[KATARIBE 25831] [IC04P] エピソード:『部室が使えないときは』

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Date: Thu, 06 Mar 2003 16:56:06 +0900
From: Motofumi Okoshi <motoi@mue.biglobe.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 25831] [IC04P] エピソード:『部室が使えないときは』
To: KATARIBE ML <kataribe-ml@trpg.net>
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MOTOIです。
接続変化によって、割り当てられた部室が使えなくなった場合どうするか、
というのを、自分なりに考えて、こんなEPを書いてみました。

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エピソード『部室が使えないときは』
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登場人物
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 久保原新平(くぼはら・しんぺい)
  :野球を「すること」マニア。夢幻ドリームス新入部員。
 右田優(みぎた・ゆう)
  :ちびっ子、男勝りの夢幻ドリームスマネージャー。
 左畑華子(ひだりはた・かこ)
  :ぶりっ子、ちょい天然の夢幻ドリームスマネージャー。
 鹿沼隆三(かぬま・りゅうぞう)
  :高校球児の特徴丸出しだが、運動苦手な夢幻ドリームス部長。
 平耕平(たいら・こうへい)
  :夢幻ドリームスの部員の一人。能力は……劇中参照。
 佐々木重雄(ささき・しげお)
  :「大マジーンズ」の部長。

部室が使えなくなったら
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 新平が「夢幻ドリームス」に入部して1週間。ついに、恐れていた事態が起
こった。

 隆三     :「海だな」
 華子     :「海ですぅ」
 優      :「海だ」

 扉の向こうに広がる風景は、水平線をはるかに望む大海原だった。陸地なん
てどこにも見えやしない。

 優      :「ドーム球場は16日で終了か。割と持った方だな」
 華子     :「いい施設が揃っていたのに、残念ですぅ」

 失意の声とともにドアを閉める華子。ドア上のプレートには「2−30」と
書かれている。まさに、昨日までドリームスが練習をしていた教室だ。

 新平     :「ちわーっす! ……あれ? どうしたの?」

 そこへ、授業を終えてきた新平がやってきた。

 華子     :「接続が変化しちゃったんですぅ」
 隆三     :「今、この部屋は海だ」
 新平     :「え、ということは、練習できないってこと?」
 優      :「そ」

 それを聞いて、ごね始める新平。

 新平     :「やだ〜、野球やりたいよ〜」
 優      :「やかましい、黙ってろ」
 新平     :「でも〜」
 優      :「でももくそもねぇ」
 華子     :「ちゃんと考えがありますから、大丈夫ですぅ」
 新平     :「考えって?」
 隆三     :「こういうときは、よその部室を使わせてもらうんだ」

 よその部室を使う……そう聞いて、新平は1週間前の出来事を思い出してい
た。「悪役プロレス同好会」を名乗る連中が、ドリームスの部室を強奪しよう
として、多数の死者(まあ、全員生き返るわけだが)を出した事件である。

 新平     :「え〜っ、じゃあ、また殺し合いになるの?」
 優      :「違うっての、人の話は最後まで聞け」
 華子     :「他の野球部の方と合同練習するですぅ」
 隆三     :「俺の知っている限り、うちと同じように殺しと無関係を
        :決め込んだ野球部は30近くある。それらの部室のうち、グ
        :ラウンドとして使えそうなところに繋がってるところがど
        :こかにあるだろう」
 新平     :「へ〜」

 30近くという数字だけで驚く新平。

 優      :「ここから一番近いのは、2−22を部室にしてる『大マ
        :ジーンズ』だな」

 なんだ、その狙いすぎたネーミングは……と思いながらも、声には出さない
新平。


練習場はこうして作られる
------------------------
 そんなわけで、2−22の前に来たドリームス一同。だが、ここでも「大マ
ジーンズ」の部員達は部室に入れないでいた。

 隆三     :「よう、シゲ」

 シゲと呼ばれた男(どうやら、ここの部長らしい)が振り返る。

 重雄     :「リュウか。どうやら、そっちも部室が使えないようだな」
 隆三     :「そっちも、というと?」
 重雄     :「こっちもだ。まぁ、見てくれ」

 シゲこと佐々木重雄がドアを開ける。ドアの向こうは、よく晴れた空、程よ
い暖かさ、抜群の広さと、野球をするにはかなり恵まれた環境であった。……
地面が凸凹だらけというただ一点を除いては。

 重雄     :「これじゃあ使えないだろう?」
 隆三     :「う〜む……」
 華子     :「いや、何とかなるかもしれないですぅ」

 突然、華子が口を挟む。

 隆三     :「というと?」
 華子     :「平さーん」
 
 呼ばれて、ドリームスの部員の一人が出てくる。手には、トンボを持ってい
る。

 耕平     :「あいよー」
 華子     :「平さん、お願いしますぅ」
 耕平     :「ま、10分で片付くでしょ」

 そう言うと、トンボを持って部屋に入っていく平耕平。彼が荒れた土地にト
ンボをかけていくと……

 重雄     :「へぇ、こりゃすごい」
 隆三     :「あいつは、確かルーキーの平だったな」
 華子     :「彼は、グラウンド整備の達人なんですぅ」

 おそらく、あのトンボが彼の核アイテムなのだろう。耕平が予告したとおり、
10分で、フェンスなどはないものの、立派なグラウンドが出来上がった。が。

 重雄     :「あ、言い忘れてたが」
 耕平     :「え?」
 重雄     :「ここ、戦地らしくて、時々砲弾が飛んでくるんだ」

 ちゅどーん。

 重雄     :「……って、言うの遅かったか」

 大爆発で砂煙があたりに広がる。たまらず、扉を閉める重雄。

 優      :「これじゃ使えねぇな」
 華子     :「いいところだと思ったのに、残念ですぅ」
 重雄     :「うちのマネージャーの調べたところだと、1−18を部
        :室にしている『日本野球の会』が、今グラウンドとして使
        :えるそうだ」
 優      :「早く言えよ」
 重雄     :「言う前に入って行っちまったんだよ、あいつが」
 隆三     :「仕方ないな、1−18に行くか」
 新平     :「平さんはどうするの?」
 優      :「いいのいいの、死んでりゃあとで生き返るし、生きてん
        :なら書き置きでも残しときゃ」

 こうして、ドリームスとマジーンズの面々は、2−22を後にした。

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