの……?」
真夜人狼:「……何もしていない……ただ……」
まほろば:「ただ?」
真夜人狼:「わからないけど……こう……身体の中が……熱くなって……
     (胸のあたりを押さえる)
     「自分じゃないものに……変わった……」
まほろば:「ふむ……最初から銀狼だったわけじゃないよね?」
真夜人狼:「……黒かった……」
まほろば:「まずは、人狼の身体だけ思い出した、ってところかな」
真夜人狼:「それから……だんだん……狼になったり……いろいろ……」
まほろば:「段階を経て、か……それが正解だったかもね」
真夜人狼:「正解?」
まほろば:「そう、私が診ていた限りでは、人狼を思い出す前のアナタの身体
      は、普通の人間とほとんど変わらなかった。もし、いきなり銀狼
      に覚醒していたら……危険だったの」
真夜人狼:「……」
まほろば:「中途半端に人狼になっても、最初から完全な人狼を思い出しても、
      真夜ちゃんにとっていいことは何もない。だから……何とかした
      かったのよ」
真夜人狼:「……人狼に覚醒して……銀狼を思い出しだすことができたのは
      ……忌野君や遙さんのおかげ……」
まほろば:「……いい友達、だね」
真夜人狼:「……友達、かぁ……」


まほろばの左手
--------------

まほろば:「……ところで……あのコ何者なの?」
真夜人狼:「……ワタシにもわからないけど……」
     (思わず手を首筋──以前紅獅子(忌野君の化身)に噛まれた──
      あたりにやる)
まほろば:(左手を真夜が手をやったあたりにもってくる)
     「……ふぅむ……この辺に、なんか違和感ない?」
真夜人狼:「あっ」
     (紅獅子に噛まれたところ……確かに……)
     「うん……ちょっと……」
まほろば:「ここから、あのコの力を注ぎ込まれたのかな」
真夜人狼:「はい……」
まほろば:「……ちょっと……吸い取るね……」
真夜人狼:「……吸い取るって……??」
まほろば:(左手が真夜の首筋の痕に触れる)
真夜人狼:「んっ……」
まほろば:(真夜の首筋の痕を治すと同時に、痕に残る焔の力を吸い取る)
     「……ふぅむ……確かに真夜ちゃんの人狼の力とは……
      違うものが入っていったみたいね……」
真夜人狼:「……え? どうしてわかるの?」
まほろば:「わたしの手は、感覚だけで傷や病気の原因がわかるのよ」
真夜人狼:「……」
まほろば:「真夜ちゃん、忘れちゃったのかな、それも」
真夜人狼:「……癒し手……」
まほろば:「なーんだ、覚えているじゃない。そう、この左手は人を癒す
      力を持っている」
真夜人狼:「癒すだけじゃなく……身体を診ることもできる……」
まほろば:「そう、その通り。でも本質は逆なのよ」
真夜人狼:「逆?」
まほろば:「……私の癒し手は、人に生命力を注入したり、毒を吸い上げる
      っていうことなんだけど、同じように、人の生命力を吸い上げる
      こともできる」
真夜人狼:「……吸血鬼?」
まほろば:「それとはちょっと違うけどね……」


主治医になった理由
------------------

まほろば:「さて、真夜ちゃん。ここで問題」
真夜人狼:「はいっ」
まほろば:「……わたしは真夜ちゃんの主治医になってるんだけど、代金は
      一銭も取らないの、どうしてかわかる?」
真夜人狼:「……さぁ?」
まほろば:「私、普通に栄養はとれないの……」
真夜人狼:「吸血鬼……?」
まほろば:「……吸血鬼とはちょっと違うけど……魂や血を吸って生きている。
      それが私の本性ね」
真夜人狼:「……で、それと代金を取らないという話とどう関係が?」
まほろば:「人狼の魂は……美味なのよ」
真夜人狼:「えっ?」
まほろば:「だから、あなたの魂をもらうかわりに、代金をタダにするのよ」
真夜人狼:「……そのほうが高くつくんじゃ……」(汗)
まほろば:「ま、幸い、あなたの場合、月の光が生命エネルギーらしいから、
      あなたが吸収した月の光を少々もらっている、という感じね」
真夜人狼:「……はぁ」
まほろば:「というわけで、久しぶりにもらうよ……」
     (身体全体を真夜に預けるように倒れこむ)
真夜人狼:「……ちょ、ちょっと……先生っ!」
     (まほろばを正面から両腕で抱え込むように受け止める)
まほろば:「……人狼の魂は、左手だけじゃ吸いきれないから……」
     (ちょっともらう、という割に容赦なく吸い取る)
真夜人狼:「……か、身体から……力が……抜けて……」
     (力が抜けるのと同時に身体全体が白く輝く)
まほろば:「……おいしい……」
真夜人狼:「……先生っ……」
     (部屋の窓にかかっているカーテンを思わず取ってしまう)
     (窓から入ってくる月の光を吸収する)
まほろば:「……人狼の……力が……入って……」
     (体付きが少し変化を見せる)
真夜人狼:「……先生??」
     (両腕やまほろばと接触しているところから、まほろばが変化して
      いることがわかる)
まほろば:「……身体に……力が……みなぎる……」
     (さらに変化は続く)
真夜人狼:「……ちょ、ちょっとっ」
     (まほろばの胸が小さくなっていくのが感覚でわかる)
     (顔つきも、骨格も……男性のように……)

