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Date: Sun, 22 Jun 2003 23:22:32 +0900 (JST)
From: みぶろ <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 26310] エピソード:『逢引(色気なし)』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200306221422.XAA74968@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 26310
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2003年06月22日:23時22分32秒
Sub:エピソード:『逢引(色気なし)』:
From:みぶろ
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エピソード:『逢引(色気なし)』
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登場人物
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当麻 漣(たいま れん)
:探偵倶楽部員。理屈屋。時々渋いらしい。
薇 真紀(ぜんまい まき)
:家庭科部員にしてフロッグスレイヤー。細かい事に拘らない。
舞台
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某公園
時系列
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高一 六月中旬 夜 エピソード:『偽りと偽りと、優しさと』の後
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承前
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一連の事件から漣が異能者であるとあたりをつけた真紀は、図書館で漣に
カマをかける。漣はとぼけるが、その後真紀の携帯に「全てを話すなら公園
にこい」とのメールが。
一触即発、秘密厳守、弱肉強食、天地無用。そんな異能者同士の息詰る邂
逅がはじまらなかったり。
警戒怠りなし
-----------
雨上がりの6月の公園は、涼しくて、そして少し青臭い匂い――。
約束の刻限に30分早く来た漣は、公園をくまなく探索し、夜光虫をあた
りにただよわせ、鉄壁の罠をはる。
煌々と照らす銀色の光を避け、ベンチから離れた青い桜の下に佇んで煙草
に火をつけた。
漣 :「……」
そして鼻歌歌いながら歩いてくる女性を、夜光虫が感知
漣 :「来たか」
漣 :「緊張感の無い……」<鼻歌
真紀が公園の入り口から入ってくるのが見える。きょろきょろとあたりを
見まわしながら、進んでくる。いくつか、人形などのおもちゃを携えて。
エヴァ人形、サンダーアーム、女神転生の悪魔辞典……くまちゃん人形。
漣 :「(つーかぜんまいだろ……なんか真剣に戦場を作った俺
:がアホみたいだ)」
漣 :「おーい、こっちだ」
真紀 :「おっ。やっほー」
真紀は手をぶんぶん振って駆けてくる。
真紀 :「ふー、お待たせっ(にこっ)」
漣 :「うむ。いきなりすまなかったな」
真紀 :「むぅ」<急に不機嫌そうに
漣 :「どうした」
真紀 :「そーゆーときは、『いや、僕もいま来た所だよ』歯がキ
:ラーン、だよ」
漣 :「期待には今後とも添えそうに無い。副会長にでも任せた
:まえ」
真紀 :「むー」
真紀 :「で、なになに?」
漣 :「メールの通りだ。『全てを話すなら』。アレを見て来た
:のなら用件はわかっているだろう」
真紀 :「ふにふに……何を話してくれるのかな?」
真紀はちょん、と首を傾げる
まずは韜晦
---------
漣 :「逆だ。全てを話したまえ。それからこちらも手の内を開
:こう」
真紀 :「えー。もう知ってるんじゃないの?」
:<がーん、と言う風にあとずさる
漣 :「『そう』であるという予想でしかない」
真紀 :「この間、いろいろ調べたんでしょー?」
漣 :「核心についての言及を避けるのなら、『アレは蛙の死骸