幻   :「……ボクに力を……」
真夜人狼:「……えっ?」(先生が……男に……??)
幻   :「……もっと……」
真夜人狼:(幻を離そうとするが離れない)
幻   :「……もっとほしい……」
     (体付きがさらに変化する)
真夜人狼:「……わかったわ……すきなようになさい……」
幻   :(胸が大きくなったりするが、男性的な部分も相当残っている)
真夜人狼:「……吸魂鬼の……原初……」

幻(?):(両性具有の身体になる)
     「……やはり銀狼の魂は美味である……」
真夜人狼:(幻(?)の身体を一通り見る)
     (まほろばに近いような……それにしては妙に男性的なような)
     「……ひさしぶりだな……」
幻(?):(真夜の身体を一通り見る)
     「……ふむ、やっと我が元に帰ってきたか」
真夜人狼:「帰ってきた、というと語弊があるぞ。別にワタシはアナタの家畜
      ではないのだから」
幻(?):「確かに、そうだな。銀狼は群れをなさぬ。そして他に属さぬ」
真夜人狼:「アナタこそ……聡明なる吸魂鬼であるが故に、種を滅ぼさぬ程度
      に魂を吸い取り……生き長らえている」
幻(?):「……そこまで理解していて何故に我に魂を分け与えようと?」
真夜人狼:(ちょっとさびしげな表情で)
     「……アナタとは……助け合う……そう決めたのだから」
幻(?):「……ううむ……」
真夜人狼:「……馴れ合いもせず……共に歩むこともできぬが……助力程度は
      よかろう? お互い人の世で生きていくには存在そのものから
      異なりすぎる」
幻(?):「もっともだな……お前が人の世で生きるための知識と引き換えに
      お前から魂をいただく……そうやって人間社会に入り込んでいる
      るのだからな……お互い」
真夜人狼:「ええ……」
幻(?):「……それにしても……お前は相変わらず美しいな……」
真夜人狼:「なっ」(照)
幻(?):「……冗談だよ……吸魂鬼が……銀狼の美しさを理解できるわけが
      なかろう?」
真夜人狼:「……」(なんともいえない表情)
幻(?):「……本懐も遂げたところで……戻るとするか……また頼むな」
真夜人狼:「……ええ」
幻(?):(身体がまほろばに戻っていく)

まほろば:「……ごちそうさま、真夜ちゃん」(にっこり)
真夜人狼:「……やっぱり人狼の生命力……って……美味しいの?」
まほろば:「美味しい、というか……珍味に近いからね」
真夜人狼:「珍味、ですか……」
まほろば:「まぁ、それは冗談として……真夜ちゃんのような銀狼なら、多少
      多めに吸ったところで、自己回復できるからな」
真夜人狼:「……ま……自分の生命力を吸うことで、他の生物の生命力を吸わ
      ないで済むのなら、いくらでも吸ってもかまわないわ」
まほろば:「……真夜ちゃんって……やさしいのね……」
真夜人狼:「……大切な……友達だし……」
まほろば:「……ありがとうね」(真夜をなでなで)
真夜人狼:「じゃ、そろそろ元に戻って……帰りますね」
     (人の姿にもどって洋服を着る)


神楽診療所玄関
--------------

まほろば:「それじゃ、お大事に。これからはきちんと来るようにね」
アリス :「……おだいじに、です」
真夜  :「ありがとうございます。それじゃ……」(扉に手をかける)
まほろば:「……って、真夜ちゃんっ」(慌てたように)
真夜  :(まほろばに振り返る)「何ですか?」
まほろば:「……あのコにあったら、捕まえてきてっ。調べたいことがっ」
真夜  :(忌野君のこと……そんなに調べたいのか……でも……)
     「……火傷したくなかったら……やめた方がいいですよ」
まほろば:「……?」
真夜  :「……わからないこともたくさんあるけれど……ワタシにとっては
      恩人ですし……それに……」
まほろば:「それに?」
真夜  :「……大切な友達ですから、迷惑かけたくないの」(にこ)
まほろば:(ため息)「……仕方ないわね……まぁ、今度あのコにあったら
      よろしく伝えておいてね」
真夜  :「はいっ」


時系列と舞台
-----------

 まほろば(幻)さんが常連の患者──どちらかというとワケアリの患者さん──の真夜さんを探して、右往左往した結果、忌野君と遭遇。
 忌野君がまほろばさんの魔の手から逃げたときに、偶然真夜さんをみかけて「主治医が連絡をほしい」と伝言。
 その伝言をうけて、真夜さんがまほろばさんの診療所をたずねる、という
ところです。

 http://kataribe.com/IRC/HA06/2003/09/20030903.html
 http://kataribe.com/IRC/HA06/2003/09/20030906.html


解説
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・神楽診療所は、人間だけじゃなく、動物や人狼なども見ます。
 身体にメスはいれません。解剖もしません。
 興味本位で身体のことを調べたがっていますが。

・ムーンティーは実在する紅茶だったりします。
 http://www.lycos.rakuten.co.jp/hanamizuki/430814/430964/498476/


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これを機に、真夜さんは神楽診療所に通うようになります。
役に立つといいですねー。

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