:を埋めようとした誰かの仕業』これが答えだが?」
真紀 :「ふぅぅ〜」
真紀は溜息ついて、とことこと移動し、ベンチに腰掛ける。
召喚! 私は呼び出せます
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真紀 :「おいで、『ケルベロス』」
真紀が本を開くと目の前の地面に魔方陣が描かれ、ケルベロスが出てくる。
漣 :「(召喚師/本が触媒?/人形はやはり使役用/いや魔術
:が使えるなら不要のはず/さすがに未知の領域だけになん
:とも言えんな)」
真紀 :「わーい、たてがみ〜♪しっぽー(だきっ)」
ケルベロス :(困ってる)
漣 :「……」<困ってる
真紀 :「きばー☆」
ケルベロス :『あが、あがが』
漣 :「……つまり、何かを呼び出す事ができると」
真紀 :「ちょっと違うの〜(ごろごろ)」
ケルベロス :『助けてくれ……』>当麻
漣 :「残念ながら、耐えるか消えるかだ。よりよい方法があれ
:ば自己申告したまえ」
真紀 :「こーゆーことが出来るように出来るの」
ケルベロス :『……(るるる〜)』
真紀 :「おっとと、真面目なお話だったね」
漣 :「いや。かまわんぞ」
漣 :「くっくっ…お前みたいな緊張感の無い能力者は初めてだ」
真紀 :「じゃあ、このまま話すね」(ふに〜)
真紀はケルベロスの背中に寄りかかったままたれている。
真紀 :「ふー……細かくはなすとね」
漣 :「む」
真紀はさっきの本を漣に見えるようにケルベロスの頭の上で立てる。
真紀 :「はい、題名は?」
漣 :「めがてん」
真紀 :「正解〜」
漣 :「む。わかったぞ。ゲームキャラの実体化?」
ケルベロス :『半分正解、だな』(ふすん)
漣 :「ふうむ」
真紀 :「こう言う事ができるように出来るの、判った?」
漣 :「いつから」
真紀 :「前からだよ」<ケルベロスの背中から下りる
ちょっとした言葉遊び
-------------------
漣 :「『こういう事ができるようになった』君は二度繰り返し
:た。何か特別な含みでもあるのかね?」
真紀 :「ちっちっち」
真紀 :「『こう言う事が出来るように』出来るの」
漣 :「――ああ。命を吹き込むのか」
真紀 :「それに近いかな。うん、そう言っても良いと思う」
ケルベロス :『いい加減戻してくれ……』
漣 :「なるほど……わりと、逆だな」
真紀 :「はーい、ケルちゃん御苦労様〜」<本を開いて呼び戻す
真紀 :「だいたい判った?」
漣 :「うむうむ」
真紀 :「はい、漣くんの番だよ」(びし)
夜光虫群舞
---------
真紀が漣を指差すと、周りに数十の蛍が一斉に現れ、飛び始めた。夜光虫
をいくつか収束させて見える大きさにしている。
真紀 :「おーー」
漣 :「いたって無芸大食だがね」
真紀 :「大食なんだ〜(納得した風)」
漣はかち、と煙草に火をつける。煙がたちのぼるが匂いはない。そして、
一服吸い込むとして真紀に向かって投げた。蛍が飛びかかり、煙草を消滅さ
せる。
真紀 :「おー(ぱちぱち)」
漣 :「『消す』力だ。先日壷を消したあたりで気付かれたか」
真紀 :「うん」<ふわふわ飛び交う光を視線で追いながら
真紀 :「この子、なんて言うの〜?」
漣 :「『夜光虫』見たままだ」
真紀 :「ふーん……じゃあ、蛙さんもこの子の御飯?」
漣 :「次は生かして持ってきてくれたまえ」
真紀 :「だってー、危なかったんだもん」
漣 :「冗談だ。余裕こいてると死ぬしな」
真紀 :「ふに〜」
漣 :「さて」
夜光虫で出来た蛍は輪郭をぼやかし、青い靄となり、夜に溶けていく。
漣 :「飯でも食いに行くか」
真紀 :「わーい、ゴチになりますっ」
真紀はごそごそと、メガテンの本を鞄にしまいこむ。
漣 :「それが爽やかに聞こえるのは、相手が大学生か社会人の
:ときくらいだぞ」
真紀 :「ふに?」
漣 :「まあ今回は名探偵ぜんまい君に敬意を表して」
漣 :「たかられてやろう。そのアレな玩具はしっかりしまえよ」
真紀 :「うん、鞄に入れれば見えない見えない」
そして公園を出る二人。幕。
解説
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異能者。秘密の暴露。二人の男女。夜の公園。このシチュで、素晴らしくゆ
るゆる。いえーい。
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